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「取り組んできたことをピッチで出してほしい」大会概要&石川璃音選手(三菱重工浦和レッズレディース)インタビュー 高円宮妃杯 JFA第28回全日本U-15女子サッカー選手権大会
2023年12月07日
高円宮妃杯 JFA第28回全日本U-15女子サッカー選手権大会が12月9日(土)に開幕します。
大会には9地域協会から選出された32チームが参加。1回戦からノックアウト方式で順位を決します。決勝は12月27日(水)、東京都・味の素フィールド西が丘で行われ、今年度のU-15女子の日本一が決します。
前回大会はJFAアカデミー福島が2大会ぶり4度目の優勝を達成。チーム初の連覇を目指すac福島は1回戦で優勝経験のある三菱重工浦和レッズレディースジュニアユースと対戦します。その他にも、前回大会準優勝のジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-15と、第10回(2005年度)大会から大会3連覇を達成した神村学園中等部女子サッカー部が激突。1回戦から注目カード目白押しの大会にぜひともご注目ください。
インタビュー
ここではJFAアカデミー福島の一員として第21回と第23回大会で優勝を経験した石川璃音選手(三菱重工浦和レッズレディース)に、大会の思い出や自身の中学時代について聞きました。
――地元の秋田県を離れて、中学からJFAアカデミー福島に進んだ経緯を教えてください。
石川 小学6年生の頃に東北トレセンに参加したのですが、そのスタッフにac福島というものがあると教えてもらい、家族とも相談してちょっとセレクションを受けてみようかという気持ちで受けました。今思えば秋田県から(ac福島の活動拠点である)静岡県に生活の場を移すこともあまり気にならなかったですね。
――ac福島に入った当初はどのような日々でしたか。
石川 小学生のときはFWやサイドハーフでしたが、ac福島の中学1年ではいろいろなポジションを経験して、中学2年から今でもやっているセンターバックを本格的に始めました。ac福島に入ったばかりのときは周りの選手に圧倒されて自信を持つことができず、ここで(高校卒業までの)6年間やっていけるかなと正直思いました。ミスが怖くなってボールが自分のところに来ないでほしい気持ちが出てきたり、サッカーが嫌になりかけたりして、高校時代には実際にサッカーから離れた時期もありました。
――そんな時期をどのように克服したのですか。
石川 ac福島の同じセンターバックをやっている先輩たちや見汐翔太監督(当時)が、試合中の自分に常にポジティブな声をかけて褒めて伸ばしてくれたのが大きかったと思います。自分の長所に気付くきっかけになりましたし、それでプレーヤーの気持ちが楽になると知ったので、そこからは自分も周りにポジティブな声かけをするようになりました。
――石川選手の大きな声の指示は、そこにルーツがあるのかもしれませんね。
石川 日常生活では「声が大きすぎる」って昔からチームメートに叱られていますけど(笑)。中学当時は戦術的なことがあまり分からなかったので「ナイスプレー!」とか、とにかく周りを盛り上げる声を出していました。
――今大会の出場チームにも、サッカーが嫌になりかけている選手がいるかもしれません。
石川 そんな選手が少しでも減るように、チームメートでポジティブな声をかけ合ってほしいですね。声を出すことの怖さがあったり、間違っているんじゃないかと思ったりするかもしれませんが、声かけによって仲間の支えを感じた一人として、そういう殻を破って周囲を助けてほしいと思います。
――初出場の第21回全日本女子ユース(U-15)サッカー選手権大会はどんな大会でしたか。
石川 自分にとって初めての全国大会で、実はそこまで大きな大会と思っていなくて。結果的にac福島が優勝して秋田に帰ったとき、家族から優勝すごいねって言ってもらって大きな大会だと知りました。自分自身は前線のポジションで途中出場したので、とにかく走ることに必死だった記憶があります。ac福島の伝統で「大会まであと◯日」という日めくりカレンダーを作って、自分たちの気持ちを高めていました。
――中学2年時は準優勝でしたが、決勝は出場なしという記録が残っています。
石川 その大会はセンターバックとして出場していましたが、準決勝で脳振とうになったので、決勝に出られず泣きましたね。決勝では荷物を運びながらロッカールームと行き来していたときに失点して、悔しさが残る準優勝でした。
――中学3年の大会では準々決勝のジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-15戦で決勝ゴールを決めるなど攻守に活躍。決勝でも勝利して再び優勝しました。
石川 及川小枝選手(現、札幌大)が蹴ったFKからヘディングでゴールを決めたんですが、自分をマークしていたのが千葉LのGK大熊茜選手(当時DF登録)だったと、その後に仲良くなってから本人に教えてもらいました。準決勝の浦和レッドダイヤモンズレディースジュニアユース戦は、今のチームメートである西村紀音選手、西尾葉音選手、丹野凜々香選手は前から知っていたので、特に負けたくない試合でした。決勝の日テレ・メニーナ・セリアス戦は、藤野あおば選手(現、日テレ・東京ヴェルディベレーザ)のうまさは知れ渡っていたので、「あおばは絶対に自分が止める!」ってチームメートと約束して、無失点に抑えて優勝につながりました。
――石川選手が今大会で感じたことは。
石川 チームワークの重要性ですね。特に自分が中学1年のときのチームはそれがあったので、初優勝に辿り着きました。中学3年で優勝した自分の代は飛び抜けた選手がいなかったので、1回戦も勝ち抜けるかなと思っていましたが、チームワークで乗り切ったのでどんなときもチームワークは大事だと感じました。
――最後に、今大会に出場する選手たちにメッセージをお願いします。
石川 実は前回大会の決勝は、味の素フィールド西が丘でac福島の応援をしました。そのときも感じたのですが、自分たちが取り組んできたことを思い切りピッチで出してほしいです。勝利チームは敗退チームの思いも背負って戦ってほしいですし、人によってはけがをしていたり試合に出られなかったり、いろいろな状況があると思います。自分がそうだったように、どんな時でもチームメート同士で支え合うことで、お互いに気づくことがあると思うので、今大会がそのきっかけとなったらいいなと思います。