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「差別、暴力のない世界を」をテーマにパネルディスカッションを実施 vol.2 「JFAリスペクトフェアプレーデイズ2014 差別、暴力のない世界を!」 シンポジウム開催 ~JFA差別、暴力根絶宣言~

2014年09月12日

「差別、暴力のない世界を」をテーマにパネルディスカッションを実施 vol.2 「JFAリスペクトフェアプレーデイズ2014 差別、暴力のない世界を!」 シンポジウム開催 ~JFA差別、暴力根絶宣言~

山口
2013年4月12日からこの9月1日までの、我々の相談窓口に相談された件数は113件です。そのうち小学生年代のところが50件、中学生年代が20件、高校生年代が7件、大学生・社会人が1件、女子が4件、その他が31件です。直接的な暴力行為がその中の44件、暴言や威嚇行為等々が24件、その他はチームの問題、登録の問題や保護者にまつわる問題や、または指導者と審判との関係、選考の問題など、そういったことの件数が30件でした。通報者の内訳をみると、保護者が45%、そして匿名が44%です。匿名でないと言いにくいという面がやはり多くあります。実際に対応をして、対応が終ったのが14件、まだ継続しているのが44件です。ですからまだまだ、これを100%の解決をしていくのが本当に難しい状況があります。例えば匿名によるものが44%あるということは、情報や証拠の不足等で事実を確認することが非常に難しいということ、それから匿名によることですから、情報の信憑性、第三者からの情報も含めて確認がとりにくい、という事情もあります。また、通報者の保護を徹底する必要があります。通報を受け事実確認中に、通報者を探し出すことが始まることがあります。その結果、報復というか、その子がクラブにいられなくなったりすることも生じます。したがってこういうことをやるときには、通報者の保護を徹底しなければいけないということの中で、なかなか100%解決に持っていくことが難しくなっていることがあります。
ただ、JFAに113件の問い合わせがあったときに、各47都道府県協会にフィードバックをします。そうすると今度47都道府県協会は、当該の委員会でそれを調査する。そういったことによって、暴力、暴言が起こっているんだ、何とかしないといけない、ということで、問題意識が生まれるという効果があります。窓口を設け対応を始めたことの大きな効果の一つは、問題意識を共有してもらうということだと思います。今後さらに通報者の保護を徹底しながら、完全に問題が解決するように、我々も努力しますし、47都道府県FA、各種連盟の方々にも協力してもらいながら、一つ一つ丁寧にやっていかなければならないと思っています。

松崎
ありがとうございます。なかなか難しいですね。
実際に指導現場を持っている羽中田さん、ヨーコさん、どうでしょう? ご自分の選手時代の経験、現在の指導等について、お話をいただければと思います。

羽中田
30年以上前、そういう時代が時代だったのですが、殴られたりした経験はありますね。指導者からではなく先輩からというのがほとんどだったのですが。当時、「殴ってサッカーがうまくなるのか」と、憤りをすごく感じていました。自分が監督になって、サッカーの主役は選手である、プレー=選手である、戦術=選手である、と考えています。監督として、いかに選手の力になれるかが大事ではないかと考えています。その中で、暴力、暴言で一瞬のうちに選手との関係を断ってしまったら、何も選手のことを知ることができません。選手のために何をしたいかと考えたら、まず選手のことを知ることが大事だと思います。そのためにはコミュニケーションが大事で、選手からいろいろ教えてもらっている、自分達が教えるのではない、選手から教えてもらっている、選手達にそういうリスペクトをもってコミュニケーションし続けるということが大事ではないかと思っています。そういう想いで現場に立ちたいという気持ちでやっているつもりです。

松崎
スペインではどうですか?暴力なんかはないですか?

羽中田
昔はやはりあったみたいですね。改革があって、今は無くなっていると聞いています。実際にすべてがそうかはわからないですが。私は見たことはありません。選手と監督がコミュニケーションをとる、というか、すごく言い合っている場があります。俺はこう思う、いや違う、こうなんだ、と。グラウンドの上では選手と監督の激しいコミュニケーションがあります。そういうのをたくさん見てきました。

ゼッターランド
選手だった頃は、大体いつもチームで一番の怒られ役だったので、よく殴られていました。自分の周りでも、殴られて鼓膜が破れたとか、そういう話はたくさん聞きましたし、ひどい現場を目撃したこともあります。そういう中で、後になって怖いなと思うのは、当時はそういうことが、先生に怒られるとか、時には鉄拳制裁が飛んでくるというのが、そういうこともありだと、それが指導の一環であり、厳しさの裏返し、一つの選手を育てようという愛情表現の裏返し、そういうふうに思いこんでいたのではないかと。後になって、今こうやって問題として取り上げられている中でいろいろな人とお話しをして、当時を振り返ってそう感じることがあります。
私自身も殴られた経験がありますので、上のレベルに進めば進むほど、絶対になぐらない指導者の下でプレーしたいという方向を選んで行きました。
私はわからないことがあると質問することが多かったのですが、ごちゃごちゃ言ってないで言われたとおり黙ってやれ、と一喝されたことがありました。理屈をこねすぎても困るのですが、何かディスカッションをする、質問をするということが、先生の考えに反することを考えているから疑問が起こるのだろうというとらえられ方をしていたと思いますね。ごちゃごちゃうるさい、とよく言われました。羽中田さんのお話しの中でもあったのですが、やはり対話をしていく、ディスカッションをする中から、どういうふうにしていったら、例えばその技術一つを習得して先に進むことができるだろうか、そしてチームの勝利に結びつくだろうか、ということを模索していく辛抱強さ、言葉の数と忍耐力が、教える方にはすごく必要なのではないかと思います。私自身はそういう指導者を目指したいという想いでここまで来ています。
時には言いたい一言もあるのですが、まず飲み込みますね。自分が言われた時の気持ちを思い返すと、もしこのことを言ったとして、本当に私が伝えようとしたことをこの選手が理解する妥当な言葉なのだろうかと考えたときに、皆それぞれに理解力が違いますので、その子にあった、そしてそれがチームの結果につながっていくような言葉を毎日探し続けていますね。

松崎
ありがとうございます。指導者は大変ですね。

ゼッターランド
楽しいですが、大変です。

松崎
羽中田さんの言葉にもコミュニケーションというのがありました。なかなか言うことを聞かない子どもたちもたくさんいると思いますが、そこを辛抱強くコミュニケーションをとっていくのだと思います。
山口さん、暴力、暴言に対応するために、ウェルフェアオフィサーを導入していますよね。説明していただけますか。

山口
ウェルフェアオフィサーと言うのは、安心・安全担当者という意味ととらえていただければと思います。昨年から取り組み始めました。真ん中に大会役員、審判のインスペクター等と一緒にいる本部があります。両サイドにAチーム、Bチームがベンチを構えているのですが、二人の指導者の方がゲーム中に発言している、子どもたちへの発言、審判に対する発言、それを聞きながら、子どもたちの様子も見ながら試合を観ます。暴力はほとんどないですが、そこで不適切な言葉を使っていたりすれば、後で気づきを伝えます。よく「信頼関係があるから悪い表現でも子どもと指導者の関係でOKなんだ」と言われることがあります。ただ、第三者から聞いた時、その言葉はいくらなんでも不適切ではないですか、という立場をとります。サッカーを日本の国の文化にするためには、価値を高め守りたい。第三者が聞いたときにそぐわない言葉は使わない方がいいですよね、ということを気づきとしてその指導者に伝えていく。決して取締りということではなく、サッカーの仲間として気づきを伝える役割。その結果、子どもたちに対しての安心・安全を保障することにもなるし、そして何よりも指導者を守ることにもなるのではないかという取り組みです。現在はJFA主催の全国大会にそういう人を配置しています。

松崎
上川さん、どうですか。審判も一緒になって試合をご覧になっているのですよね。もう一点、審判についての暴言についても、言及してください。

上川
審判と技術の協調ということで何年も前からいろいろな取り組みを行っていますが、その一環の一つと考えています。実際に指導者として技術の方と一緒に試合を観ていると、プレーの目的、選手の意図等についていろいろ話を聞かせてもらい、我々もわかりやすくなります。そのタイミングではもちろん審判には伝えられないのですが、試合が終わった後、我々も伝えることができるし、技術の指導者からも、その時の判定についての〇×ということではなく、こういう見方もできるのではないか、というコメントをもらえます。これは我々にとってもサッカーの理解の幅を広げていくことにつながり、ひいては審判の向上につながっていくと思っています。
そしてもう一つ、暴言という話が出ましたが、ウェルフェアオフィサーがいることで、ベンチからの審判に対するプレッシャーが少なくなってきていると思います。そういう声が聞こえてこないということはレフェリーも自信を持って試合をコントロールすることができ、これもとてもいい効果があると思います。特に全日本少年サッカー大会の審判は全員ユース年代、高校生に担当してもらっています。正にレフェリーを始めて1~2年ではありますが、彼らは高い目標、モチベーションを持って審判活動を始めています。吸収力もとても高いものを持っています。
全国大会なので、とても緊張する場ではあるのですが、ただこの全日本少年サッカー大会の試合においてはそういう声がベンチからは出ないということで、大人であってもそうですが、彼らはもっともっと自信を持って試合に臨み、終わった後にいろいろ話を聞かせてもらえると素直に話も聞けるし、また次に生かして行こうという気持ちになっていくものだと思います。もしかしたら各地元ではそういう声がある中で試合をしているのかもしれませんが。そういう意味では、今多くの子が審判活動の世界に入ってきていて、彼らをいかに守りながら育てていくかは、日本のサッカーの将来にとっても大切なことだと思います。引き続き、この取り組みは、全国大会だけではなく各都道府県でも行ってもらえればと思います。
そして、暴言ですね。審判に対してはどうなんだろう、という素直な疑問を持つことがあります。指導者から選手に対して暴言が発せられる、同じような言葉が審判にも発せられることがあります。いろいろな取り組みをして正していかないといけないし、ウェルフェアオフィサー的な存在の方がいればいいのですが、いない時には、そこに対しては審判員が「そういう言葉は使ってはいけないのだ」としっかり示せるような、毅然さとか強さを持って、カードが必要であればカードを出す。そしてその判定あるいは判断に対して、我々がしっかりとサポートしてあげること。こういうことの積み重ねが最終的にはフェアですがすがしいサッカーの試合をつくっていくことにつながるのではないかと思っています。

松崎
ありがとうございます。
綾部先生、全日本少年サッカー大会でウェルフェアオフィサーがどんな感じだったか、大会の運営者としてどうご覧になっていましたか。

綾部
全少の大会の責任者をやらせていただいています。以前に比べますとだいぶ指導者も、指導者講習等で勉強され、子どもたちを伸ばそうという中で、とてもいい言葉かけをいただいています。でもかなり厳しく、第三者として見てこの発言はいかがかなというものもあります。ウェルフェアオフィサーを置くことによって、その監督さん達、指導者達が、とても子どもたちに対する良いアドバイスをしてくれた、というお話しもします。悪いところばかりを探すのではなく、指導者の良いところも見てもらっています。そういう意味で、ウェルフェアオフィサーとの「今日の試合どうでしたか」という会話、これも一つのコミュニケーションだと思います。子どもたちそれから監督さん、レフェリー、役員が一体化され、お互いにリスペクトしながらやるこの大会はとても価値の高いものだと思います。
先ほどからずっとお話しを聞いていて思ったのですが、子どもってすごく素直なんですね。でもその素直な言葉が逆にストレートすぎて、いじめにあたる場合もあります。そこをコントロールするのが大人であって、一番近い監督さん、指導者の皆さんだと思います。一番私がびっくりするのは、試合中に「おまえら、何やってんだ」ですね。これは一番まずい言葉だと思います。サッカーをやっているんです。楽しくサッカーをやっているんです。シュートをうって、はずすと「何やってんだ」と言う。いや、シュートしたんです。それがたまたまはずれたんです。うったことをほめてください。そうすれば何本でもシュートします。そのうち点は必ず入ります。プラスになる言葉をかける。それをコントロールするのがウェルフェアオフィサーのお仕事だと思っています。どうぞ引き続きご指導お願いしたいと思います。ありがとうございます。

松崎
どうもありがとうございます。
ウェルフェアオフィサーは現在は大会でやっているのですが、リスペクト・フェアプレー委員会としては、これを差別への対応にも活用しようと思っています。また、都道府県、あるいはリーグ、連盟そういうところに、もっと進めるのであれば各チームにウェルフェアオフィサーを置いて、直接の現場対応もしていただきつつ、そこの組織での啓発、差別根絶に対する教育、対応のシステムづくり、こういうものを担うオフィサーにしていきたいと思っています。詳細はまだ検討中なので、決まりましたらまたお知らせしたいと思います。
山口さん、本日皆さんに配布されている選手のためのハンドブック、ご紹介いただけますか。

山口
これは、いろいろ啓発活動をしている中で、選手自身が、たとえば相談できるところがあるということを知らないのではないかという指摘があり、子どもたちにそういった情報を知ってもらうような内容になっています。また、サッカー、スポーツを楽しむことは権利であるということ、子どもたちから指導者にお願い、良い指導者というのはどういう指導者なのかということ、自分に合った良いクラブを選ぼうということ、暴力・暴言はいらない、これは自分達の仲間に対してもそういういうことです。子どもたちが互いに仲間を大切にリスペクトすることを考えてもらう、何かあったら相談できるのだと言うことを知ってほしい。子どもたちがこれを見て、いろいろなことを考えるきっかけにしてもらいたいということで作成したハンドブックです。ぜひご活用いただければと思います。

松崎
ありがとうございます。
選手にとって、指導者はすごく大切ですね。コミュニケーションをとって指導をしていただければと思います。指導者のことをコーチって言いますよね。コーチと言うのは、馬車や列車、つまりゴールに向かって、勝利やその人の成長、そこに向けて選手を運んで行く存在だと思います。そういうような指導者が増えてほしいと思います。
最後に差別、暴力根絶について、皆さんから一言ずつお願いします。

山口
啓発や教育が非常に大切だと思います。ただ、もう一つ大事な要素として、私は、指導者を守らなくてはいけないのではないかと思っています。指導者がなぜ暴力を起こすのか、あるいは暴言を吐いてしまうのか、その要因となっている環境を整備しなくてはならないのではないか。例えば一人で50人も60人もの選手を教えることは不可能です。したがって、登録制度を見直して、たとえば20人から30人で一人の指導者がいるとか、または1人の指導者だけではなくその人数を2人で見てあげるとか、そういった整備が必要と考えます。そうしたら指導現場が陥りがちな閉鎖性も避けることができます。例えば私が子どもたちに対して悪い言葉を使っていたときに、相棒が「山さん、あれはよくないのではないですか」といったように、お互いに注意し合う。指導者だけに求めるのではなく、指導者を守る環境も我々が今後施策としてやっていかなくてはならないのではないか。今日はお話しできませんでしたが、そういう観点でも我々はやっていかなければならないなと思っています。

ゼッターランド
本日はありがとうございました。システムのことや役割のこと等、コーチングしていく上で勉強になることがたくさんありました。
今監督という立場で選手達に接していますが、何か一つのものを共に作り上げていく、一緒に作り上げていった喜び、達成感を選手達と分かち合いたい、そのための仲間であって、お互いをリスペクトして日々取り組んで行くということの大切さをあらためて今日感じました。そのことを普段接している選手達にも伝えていきたいと思います。コーチあるいは監督から教わったことが、その時は理解するのが難しくても、選手たちの中に残って、やがてプラスになっていく。少しずつだと思うのですが、どこかからスタートしていかないと、日本の中でのスポーツのコーチングが変わっていかないのではないかと思います。たくさん学びながら、日々実践していきたいと思っています。

羽中田
本日はありがとうございました。とても勉強になりました。
15年くらい前バルセロナにいたのですが、その時スタジアムで、猿の鳴き声をまねた大合唱をよく聞いていました。すごくいやな気持になって、なぜそんなことをするのか、と思っていました。それから徐々にそういうことを無くそうということで、いろいろな場で無くす運動が始まって、徐々に減って来たのかなと思ったのですが、またさらに事件があり…この問題は本当に難しい、根の深いものなんだな、もしかしたら、永遠になくならないものなのかな、というふうにも思えてしまいます。でもやはり選手や監督や指導者や審判、サッカーに関わるすべての人達が安心して楽しくサッカーをやっていくためには、こういったことを皆で語り続けていくしかないのかな、と思いました。たくさんの場所でこういったことをずっと続けていくよう、日本サッカー協会にお願いしたいです。よろしくお願いします。

上川
このシンポジウムに参加できたことを本当にありがたく思います。いろいろな学びを私もこの機会に多く得ることができました。話の中でお互いを知ること、理解すること、コミュニケーションということが出ました。よく、審判は何をやっているかわからない、と言われることがあります。その時に都度チャンスがあれば、レフェリーがどういうトレーニングをしている、どういう体力テストを受けているというようなことを紹介させていただきます。皆さんから、「ただ単に試合に来て笛を吹いているだけではなくて、日頃そういう取り組みがされているんだな、」というような声を聞くことができ、選手が審判への理解を深めることもあります。今後もできるだけ我々サイドからも審判のいろいろな取り組みをいろいろなところで皆さんに紹介することで、理解が深まって、より良い試合がつくられていくのではないかと、今日もいろいろなお話を聞きながら感じました。試合には、両チームの選手がいて、それを公平に安全に裁くレフェリーが必要です。試合は、誰が抜けてもできない。そういう意味で本当に仲間だということを皆さんにも意識していただきたいと思います。また、できれば、いろいろ不満を持つ判定もあるのかもしれませんが、試合がおわったらお互いの労をねぎらう、お互いの健闘をたたえ合う、しっかりと目を見て握手をし、ありがとうございましたと声かけをしていただければ、そのレフェリーは、また次に向けて、自分で分析、反省して、もっとポジティブに向かえるようになると思います。審判サイドからもできるだけ日本のサッカーをよりレベルの高いものに、より世界から認められるものにできるよう、取り組んで行きたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

松崎
ありがとうございました。先ほど大阪でのシンポジウムの話もさせていただきましたが、そこで、差別の根絶はなかなか進まない、法整備はされていてもなかなか難しい、しかし、サッカー、スポーツ界は、自助規制のシステムが構築されているということが話されていました。我々はやっていけると思います。やっていかなくてはいけないと思っています。規則があるからやらない、やってはいけない、ではなくて、リスペクト、大切に思うことを心の中で本当に理解し、そこからフェアプレーができる。先ほど握手の話が出ましたが、握手、すばらしい習慣だと思います。でも握手は、本当に相手のことを想って心からしっかり握らないとそれは握手ではないです。ただの飾りですね。日本人はよく体面を気にし、ブランド価値の話をします。こんなふうに見えるからブランド価値が下がるというような表現をする人がいるのですが、そんなブランドはめっきです。心の底にすばらしい価値があって、そこから発揮されるものが本当のブランドの価値だと思います。心からリスペクトがわかって、フェアプレーに出ていく。それはピッチ上であろうとピッチ外であろうとそうだと思います。そして、子どもたちはとてもピュアですね。指導者の皆さんがコーチとして、選手の技術の良さを引き出すように、本当のフェアプレーというものを引き出していただければと思います。
今日のシンポジウムにご参加いただきましてありがとうございます。ただ、シンポジウムというのは啓発のためだけにあるのではないのです。ここから出発します。行動を起こしていただきたいと思います。さまざまな差別、暴力が二度と起こってはならないと思います。差別や暴力はサッカーにはあってはならないと思います。すべての差別と暴力とサッカーは戦う。差別、暴力のない世界を、サッカーはつくってみせる。冒頭大仁会長に宣言をしていただきました。「差別、暴力のない世界を」というスローガンを我々は持っています。このスローガンをつくるときに、最初、「差別、暴力のない世界へ」や「世界に」という案もありました。でも「世界を」です。我々が世界をつくるのです。我々サッカーの仲間、スポーツの仲間は、差別と暴力のない世界を、自ら行動してつくりたいと思っています。スポーツの価値は、皆で高め、守っていかなくてはいけないと思います。
あらためて、本日多くの皆さんにご来場いただき、どうもありがとうございました。ぜひ皆さん自ら、また仲間と一緒に、行動し、差別、暴力のない世界をつくっていただければと思います。本当にありがとうございました。

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