日本サッカー協会（JFA）は9月11日(土)、「JFA リスペクトシンポジウム2021～子どもたちの明るい未来のために」をオンラインにて開催しました。

JFAは毎年、Ｊリーグや各種連盟、地域・都道府県サッカー協会と協力し、各種試合における「リスペクト・フェアプレー宣言」やバナーの掲出等を行うなど、スポーツの現場での差別や暴力に断固反対し、リスペクト（大切に思うこと）とフェアプレー精神を広く伝えることを目的とした活動を行っています。今年は9月10日(金)から19日(日)まで「JFAリスペクトフェアプレーデイズ2021」を設置しています。

シンポジウムでは、田嶋幸三JFA会長が基調講演を行いました。田嶋会長は、翌12日(日)にWEリーグが開幕することに触れ、「女性の社会進出の遅れを、サッカー界から変えていきたい」と話しました。また、子どもや障がいのある人、あるいはLGBTQの世界にもサッカーの門戸を開き、サッカー界から日本の社会を変えていきたいという思いを参加者に語りかけました。

今回のシンポジウムでは、特に子どもを守ることに焦点が当てられました。FIFAのセーフガーディングマネージャーであるMarie-laure Lemineur（マリー＝ロール ルミナー）さんもオンラインで参加し、FIFAがどれほどに子どもがサッカーに親しむ環境を大事に考え、大人による暴言や暴力といったハラスメントを根絶させるために尽力しているかを話しました。この取り組みには、全員が当事者意識を持って参加することが重要であると強調していました。

JFAでも、もちろん子どもを守る活動に力を入れており、担当者から暴力等根絶相談窓口の現状報告や、あらゆるハラスメントに対して「ゼロ・トレランス」（容赦なし）で対処するというJFAセーフガーディングポリシーについて報告されました。

さらに元日本代表の中村憲剛さんらが参加したパネルディスカッションが行われ、元選手やJFAリスペクト・フェアプレー委員などそれぞれの立場から、いかにして子どもを守るかが論じられました。自身が子どもの頃から大人に大切にされてサッカーに親しんできたと感じたと話す中村さんは、「僕自身もこの活動をより多くの指導者や親御さんらと広げていけるように、皆で一緒にやっていきたいと思いました」と話していました。

登壇者コメント

田嶋幸三 JFA会長
私たちはまず、歴史をリスペクトしようと思っています。JFAは9月10日に100周年を迎えました。その歴史の中には失敗したこともありますが、そういうことを乗り越え、改善しながら、次の100年に進んでいきたいと思っています。選手、指導者、審判を大切にする、そして人々を、フットボールを大切に思うことを忘れずにやっていきたいと思っています。歴史を大切に思い、未来に責任を持つということは、今の子どもたちを大切にするということです。リスペクトの精神を忘れることなく活動していきたいと思っています。

マリー＝ロール ルミナー FIFAセーフガーディングマネージャー
子どもたちを危険から守ることは、道徳上の注意義務であると同時に、法的な注意義務でもあります。この項目はさまざまな国の法律で制定されています。FIFAセーフガーディングの取り組みは、短距離走ではなくマラソンです。目標を達成するには、皆さんの力が必要です。加盟協会、大陸連盟の方も一緒に、マラソンを走っていただく必要があります。このプロセスにおいては、全員がFIFAガーディアンズ（見守る人）なのです。

山岸佐知子 JFAリスペクト・フェアプレー委員会委員長
JFA100周年となり、この一世紀の間、多くの方が歴史を切り拓いてくださいました。我々大人は子どもたちに素晴らしい未来を与えていく責任があると思います。この子どもを守る取り組みは長い歴史の中では始まってそれほど年月が経ってはいませんが、本当にゴールのない旅だと思います。時代が変われば考え方も変わってくるので、まず自分たち自身をアップデートして、情報をしっかり得て、正しい道は何なのかということを模索していく必要があります。これからも皆さんと一緒に子どもを守る取り組みを推し進めていきたいと思います。