2016年10月11日にアウェイで行われたオーストラリア代表との一戦は、1-1の引き分けに終わった。開始5分に原口元気選手のゴールで先制したものの、52分にミレ・イェディナク選手のゴールで追いつかれた。
この試合で日本代表は、本田圭佑選手を1トップに置く布陣を採用。守備を重視し、アウェイで最低でも勝点1を確保する戦いを選択し、目論み通り1ポイントを加算。守備的な戦いは一部で批判も受けたが、結果的にここで引き分けた(負けなかった)ことが、現在、オーストラリアを上回りグループBのトップに立つ要因となっている。
日本がこの試合で粘り強く戦ったのは、データにも表れている。6本対10本と相手よりもシュート数が少なかっただけではなく、ボールポゼッションでも32%対68%と大きく下回った。もちろん、早い時間帯に先制したことで、受け身に回ったことも影響しているが、この日の日本からは――決してリスクを冒さず、安全策を徹底し、1点を守り抜く、あるいは最低でも引き分けに持ち込む――という、いい意味での割り切りが感じられた。
ポゼッションで後塵を拝せば、当然、パスの数もオーストラリアよりも下回った(298本対643本)。さらにパス成功率でも67.8%対87.2%と日本のパス精度の低さが浮かび上がる。これはつなぎの意識を捨て、ロングパスを多用したことが原因で、日本のロングパスの割合はオーストラリアの11.4%を上回る24.2%だった。
クロスの数もオーストラリアより少なく(18本対26本)、その成功率も下回った(27.8%対34.6%)。ほとんどの攻撃スタッツはオーストラリアよりも低い数値に留まり、日本が守備的であったことはデータ上でも明らかだ。
一方で、際立っていたのは、ハリルホジッチ監督が求めるデュエルだ。勝率は54.1%対45.9%と上回り、空中戦でも54.2%対45.8%と、フィジカルで勝る相手を凌駕した。球際の争いで互角以上に渡り合えたのは、ホームでの戦いに向けてポジティブな材料だろう。
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粘り強く耐え凌ぎ、勝点1を確保できたのはアウェイでの戦いとしては及第点。しかし続くホームでの一戦は、引き分けではワールドカップ出場権を手に入れることはできず、プレッシャーのかかる最終戦へともつれ込むこととなる。勝点3が求められるなか、日本代表はいかなる戦いを見せるのか。アウェイの戦い同様に、守備的に挑むのか。それとも勝利を得るためのアグレッシブな戦いを披露するのか。ハリルホジッチ監督の選択が、この試合の最大の焦点となる。
※アジアサッカー連盟(AFC)の公式データを元に記事を構成しております