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【SPECIAL】サッカーはこう楽しむ、小野伸二さんインタビュー
2024年02月09日
体を動かしてサッカーの楽しさや難しさを実感してほしい
卓越した技術と創造性豊かなプレーで世界中のサッカーファンを魅了してきた小野伸二さん。選手としてプレーする上で、また、いちファンとして試合を見る上でどのようにサッカーを楽しんできたのか。今シーズンの注目ポイントと併せて伺いました。
※このインタビューは2024年1月30日に実施しました。
ボールを蹴っていること自体が楽しい
――ご自身にとってサッカーの楽しみとは。
小野 ボールを蹴っていること自体が楽しみ。それが全てですね。試合をする際には、お客さんの反応や歓声も大きな楽しみでした。
――創造性に富んだプレーが小野さんの魅力の一つでしたが、ピッチではどのようなことを考えていたのですか。
小野 前提として、当たり前のことを当たり前にやる。その上で、相手選手や見ている人たちが思いつかないことをしたいと考えていました。プレーの選択肢の幅は人並みだったと思いますが、それを実際にアクションとして起こせるかどうか、また、実現できるかどうかは大きな違いです。試合では練習で身に付けたものしか表現できませんから、練習で多くのトライとミスをすることが大事だと思います。
――試合で最も楽しいと思うのはどのような瞬間ですか。
小野 チームが勝つことはもちろん、自分の狙いや考えがプレーとして成立したときは楽しいですし、気持ちいいですね。ただ、うまくプレーできても試合に負けてしまうこともありますし、その逆もありますから、全てがうまくいく試合は本当に少ないです。
――これまでで最も楽しめた試合は。
小野 どの試合も楽しんではいたので、これが一番というのを挙げるのは難しいですね。結局、試合でボールを蹴っていること自体が楽しい、というところに行き着いちゃうので。
――サッカーを始めた当初とプロとして活動した期間でサッカーの楽しみ方に変化はありましたか。
小野 根本的な楽しさは変わりません。ですが、プロとしてはやはり、お金を払って見に来てもらうわけですから、ファン・サポーターを満足させる、またこのチームを見たいと思ってもらえるようなプレーを見せる、ということは常に考えていました。
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スタジアムでサッカーの素晴らしさに触れてほしい
――いちファンとして試合を見る際にはどのような点に注目していますか。
小野 自分が気に入っている、あるいは気になる選手のパフォーマンスをチェックしたり、戦術に注目したりと、さまざまな角度から見ています。近年は、北海道コンサドーレ札幌の試合ばかり見ていたので、ミシャさん(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)のやろうとしているサッカーが楽しいと感じていました。それは見ていても、プレーしていてもそうです。
――スタジアム観戦の醍醐味(だいごみ)はどこにありますか。
小野 何といっても臨場感です。目の前で繰り広げられる試合は、テレビ観戦とは全く異なる迫力があります。選手とファン・サポーターがつくり出す一体感も素晴らしい。見ていて感動しますし、本当に楽しい時間になると思います。
――このインタビューを読んでいる人の中にはまだスタジアムで観戦したことがない人もいると思います。
小野 一緒に行く人がサッカーやチームに詳しければ、楽しみ方を教えてくれると思いますが、感じ方は人それぞれなので、こうすれば必ず楽しいということは言えません。それでも、一度スタジアムに来てもらえれば、何も言わなくてもその楽しさは伝わると思いますので、ぜひスタジアムに足を運んでサッカーの素晴らしさに触れてください。
子どもたちにサッカーの楽しさを伝えていきたい
――新シーズンのJリーグがもうすぐ開幕します。注目のポイントを教えてください。
小野 どのチームもチャンピオンになるための準備をしていますので、どこがスタートダッシュできるのか、2023シーズンに優勝したヴィッセル神戸や同2位の横浜F・マリノスなど上位チームがどういうチームをつくってくるのか、そういったところは注目ですね。昨シーズンは毎熊(晟矢)選手のようにJリーグで活躍してSAMURAI BLUE(日本代表)に選出された選手もいますから、新たな選手の出現にも期待しています。
――ご自身が子どものころに見ていてわくわくした選手はいますか。
小野 ディエゴ・マラドーナ(元アルゼンチン代表)です。それは今も変わりません。彼がボールを持つだけで何が起こるんだろうとわくわくする。こんな選手はほかにいませんし、言葉では言い表せないくらい特別な存在でした。実際に対戦した選手では、ジネディーヌ・ジダン(元フランス代表)が印象的でした。対峙(たいじ)するとそのすごさが本当によく分かります。レベルが違うな、と。
憧れの選手はマラドーナ。対戦した選手ではジダン(上写真)が印象的だったと話す
――現役の選手はどうでしょうか。
小野 なかなか思い浮かばないですね……。強いて挙げるならケヴィン・デブルイネ(ベルギー代表/マンチェスター・シティ所属)かな。日本にもこういう選手がもっともっと出てきてほしい。そうすればより多くの人がサッカーに注目してくれるはずです。
――昨シーズンはご自身と同世代、いわゆる「黄金世代」の選手も多く引退されました。
小野 コミュニケーションアプリでつながっていますので、頻繁ではないですが、誰かの誕生日などではメッセージを送り合っています。ピッチ上では、何も言わずとも意思疎通が図れましたから、一緒にプレーしていて楽しかったですし、今でも大事な仲間です。
第10回FIFAワールドユース選手権で準優勝。黄金世代は「大事な仲間」と語る
――1月14日に北海道コンサドーレ札幌のアンバサダーに就任されました。今後はどのようにサッカーに携わりながら楽しんでいきますか。
小野 僕自身も一緒にボールを蹴りながら、子どもたちにサッカーの楽しさを伝えていきたいと思っています。
――このインタビューを読んでいるサッカーファミリーに、今後どのようにサッカーを楽しんでほしいですか。
小野 サッカーは年齢に関係なくできますし、近年はウォーキングフットボールなどさまざまな形でボールを蹴ることができる環境が整ってきていますから、皆さんにはぜひ体を動かして、サッカーの楽しさはもちろん、難しさを実感してほしいですね。自分でボールを蹴ることでサッカーの見方も変わって、もっともっと楽しめると思います。
プロフィール
小野 伸二(おの しんじ)
1979年9月27日生まれ/静岡県出身
日本、オランダ、ドイツ、オーストラリアの7クラブでプレー。フェイエノールト在籍時にはUEFAカップ(現、UEFAヨーロッパリーグ)で優勝を経験。各年代の日本代表にも選出され、1999年にはFIFAワールドユース選手権(現、FIFA U-20ワールドカップ)で準優勝。FIFAワールドカップには1998年、2002年、2006年と3大会連続で出場した。2023シーズン終了後に選手を引退し、2024年1月14日に北海道コンサドーレ札幌のアンバサダーに就任した。
多くのサッカーファンを魅了し、多くのサッカーファンに愛された
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