ニュース
アカデミー堺 トレーニングコンセプト ~JFAアカデミー堺 スタッフ通信Vol.2
2018年08月21日
JFAアカデミーでは「常にどんな時でも(日本でも海外でも)ポジティブな態度で何事にも臨み、自信に満ち溢れた立ち居振る舞いのできる人間の育成」というフィロソフィーを掲げ、真のエリートを目指して日々活動しています。
JFAアカデミースタッフ通信では選手たちの日常の様子や、日々の活動を詳しくお伝えしています。
JFAアカデミー堺の第2回目のレポートを担当するのは、三輪由衣コーチです。
一週間の過ごし方
JFAアカデミー堺コーチの三輪由衣です。JFAアカデミー堺に所属して5年目になりますが、現在はJFAナショナルトレセンコーチ女子関西担当としても活動しています。今回は、私が担当するU-15のオンザピッチでの取り組みについてご紹介します。
週末帰省型のJFAアカデミー堺では、月曜日から金曜日までアカデミーで生活し、週末や夏休みなどの長期休暇中は地元の所属チームで活動します。月曜日はトレーニングをOFFとし、英会話やマナーセミナーといったオフザピッチのJFAプログラムに取り組んでいます。そして火曜日から金曜日のトレーニングでは、1学期の間は、U-15(中3と中2の計24名)とU-13(中1の12名)の、2つのカテゴリーに分けてトレーニングを行いました。これは、U-13の選手たちが寮生活やトレーニング環境(ゴール・コート・ボールなど)、週末帰省など、小学校年代からの様々な環境の変化に順応しながら、すべてにおいて基本をしっかりと身につけるためです。
トレーニング
現代サッカーでは、攻守においてコンパクトに、コレクティブに戦う「攻守一体化」の中で、質の高い「個」の能力の発揮が求められています。JFAアカデミー堺では、瞬時に変化する状況を素早く判断して適応できる自立した選手を目指して、育成年代でこそ身につけなければならない「基本」を徹底してトレーニングしています。
ここでいう基本とは、
・判断を伴う動きながらのテクニック
・攻守に関わり続ける個人戦術
・持久力(運動量)
のことです。
U-15のトレーニングでは、これまでに積み上げてきた動きながらのパスやコントロールの質、守備での1対1のステップワークやコンタクトスキルなどの個人技術を徹底しながら、グループやチームといった組織の中で活きる個人戦術について理解を深めることを求めています。そして、持久力(運動量)を向上させることを意識し、常にボールを使いながらトレーニングのインテンシティー(強度)をコントロールしていますが、運動強度を上げていく中で課題として挙げられたのは、アジリティー・コーディネーション能力の向上の必要性でした。プレッシャーのかかる状況下では、判断力のスピードアップとともに、身体を思い通りに動かせることや、身体のバランスがとても重要となります。また、発育発達の面からポストゴールデンエイジにあたるこの年代は、テクニックの習熟に加え、骨格の成長に伴うスピードやパワー、運動量などのフィジカル的要素がより成長する時期といわれています。
発育発達上の特徴を踏まえ、日々のトレーニングのはじめには、体幹やバランス、柔軟性など全身の機能を高めるダイナミックストレッチを取り入れたムーブメントプレパレーションをはじめとした、動きづくりのステップワーク、アジリティー、自体重負荷トレーニングを15~20分間必ず行っています。いずれも正しい姿勢から軸を安定させた状態で、前後・左右・ななめ方向に自分の身体をスムーズに動かすことを意識させ、加速・減速・ターンを繰り返すサッカーの動作の中で、より素早く思い通りにプレーできることを目指して、選手個々にアプローチしています。
毎日の取り組みによって姿勢が矯正され、走るフォームが良くなったことで、スピード測定(10m、40m)でその成果を発揮できた選手も多くいました。さらに、JFAアカデミー堺ではチーム活動は行っていませんが、日々のトレーニングの成果と課題をより明確にする目的で、平日のアカデミー活動の中で海外チームとの国際試合や中学生の男子クラブチーム、高校の女子サッカー部と対外試合を定期的に行っています。これらのゲームの中でも、体格の勝る相手に当たり負けせず、安定したテクニックを発揮できるプレーが増えてきたと感じています。
今後は、基本の徹底を継続しつつ、攻守においてプレーに関わる人数を増やしていく中で、全員がボール状況を観て関わり続けることの意識を高め、プレーのクオリティーとインテンシティーを高められるように取り組んでいきます。
現在JFAアカデミー堺は夏休みのため、長期帰省中です。選手個々が所属チームでの活動を充実させながら、多くのことを学び一回り成長した姿でアカデミー寮に戻ってくることを楽しみにしています。