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[特集]GKへの理解 川俣則幸JFA GKプロジェクトリーダーインタビュー 後編
2020年06月04日
JFA GKプロジェクトの先導役として、GKの普及や育成・強化、指導者養成に力を注ぐ川俣則幸リーダー。長らくGKの活動に携わる中で感じている変化、GK活動全般の成果や課題、今後プロジェクトで取り組んでいきたいことなどを聞いた。
インタビュー日:2019年12月23日
※本記事はJFAnews2020年2月に
掲載されたものです
好事例を共有してGKにとってより良い環境を
――GKに関わる指導者の養成でも課題は多いと思います。
川俣 GKの指導者ライセンスを持つ指導者は増えていますが、JFAの全登録チームからするとだいたい13チームに1人しかいないという計算です。U12年代に限ると約15チームに1人となりますから、GKコーチ不足は解消していかなければならない課題です。
GK指導の基礎となるGK-C級コーチ養成講習会は、当初1コースでスタートしましたが、今では年間10コースを開催するまで広がっています。コースを増やす一方で、各都道府県サッカー協会(FA)で開催したり、合宿形式ではなく、週末に開催して通いで受講できるようにするなど、ライセンスをより取得しやすい環境にしていく必要があると思っています。
――その他に、指導者養成で取り組んでいきたいことは?
川俣 リフレッシュ研修会などを含め、GKコーチが研さんを積む機会を増やしていきたいと考えています。JFAではGKコーチリフレッシュ研修会を年に1回開催していますが、受講者からの評判も良いため、内容や展開方法を考えながらもっと全国に広げられたらいいなと思います。
――GKコーチがいないチームが多い中、そのサポートとして考えていることはありますか。
川俣 昨年夏の全国大会時に出場チームの監督やGKコーチに集まっていただき、「GKコーチ情報交換会」と題してディスカッションを行いました。その中で、特に中学校や高校でGKコーチの数が不足しているという声がありました。好事例としては、ある高校ではライバル校のGKコーチにお願いして週に1回来てもらっているケースやOBのGKを外部指導員として招いているといった話が紹介されました。また、複数のチームを掛け持ちしながら活動し、GKコーチとして生計を立てているという方もいました。皆さんのご尽力のおかげで少しでも良い環境に近づいているのは素晴らしいことだと思います。
また、各FAでもGKトレセンやGKキャンプを積極的に開催しており、チームに指導者はいないけれど、トレセンで専門的な指導を受けられるような環境が出来上がっています。こうした、さまざまな工夫をして活動している事例などを広く伝達していくとともに、JFAとしてもできる限りのサポートをしていく考えです。
GKの指導者ライセンス取得を促すことと同時に、リフレッシュ研修会など
さまざまな研さんの機会を設けている
――GKコーチ以外にも、監督やコーチ、そして保護者などがGKのメンタルなどを理解することも必要だと思います。
川俣 その通りです。JクラブのGKスクールでは、保護者に体験を促すコースもあります。実際にGKをやってみることでその難しさや大変さが分かります。それにより、GKに対する見方も変わってくると思います。
以前、ある中学校の監督が試合の開始前にGKグローブをつけて選手のウォーミングアップを行っている姿を見たことがあります。また、高校の監督が「自分が勉強して教えられるようになりたい」と言ってGKの指導者ライセンスを取りに来られたこともあります。サッカー指導者である以上、GKのこともしっかりと理解して指導できるようになってほしいと考えています。
――GKも含めてサッカーの指導ができることが大事なんですね。
川俣 サッカーは、GKを含めてサッカーです。GKのことが分からないからといって、選手やGKコーチに任せきりにしてしまうと、試合中にフィールドプレーヤーとの連係という話になったときに指示ができなくなってしまいます。
一方で、GKの指導者ライセンスコースでも「GKのことしか分からないGKコーチではダメですよ」と伝えています。サッカーの指導がしっかりできる、サッカーを理解していることをベースに、その上でGKを教えられるというスペシャリティーが加わることが理想です。
監督・コーチ、そしてGKコーチを含めて、専門性に固執することなく、同じ基準でサッカーを見て理解を深め合っていく。そのアプローチができればチームも良くなり、ひいてはGKも良くなっていくと思います。
2019年に行われた新GK-A級コーチ養成講習会に向けたインフルエンスコース
(中央は講師のフランス・フック氏)
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