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今年度初めてとなるJFAフットサルGKキャンプ2023が終了
2023年06月05日
フットサルGKキャンプは将来のフットサル日本代表ゴールキーパー(GK)を育成・強化することを目的とし、今年で6年目を迎えます。2023年度の第1回は6月3日(土)から2日にかけて高円宮記念JFA夢フィールドで開催しました。
14歳から19歳と例年よりも幅広い年齢層の選手を招集し、Fリーグの育成組織や各地域リーグでフットサルをプレーしている選手、大学のフットサル部や普段サッカーをプレーする選手などそれぞれ違ったバックグラウンドを持った総勢10名の選手が集まりました。活動では2021年に立ち上がったJFAフットサルGKプロジェクトの内山慶太郎リーダーと山田マルコス勇慈氏(しながわシティ)がコーチとして指導にあたりました。
集合当初の選手たちは、慣れない環境、初めて会う仲間たちにやや緊張の面持ちで静かなスタートとなりました。オープニングではフットサル指導者養成ダイレクターの前川義信氏をはじめとした各コーチから挨拶と、今回のキャンプの意図・狙いを伝えました。
また、フットサル日本代表の木暮賢一郎監督(兼U-20フットサル日本代表監督)からも、「この機会に色々なものを吸収して欲しい。我々はいつも見ている」と伝え、選手たちの今後の成長を促すとともに「代表」を強く意識させる言葉を送りました。
内山GKコーチからは、「覚悟」「礼節」「団結」「責任」という日本代表アイデンティティの言葉を用いて選手の姿勢にも言及しました。
技術面に関しては、UEFA フットサル・チャンピオンズリーグのデータや映像を見せながら、現在のGKに求められている要素として、足元の技術の重要性も伝えました。
初日のトレーニングは、前日からの台風の影響で1時間遅れのスタートとなり、新幹線での移動を予定していた選手は、第一セッションには間に合わないというアクシデントに見舞われました。体育館に入った選手にはまだ緊張感が漂う空気がありましたが、コーチたちの言葉ひとつひとつに真剣な眼差しで耳を傾け、プレーで体現しようと必死に取り組んでいました。
全選手が揃った第二セッションから空気は変わり、この活動に複数回参加している選手を中心に、選手間で鼓舞し合うような声掛けも増え、一気に活気が増します。
これから更に成長していく年代の選手に対し、内山GKコーチは、姿勢やキャッチングという基本的な部分にも丁寧に指導をしていました。
夕食後のミーティングでは、府川俊一郎氏(湘南ベルマーレフットサルクラブ)にコンディショニングについてのレクチャーを受けました。10代の若い選手だからこそ、今の段階から意識して行くことが重要な休養、栄養、睡眠という基礎的な部分を、日頃の生活において具体的にどのような選択肢があるのかを伝え、日常からの変化を促しました。
最終日のセッション前には、前日のトレーニング映像を振り返りながら改善点などを選手に伝え、より意識させる部分を明確にしてから体育館に入りました。
前半部分では、連続するプレーの中で如何に正しい位置でポジションをとり、姿勢を正しく作れるかという、ミーティングで伝えられた内容に、選手たちがプレーで応えます。
3セッション目になると、選手間でのコミュニケーションも多くとれており、お互いに姿勢やポジショニングを注意し合う姿も見られました。
最後には、3対3のゲーム形式を行い、ゲーム中の判断にもコーチングが飛びます。
参加選手たちは、最後の最後まで力を振り絞りプレーしました。
解散前の全体ミーティングでは、山田GKコーチより、「台風によるアクシデントもあり、大変な中の開催でしたが、トップチームにいけば、どのような状況下でも力を発揮しなければいけない。今回のみんなは素晴らしい対応力だったと思う」と選手の姿勢を称えました。
前川育成ダイレクターは「1泊2日で全てが変わるとは思っていない。ここで学んだこと、刺激をチームに持ち帰り日常から変えていって欲しい」と成長を促し、最後には、木暮フットサル日本代表監督から「君たちには可能性しかない。U-19フットサル日本代表やフットサル日本代表に入ってくるようになれば一緒にトレーニングや試合に行くことになる。そうなる日を楽しみにして、君たちの成長を見続けたいと思う」と、言葉を送りました。
最後に、内山フットサルGKプロジェクトリーダーより、セービング、ブロッキング、パス&サポートなど取り組んだ内容の整理をパワーポイントを用いて丁寧にまとめ、「ここで得たものを基準に、自己分析出来るようになって欲しい。今の基礎動作はどうだったのか、今のプレー水準は求められているレベルなのか。」とこの1泊2日ではなく今後につなげて欲しいと伝えて、1泊2日の全日程を終了しました。
指導者コメント
内山慶太郎 コーチ(JFAフットサルGKプロジェクトリーダー)
2023年度1回目のフットサルGKキャンプを無事に開催することができました。
開催前の荒天の影響によりスケジュール変更を余儀なくされるなか、選手たちは自分自身のやるべきことに集中し、それぞれの世代を代表する選手に相応しい姿勢をオン・オフの双方で示してくれました。
今年度よりGKに必要な技術や戦術の学習だけではなく、フィットネスの側面からの働きかけも具体的に取り組んでいくことに内容を変更しました。帯同いただいた府川さんの指導により選手たちは、筋力面のみならず、食事・睡眠・休養・ケアについても多くの学びがあったと思います。
この活動は、日常ではなく非日常です。最も重要なことは、この非日常の活動で学び実践したことをどのように日々の過ごし方に落とし込んで、成長へと繋げるかということです。
1つでも多くの要素を自分のものにし、今後の試合などで成長した姿が見られることを楽しみにしています。
最後になりますが、天候が不安定な中で選手を派遣してくださった保護者と指導者の皆さま、そして素晴らしい姿勢を見せてくれた選手の皆さんに感謝を申し上げます。
山田マルコス悠慈 コーチ(JFAフットサルGKインストラクター/しながわシティ)
私は2018年に茨城県で開催された初回のフットサルGKキャンプに参加しましたが、このプロジェクトは素晴らしい成果を挙げているかと思います。
このキャンプに参加したほぼすべての選手がFリーグの選手になり、中には日本代表でも活躍する選手もいます。
目標として掲げているワールドカップ優勝を目指す長期計画は道半ばで、GKに求められるものは当時と大きく変わりました。私たちコーチは、常に自分たちをアップデートし、GKを向上させるための新しい方法を見つけることが求められています。JFAフットサルGKプロジェクトは、知識の普及や蓄積だけでなく、全国的なネットワークを提供することで、多くの選手の育成に重要な役割を担っていると考えています。
この世代はその夢を叶える適齢期ですから、理想のGKに求められる基準や役割を理解させることが重要です。今回のトレーニングキャンプで内山氏は、現代のゴールキーパーは守備の技術だけではなく、攻撃時にチームに重要なアドバンテージを提供できるようになることを特に強調されていました。短い時間でしたが、私たちを含め、参加した一人ひとりにとっては、非常に重要な経験だったと思っています。日頃の練習に方向性を与え、トップを目指すエネルギーを新たにする大きな機会になったと思います。
選手コメント
小林剣太 選手(多摩大)
まず始めに今回のGKキャンプの開催にあたって関わっていただいたすべての方に心より感謝申し上げます。
今回で自身3回目のGKキャンプに参加させて頂きました。
前回のキャンプで出た課題の1つでもある、「シュートストップ」「反応」の部分を意識してトレーニングに挑みました。1stシュートの対応は成長できていると思いますが、2ndシュートへの対応があまり良くないと感じました。シュートが体にあたり止めたと思いきや2ndシュートで決められるという経験をしたことのあるGKが多いと思います。しかしレベルの高い試合では「強い」だけでなく「上手い」シュートが多く飛んでくる中1stシュートを止めるだけでなく、遠くへ飛ばしペナルティエリア内にボールを残さない事の大切さを改めて認識しました。
オフザピッチの部分では、府川アシスタントコーチより短い時間でしたが講習を受けさせて頂きました。プレーヤーとして自分の持っている100%の力を試合で出すために、自分が行っている行動で何が正しく、何が間違っているかを整理し有意義な時間になりました。
2日間という短い時間でしたが、今回のキャンプで得た知識、経験をチームに戻り共有し1日でも早く「日の丸」のエンブレムを纏いプレーできるように努力に励みたいと思います。
野村大貴 選手(ヴォスクオーレ仙台サテライト)
今回、初めてゴレイロキャンプに参加させてもらい沢山の収穫ができたと感じます。なかなか2日間通しでゴレイロに特化したトレーニングが無かったため、疲労の蓄積であったり、リカバリーの部分も足りなかったり等しましたがとても新鮮に感じた面もありました。2日間のトレーニングを行い、自分にはまだまだ足りない事が沢山あると感じましたが、自分と向き合い見つける事が出来たので、今後自チームで更に自分を磨けるように頑張りたいと思います。ゴレイロというポジションは、1つのエラーで試合が決まってしまうような重要な立場である、大事なのは技術もそうだけどメンタルが大事。試合に向き合う気持ちであったり、練習に取り組む気持ち、それが自分を強くしそれ相当にメンタルというのも強くなっていくと山田マルコスさんがおっしゃっていました。その言葉には物凄く意味があって今の自分達への最高の言葉だなと感じました。そして、今回一緒に参加していた仲間達には、自分とは違うプレースタイルであったり自分には無いものを持っていたり等トレーニングの他に見て感じるものがありました。体の大きさ、俊敏さ、質の高さ、全員が色々な特技や特徴を持っていてそれにも刺激を受けました。その中でもやはり1番思えたのは、「楽しい」という気持ちでした。ここまで追い込める機会もなければ、最高の施設や設備が何よりそう思える要因でした。また、秋にキャンプがあります。そこにも呼んでもらえるよう日々のトレーニングから、今日本代表に求められているテーマや自分の改善点を徐々にレベルアップさせていき少しでも変わった姿で参加したいと思います。
伊藤鳳起 選手(フウガドールすみだファルコンズ)
今回初招集という形でこのキャンプに参加させてもらいました。同年代で活躍する選手の集まるトップレベルのトレーニングということで最初のセッションではとても緊張してしまい、たくさんミスをしてしまいましたが、周りのコーチ陣や選手がたくさん声をかけてくれたりしたことで乗り越えられ、次のセッションから気楽にプレーできるようになりました。こういう人間関係の大切さを感じることができました。またこういう機会を通じて自分がどのくらいのレベルでプレーしなければいけないのか、日本を背負えるような選手になるにはどうすればならないのか、ということも学べました。この経験を普段の練習や試合に生かし、成長し、またこのキャンプや日本代表などのチームで活動できるよう頑張りたいと思います。
手嶋悠登 選手(名古屋オーシャンズU-15)
今回初めてGKキャンプに参加させてもらいました。これまで自分が身につけてきたものがどこまで通用するのか、また、この先自分に必要とされるスキルは何かを感じ取るためにキャンプに臨みました。
1日目では、ブロッキングのときの自分の身体の位置取りに甘さが見られたり、スプレッドの身体の使い方で課題を見つけることができました。また、2対1の練習では、攻撃時の楽しさを改めて感じました。
2日目では1日目の振り返りを交えながらセカンドアクションに対する細かな動作へのこだわりを勉強することができました。それ以外にも、予防、睡眠、休養この3つを忘れずにこれからの、生活で意識していこうと思います。
全体を通じて、これまで続けてきたトレーニングの大切さと、これからレベルアップするために必要な事を知る良い機会になりました。
次回も呼んでいただけるよう、自分の強みと今回得た課題を克服できるように日々のトレーニングに励みたいと思います。
また、今回選ばれたことに満足せずここからがスタートラインだと思って日頃の練習に生かします。
最後に、今回このような機会を与えてくださったスタッフや関係者の皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。