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第12回JFAレフェリーキャラバンを滋賀県で開催
2016年03月01日
第12回JFAレフェリーキャラバンを2月20日(土)守山市立中洲公民館、21日(日)立命館守山高校で開催しました。U22審判員の強化とインストラクターの資質向上を目的として、1日目は座学、2日目は立命館守山高校の協力の下、プラクティカルトレーニングを中心としたプログラムで2日間のキャラバンを実施しました。1日目の座学で新しい知識に触れた受講者は、目を輝かせモチベーションを上げ、2日目の実技では積極的に声を出し、身体を動かして取り組んでいました。特に、チュータリングや試合の分析手法等の1日目で得た知識を2日目の実技で活かそうとチャレンジする審判員・インストラクターの姿勢に、8年後開催の滋賀国体に向けた育成強化の良いスタートとなりました。
JFA審判インストラクターコメント
黛俊行 審判委員会副委員長
今回の講習はチュータリングとプラクティカルトレーニングという指導方法を今後の審判員育成に役立てていただく目的で実施しました。知識や経験を教えること(ティーチング)に執着した指導になりがちですが、参加者の疑問点や課題と感じていることを「質問」をすることで引き出し、それを競技規則に沿ってどう解釈すべきなのか、参加者の意見を聞き出しながら「行動」させて自ら気付かせる手法(チュータリング)が、効果的な学びのテクニックだと感じていただきたいと思います。また知識や実戦経験の少ない若い審判員にとって、チュータリングという指導法を使って暗黙知を形式知に置き換える作業をすることで知識やテクニックを整理することや定着化することができると考えています。
今回滋賀県では若い審判員の方に多く参加していただきました。8年後に2巡目の滋賀国体が控えていることで、その準備ということもありますが、みなさん大変意欲的で将来性を感じました。2日間という短い期間でしたが、楽しみながら学び、すべての参加者が同期することをオープンニングでお話させていただきましたが、ノリのよい滋賀県のみなさんのご協力で当初の目的は達成できたのではないかと思っています。
滋賀県サッカー協会 参加者コメント
西岡昌弘 滋賀県サッカー協会審判委員長
「若い審判員が着実に力を着けて行ってほしい。そのためには、インストラクターが指導力を高めなければならない。」との思いを持って臨んだ滋賀のJFAレフェリーキャラバンでした。黛副委員長には、大テーマである「同期」と具体的テーマ「短期記憶を長期記憶に」、「暗黙知を形式知に」に沿って審判員・インストラクターを熱く指導していただきました。
浅井1級インストラクターには、楽しい雰囲気のなかで動きながら話すことで引き出す学びの手法「チュータリング」を温かく指導していただきました。八木プロフェッショナルレフェリーには、審判としての心構えや準備、事象を正確に見るための体の使い方を審判員にわかりやすく指導していただきました。今回のキャラバンで多様な内容を様々な手法で指導していただいたことのなかに、8年後開催の滋賀国体を見据えた若い審判員の強化とインストラクターの資質向上の今後の取り組みについて、多くのヒントを得ることができました。
早川義弘 3級審判インストラクター
今回のキャラバンのテーマを通して、プラクティカルトレーニングにも通じる考え方であり、「教えすぎない」ことで審判員自身が主体的に考え行動している実感を持つようになるのだと感じました。「自ら学ぶように仕向ける」ためには、審判員がその気になり、行動が内発的に行われるとき、"Learning Cycle"は勢いよく回り出す、と思いました。回転が始まれば審判員は自分自身で項目を大きくし、パイプはより太く強く連結され、回転は速く!力強く!なることでしょう。
インストラクターの使命は「審判員の自主性、創造性を審判員自身の中から生み出せるような環境を作ること」でありLearning Cycleを起動する、加速する手助けではないか思いました。審判員の思いに同期した援助ができるようになるため、キャラバンの経験を活かし自分自身のLearning Cycleを楽しみながら回していきたいと思います。
佛性慶亮 ユース3級審判員
今回のレフェリーキャラバンに参加し大変勉強になりステップアップできました。八木プロフェッショナルレフェリーと黛インストラクターから指導いただいた「Teaching Materials を使用した学び」では、カードの色の分野で「タイミング・スピード・どこで・どんな・どのように・どの部位に」等12段階に分けてノーファウル、ファウル、イエロー、レッドを考えました。ノーファウルとファウルの際どい所などが難しく、またカードを出したほうがゲームがうまく進行する場合があり、ゲームが今後どのような流れとなるかを瞬時に考える能力が必要だと思いました。
プラクティカルトレーニングでは、オフサイド・ペナルティーエリア内・中盤からのカウンターの3つのテーマを学習しました。ペナルティーエリア内でのファウルでは、「シミュレーションなのか、意図があるのか」を見極め、カードを出せる時は出すように意識しましたが、間接視野でのファウルを判断するのが特に難しかったです。オフサイドでは、フラッシュラグに慣れるという想定でビデオを撮りながら副審をし客観的に自分のレフェリングを見る機会に触れましたが、根本的にラインが合っておらず、ラインを合わせようと考えました。
しかし八木さんから今、間違っているラインで判定が合い、正確なラインで判定が間違ってしまうならば、ラインは今のままでいいと教えていただき、そのような見方もあるんだと思いました。チュータリングでは、通常の思考過程ではない考えを持って対処方法を競技規則から導くということを実践し、いつ何が起こっても対応できるよう、競技規則を熟読しておくことが大切だと実感しました。レフェリーキャラバンでの学びを維持、向上できるよう今後も自己研鑽していきたいと思います。