「世界大会の緊張感の中でチームが一つになれた」池田太監督インタビュー FIFA 女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド 2023
2023年09月15日
FIFA 女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド 2023は8月20日(日)にスペインの初優勝で幕を閉じました。なでしこジャパン(日本女子代表)はグループステージ3戦全勝と躍動し、2大会ぶりに準々決勝に進出。チームを率いた池田太監督に大会を総括してもらいました。
○取材日:2023年8月28日
――今大会はスタッフワークの良さや、ベースキャンプの環境の良さなども印象的でした。準備段階ではどのようなマネジメントを心掛けていたのでしょうか。
池田 良いスタッフワークは、チームにポジティブな影響を与えられると思っています。その意味では、これまで年代別の大会でも一緒にやってきたスタッフが多いので、コミュニケーションや選手への伝え方なども信頼感があってスムーズでした。対戦相手については、大会のかなり前から、テクニカルスタッフがさまざまな国の分析をしてくれていましたし、大会中はシェフを含めて全員がそれぞれの役割で力を発揮してくれました。ベースキャンプ地は、組み合わせ抽選会のときにいろいろな場所を見た上で、移動や安全面、自然が多い環境や、ホテルのフロアのレイアウトなども考慮した上でクライストチャーチを選びました。
――大会を振り返ると、グループステージは無失点で3連勝と素晴らしい内容でした。スペイン戦では、相手にボールを持たれる時間も長かった中で、あれだけ高い決定力を発揮できたのはなぜだったのですか。
池田 互いにノックアウトステージ進出が決まっていた中で、スペインに対して思い切り戦える状況だったことは一つの要因だったと思います。そういう意味では、初戦と2戦目でしっかり勝ち点6を取れたのが大きかったですね。試合では粘り強い守備で集中力を切らさず、3試合連続で無失点に抑えることができていた中で、奪ってからのスピード感をしっかり出せたと思います。
――得点を決めた選手が毎回、ベンチメンバーのもとに走って全員で喜ぶ場面は印象的でした。あの雰囲気は大会の中で醸成されていったのでしょうか。
池田 そういった素地は元々ありましたが、試合に出ている選手、交代の選手、スタッフも含めて、大会中にチームの一体感がより増していきました。世界大会ならではの国と国との緊張感のある戦いの中で、チームが一つになっていったことも大きいと思います。
――日本はラウンド16でノルウェーに勝利したものの、準々決勝でスウェーデンに敗れてベスト8で敗退となりました。勝つためには何が足りなかったのでしょうか。
池田 スウェーデン戦では守備面で重心が低くなってしまったので、前半のうちに前線からプレスがはまるように、一人一人の守備の役割をもっと明確にすることが必要だったと思います。また、奪い切る力や個人の打開力、チームとして相手の強度の高いプレッシャーをかいくぐるボールの動かし方を高めていく必要があると感じました。
――グループステージでは試合ごとに先発メンバーを替え、大会5試合ですべてのフィールドプレーヤーがピッチに立ちました。起用や、チームマネジメントで心掛けたことを教えてください。
池田 相手の特徴や戦い方を考え、ピッチに立った選手の良さを出せるように考えていました。コンディションはメディカルチームとしっかりコミュニケーションを取りながら、大会直前のトレーニングでフィジカル面の足並みを揃えることができて、選手自身も各自でコンディションを整えてくれました。大会期間中、いろいろな選手がピッチに立てる状態で戦えたのは監督としては本当にうれしいことですし、スタッフと選手たちに心から感謝しています。
大会期間:2023年7月20日(木)~2023年8月20日(日)
グループステージ
第1戦 7月22日(土) ◯ 5-0 vs ザンビア女子代表
第2戦 7月26日(水) ◯ 2-0 vs コスタリカ女子代表
第3戦 7月31日(月) ◯ 4-0 vs スペイン女子代表
ノックアウトステージ
ラウンド16 8月5日(土) ◯ 3-1 vs ノルウェー女子代表
準々決勝 8月11日(金) ● 1-2 vs スウェーデン女子代表
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