メンバー発表会見の席で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「オマーン戦では、これまであまりプレー機会のなかった選手や海外組で試合にあまり出られていない者に機会を与えて状態をみたい」と語った。
11日に行われるキリンチャレンジカップ2016のオマーン戦は、その4日後に控えるサウジアラビア代表とのアジア最終予選に向けた重要な強化の場となる。出場機会の限られる海外組の試合勘を取り戻す調整試合の側面があると同時に、サウジアラビア戦、さらには来年以降を見越したうえで、チームの底上げを実現する新戦力の台頭も望まれるところだ。
今回招集されたメンバーのうち、これまで代表戦の出場経験がないのは、初招集となった井手口陽介選手をはじめ、植田直通選手、永木亮太選手、久保裕也選手の4人。永木選手を除けば、今夏に開かれたリオオリンピック世代の選手たちで、近い将来の主軸となり得るタレントたちだ。
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井手口選手は今シーズン、ガンバ大阪で急成長を遂げ、レギュラーの座を勝ち取った若干20歳のボランチだ。豊富な運動量と積極性をベースとした“奪いに行く”守備を持ち味とする。最近のJリーグでは大事な試合でゴールを奪うなど、得点力も大きく向上。攻守両面で貢献できる選手として、存在感を高めている。
植田選手は186センチという恵まれた体躯を備えた強靭なCB。対人プレーに長け、空中戦にも強さを発揮する。またビッグマッチでも物怖じしないメンタルの強さも魅力。経験が求められるCBというポジションでなかなかチャンスを得られていない状況だが、所属クラブである鹿島アントラーズの本拠地で行われる今回のオマーン戦はアピールの絶好の機会。まずは代表戦士としての第一歩を踏み出したい。
久保選手は所属クラブであるBSCヤングボーイズのチーム事情によりリオ五輪への出場は叶わなかったが、この世代を長くけん引してきた実力者。卓越したスピードと高いシュート技術を備え、CF、トップ下、サイドと攻撃的ポジションならどこでもこなせる汎用性も魅力だ。ヤングボーイズでも不動のレギュラーとして君臨し、今シーズンはすでにリーグ戦で5得点をマーク。その好調ぶりを持ち込み、日本代表の攻撃を活性化したい。
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28歳の永木選手は、今年10月のアジア最終予選で初めて日本代表に招集された遅咲きのタレントだ。今シーズンに加入した鹿島アントラーズで中心選手として活躍。移籍当初は途中出場が多かったものの、次第に存在感を高め、夏場以降はボランチのレギュラーとして君臨した。自陣深くから前線までをカバーするボックス・トゥ・ボックス型のボランチで、ボール奪取能力だけでなく、攻撃にも関与できる。キック精度も高く、プレースキッカーとしての能力も高い。現状、メンバーの入れ替わりの多いボランチのポジションで、生き残りを実現できるか。このオマーン戦が大きなカギを握りそうだ。