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【経験者が語るアジア最終予選】中村憲剛さんインタビュー~一人一人が最善の準備を~

2022年03月22日

【経験者が語るアジア最終予選】中村憲剛さんインタビュー~一人一人が最善の準備を~

SAMURAI BLUE(日本代表)の一員としてFIFAワールドカップアジア最終予選を戦った選手たちに話を伺う「経験者が語るアジア最終予選」。第7回は、2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会と2度のアジア最終予選突破に貢献した中村憲剛さんに聞いた。

※このインタビューは2022年3月4日にオンラインで実施しました。

――アジア最終予選(Road to Qatar)のグループBで2位につけるSAMURAI BLUEは、オーストラリア、ベトナムとの連戦でFIFAワールドカップ出場を懸けて戦います。

中村 オーストラリアに勝てばワールドカップ出場が決まるという分かりやすい状況です。選手たちはとにかくオーストラリア戦で決めるんだという強い気持ちで向かうのではないでしょうか。もちろん、展開次第では勝点1獲得を落としどころとする判断もあるかと思いますが、まずは強気にプレーし、勝点3を取りにいってほしい。日本が今回の連戦に優位な状態で臨むことができるのは、最終予選の序盤のつまずきから立ち直ったから。そのアドバンテージを存分に生かしてほしいと思います。

――オーストラリアの印象を教えてください。

中村 ひと昔前までは強じんなフィジカルと体格の利を生かした、ロングボール主体のスタイルでしたが、現在はその戦い方から脱却しています。後方からしっかりとビルドアップしながらポジションを取り、攻守にコレクティブなプレーをするチームに変革しました。アンジェ・ポステコグルー監督(現、セルティック〈スコットランド〉監督)の下、アジア最終予選を突破した前回も変化を感じましたが、今は代表チームに選出されている選手たちを見ても、そのときよりボールを保持するサッカーにかじを切っている印象です。

――では、ベトナムはいかがでしょうか。

中村 これまでの成績(1勝7敗)を見ても、勝ち切れなかったり、勝利を取りこぼしたりという試合が続いていることが分かります。ただ、初のアジア最終予選に臨んでいる彼らにとって、今回の予選は成長するためのプロセスを踏んでいる段階なのかな、と。要所に良い選手がいますし、毎回、アジア最終予選に出場するようになると質も上がるはずです。どの試合でも全力でファイトする、誰もが好感の持てるチームです。

――ご自身が出場したアジア最終予選について伺います。2009年のウズベキスタン戦では岡崎慎司選手の決勝点を演出し、南アフリカ大会出場に大きく貢献しました。

中村 南アフリカ大会のアジア予選のときは先発出場することも多く、国際親善試合などで経験を積み、自信を深めた状態で予選に臨んでいました。適度の自信があって落ち着いていないと(岡崎選手への)あのパスは出せなかったと思います。ただ、先制した後は本当に苦労しました。ピッチの芝が長くてパスが走らず、アウェイの異様な雰囲気の中、ワールドカップ行きのチャンスを残すウズベキスタンが猛攻を仕掛けてきました。終盤は岡田武史監督が退席、長谷部誠選手が退場処分になるなどイレギュラーなことが重なり、あのときは「アジアの戦いは本当に難しい」と実感しました。普通の試合とは空気感が全く違いましたから。

――その4年後にブラジル大会出場を決めたホームのオーストラリア戦は、ベンチで日本の出場権獲得の瞬間を見届けました。

中村 控えに回ることが多かったため、自分がバックアッパーという位置付けと自覚していました。集団の一体感はベテランがつくるものだと捉えて行動する傍ら、試合に出ることを諦めるつもりは全くなく、出番が来たら必ず爪跡を残そうという気持ちを常に抱いていました。選手として2回、ワールドカップ行きを決めた瞬間に立ち会いましたが、やはりどちらもうれしかったですね。

――代表チームのアウェイゲームに臨むときに意識していたことを教えてください。

中村 気候や文化の違い、時差にアジャストすることですね。それ以前に、前提として頭を切り替えることを意識していました。クラブと代表は別物です。例えば、クラブでの調子が今一つのときも、代表では切り替える。当然、戦術も異なるため、そこにも順応しながら、自分の特長をいかに発揮するか、理解してもらうかをどの監督の下でも考えていました。

――それが中村さんのように長く代表で活躍することにつながるんですね。

中村 全てをチームのためにと考えを寄せ過ぎてもいけないですし、かといって我を出し過ぎてもいけません。選手たちにはそれぞれの役割と立ち位置があるので、それを認識しながらプレーすることが長生きの秘訣なのかなと思います。

――最後に、SAMURAI BLUEの選手たちへのメッセージをお願いします。

中村 冒頭でも触れましたが、苦しかった序盤から立ち直り、今いる状況を築き上げたのは監督、スタッフをはじめ、選手のみんなですので、ここまで築き上げた自信を持って臨んでほしいと思います。あとは一人一人が後悔のないような準備、勝つ確率を高めるための準備をして連戦に向かってください。あとひと踏ん張り!応援してます!

アジア最終予選(Road to Qatar)

2022年3月24日(木) 20:10 キックオフ(日本時間 3月24日(木)18:10) vs オーストラリア代表
会場:シドニー(オーストラリア)/Stadium Australia
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2022年3月29日(火) 19:35 キックオフ(予定) vs ベトナム代表
会場:埼玉/埼玉スタジアム2002
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