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アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第91回 保坂拓朗 ホンコン・チャイナサッカー協会 U-16代表監督兼エリートユースダイレクター

2024年11月29日

アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第91回 保坂拓朗 ホンコン・チャイナサッカー協会 U-16代表監督兼エリートユースダイレクター

2024年10月下旬に開催されたAFC U17アジアカップサウジアラビア2025予選にホンコン・チャイナU-16代表を率いて参加しました。一勝もできなかった前回大会(2022年)から果たして成長できたのかどうかを、自分たち、そして周囲に示す、ホンコン・チャイナの育成年代全体にとって意義の大きな予選大会です。ちなみに我々のグループはポット順にイラン、ヨルダン(ホスト)、シリア、ホンコン・チャイナ、そしてDPRコリアという厳しいグループになりました。

直前キャンプをUAE、カタールで行った後、10月17日にヨルダンの首都アンマンに入りました。全選手・スタッフにとっても初めてのヨルダン入国は、澄み渡る青空と涼しい気温がとても印象的でした。

そんな中行われた第1戦vsDPRコリア、第2戦vsイランは結果として大きな差(対DPRコリア2-8、対イラン1-7)をつけられての敗北となってしまいます。それでも特にイラン戦ではプレスをかけて狙い通りボールを奪取する場面や、相手の守備陣を連係で崩す場面を作り出すことができ、シュート機会も10回を超えました。失点の仕方を見ても、相手の突出した個の能力が印象的で、冷静に分析するとシンプルに改善できるものばかりでした。選手たちはイラン戦後、アジアのトップグループにいる国を相手に通用した点があったことを実感していました。

とはいっても、やはり2連敗は精神的に重く選手たちにのしかかりました。そんな時に中から一丸となってチームを支えてくれたスタッフたち、それにポジティブなメッセージを送り続けてくれたホンコン・チャイナサッカー協会の技術委員長には感謝の念しかありません。

第3戦はホスト国ヨルダンとの対戦でした。前半の早い段階でCK、そして連係プレーから2点を奪うことができ、守備もGKとFPが連係して粘り強く守ることができました。失点はPKでの一点のみに抑え、結果2-1で勝利することができ、中東国相手の公式戦初勝利となりました。

最終戦のシリア戦もやはり一進一退が続く拮抗した試合となり、前半は0-0で終えました。後半19分に失点をするものの1分後に同点に追いつき、後半43分に勝ち越し点を決め、2試合連続での2-1の勝利となりました。この結果、AFC U17アジアカップサウジアラビア2025本戦への進出はなりませんでしたが、最終順位は勝ち点6のグループ3位となりました。

ホンコン・チャイナではこの結果は快挙と言われています。そして立ち上げから2年間関わってきた我々スタッフにとっては、ずっと続けてきた「全力で、全員で、勇気を持って」のコンセプトと、そこから培ってきたプレースタイルが実を結び始めてきていることが実感できました。次のステップにも確かな希望の灯がともりました。

このチームは毎回の遠征ごとに少しずつ少しずつ進歩してきました。そして、その過程には、この1年の間に2回行った日本での遠征や合宿も大きな経験となっています。その際にお世話になりました、JFA、Jヴィレッジ、鳥取県サッカー協会の皆さんをはじめ多くの日本のサッカーファミリーには、改めて感謝の気持ちを送りたいと思います。お会いしたみなさんがそれぞれの立場で、良い形で日本を代表されている姿を見て誇らしい気持ちになりました。

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