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アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第4回 古賀琢磨 U-21・U-19東ティモール代表監督
2015年04月09日
アジアの各国で活躍する指導者の声を伝える「アジアのピッチから」。第4回は、東ティモールのU-21、U-19代表監督を務めている古賀琢磨氏のレポートです。東ティモールは2018FIFAワールドカップ1次予選でモンゴルを破り、初めて2次予選に進出しました。
FIFAワールドカップ予選 初めての1次予選突破
東ティモールは、先月行われた2018FIFAワールドカップアジア1次予選でモンゴルを破り、初めて2次予選に駒を進めました。東ティモールではサッカーが1番の人気スポーツなので、試合後はとても盛り上がりました。特にアウェーの試合でモンゴルから帰国した際、空港から東ティモールサッカー連盟(以下、『FFTL』)までの沿道の盛り上がりは凄かったですね。 もちろんホームで行われた初戦も4−1の勝利で大盛り上がり、特に試合の行われた首都ディリはお祭り騒ぎでした。
2次予選は、東ティモールにとってどの国も簡単ではない相手になると思います。せっかくなので日本と同組になって日本代表に東ティモールを訪れて欲しですね。そうすればこの国がサッカー界を含め日本に広く知れ渡ると思います。2次予選までは、国内リーグがないため、他のカテゴリー同様に大会一か月前から合宿を行い準備することになります。
現在FFTLはトレーニングピッチを人工芝1面しか持っていないので、各カテゴリーで時間をやりくりし、グランドをシェアしながらトレーニングをしているのが実情です。今回の2次予選進出を機に、環境整備が進むことを願っています。
今回の躍進は、私が指導しているアンダーカテゴリー選手達も喜んでいましたし、とても励みになったと思います。A代表には、U-19所属の選手のうち3名が招集され、そのうちの一人はスタメンでもプレーをしました。このことは私自身大変嬉しいことなのですが、同時にA代表の選手層はまだ薄いのかなとも感じています。
選手を育てるのは指導者ですが、ここ東ティモールには指導者がほとんどいません。私は監督という立場で選手の育成と秋に行われるAFC U-19選手権予選に向けてのチーム作りにフォーカスしていますが、一方でFFTLに働きかけて、指導者の養成にも力をいれていければと思っています。
東ティモールの暮らし ‐ おおらかな国民性
東ティモールでの暮らしは、住まいも快適で週末は家でリラックスすることが多いです。また、東ティモール在住の日本人の方たちと食事を共にして、楽しい時間を過ごしています。
ASEANに位置する東ティモールですが、国民性はどちらかというと南米系、おおらかでのんびりしています。そんなお国柄か、練習時間に遅れてでも来るのは良い方で、平気で無断欠席をする選手が居ることには最初驚かされました。そんな選手たちを教育、指導するには時間が必要でした。練習に参加することの重要性、参加出来ない時には理由を添えて連絡することを約束事にし、これを言い続けることで選手達も理解してくれるようになりました。
私は縁あってここに赴任し、アンダーカテゴリーの代表チームを指導させてもらっていますが、正直、私は東ティモールと聞いた時イメージが湧きませんでした。21世紀最初の独立国で、若く発展段階の国です。日本と比べたら豊かではありませんが、国民一人一人は笑顔で前向きに生きています。日本ではまだまだ馴染みの薄い東ティモールですが、サッカーを通してこの国を日本の皆さんにもっともっと知っていただきたいですね。
JFAより寄贈のスパイクでプレーする東ティモール代表選手。このスパイクで、いつか日本代表との試合を行う日が来るかもしれません。
古賀琢磨 氏 プロフィール
静岡県立清水東高校から順天堂大学を経て、ジュビロ磐田(入団当時ヤマハ発動機)、清水エスパルス、セレッソ大阪でプレー。セレッソ大阪U-15監督やU-17・U-16及びU-14シンガポール代表監督を務める。2014年2月より東ティモールへ派遣中。