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平成30年7月豪雨被災地の復旧に向けて ~サッカーファミリーが各地で復旧活動に取り組んでいます~
2018年07月25日
平成30年6月下旬から7月上旬にかけて発生した「平成30年7月豪雨」は、広島県や岡山県をはじめ広い範囲に被害をもたらし、今もなお各地で復旧作業が進められています。
こうした中、既にサッカー界でも復旧の支援に向けた取組が行われており、Jリーグのクラブでは、サンフレッチェ広島やファジアーノ岡山、愛媛FCや今治FCなどが被災地でのボランティア活動として、土砂のかき出し作業や支援物資の提供などを行うほか、その他のクラブでも「Jリーグ TEAM AS ONE 平成30年7月豪雨災害義援金募金」として、ホームゲームでの募金活動を実施するなど精力的に活動しています。
また、Jリーグクラブのようなトップレベルではなくとも、地域のスポーツ少年団や街クラブ、運動部活動などに関わるサッカーファミリーが様々な形で支援活動を行っています。今回は被災を受けた広島でボランティア活動に励む広島大学サッカー部の活動を紹介します。
広島大学は豪雨により、大学につながる道路が一時通行不可能となるなど、実際に被害を受けたところの一つです。サッカー部でも監督や一部の選手が大学に来られなくなる状況で、部としての活動が困難な事態に陥ります。
そうした中、キャプテンをはじめ、選手が自発的に集まり、今の自分達に何か出来ることがないかを話し合った結果、サッカーをするよりもまず被災した地域の復旧のために動くべきという結論に至り、早速ボランティアを求めているところを探して支援活動を始めることにしました。
活動にあたっては、OBを含め10人ほどのチームをいくつかつくり、日程を調整しながら各地で作業を行うこととして、それぞれが出来る範囲で活動できるようにしました。こうした取組を通じて、被災地の被害の大きさを改めて認識するとともに、そうした状況の中でも前向きに復旧にあたる地元の人々の生きる力やつながりの重要性など多くを学ぶことができたといいます。
こうした選手の自発的な行動に、サッカー部の木庭康樹監督は「自身が不在の中で、彼らが自分たちで動いたのはさすがだと感じた」と目を細めるとともに、「こうした厳しい状況を跳ね返して結果を残していきたい」と今後の抱負を語りました。
選手の中には、自身の家が被災したところもあり、必ずしもサッカー部全体が満足に活動できる状態には戻っていません。しかし、それでも前を向いて地域への貢献や互いに助け合う選手たちは、こうした経験を通じて更に大きく成長することでしょう。
もちろん被災地で活動しているのは彼らだけではありません。こうした被災地の復旧に向けた各地のサッカーファミリーの素晴らしい取組をJFAも積極的に応援していきます。
ボランティア活動参加者コメント
白石智也 さん(広島大サッカー部OB)
個人的に海外(アフリカ)でボランティアしていた経験もあり、今回の豪雨の被害に対してぜひ支援活動を行いたいと考えて活動に参加しました。被災地を目の当たりにした最初の印象は、東日本大震災をテレビで見た際の津波の後のような光景が広がっているというもので、復旧には人も時間も要するなということを強く感じました。今はサッカー部として、その活動がどう映るかということではなく、シンプルに人を助けるということができる集団になろうという想いで作業に取り組んでいます。住民の方々はどん底見ているにも関わらず、「若い人たちに来てもらってありがたい」という声をいただき、本当に奮い立たされる思いです。復旧は徐々に進んではいますが、まだまだ先は長いと思います。今後、大学院の授業が始まりますが、夏休みなどにはまた声をかけて集まりたいと考えています。ニュースでは甚大な被害があったとされる地域ばかりがフォーカスされていますが、広島でも大きな被害があちこちで出ていることを知ってほしいですし、また、どんな支援の形でもいいので、ぜひ同じ気持ちで協力してくれる方が一人でも増えると嬉しく思います。
友永景 さん(広島大サッカー部副キャプテン)
大雨の次の日、その週に予定されていた大学リーグも延期となったことで、部活動もできない状況だったのでオフになりましたが、テレビなどを通じて近くの地域がひどい状態になっているのを目にし、部活よりも大切なことがあると思い、仲間で話してボランティアでやっているところを探して参加しました。住民の方々、特にお年寄りや一人暮らしの方に感謝の言葉をもらったことで、人のために行動し役立つことの大切さを実感しています。ボランティアを始めた時には既に地域の人は作業を始めていましたが、それだけでどうにかなるような被災の規模ではありませんでした。地域の人々から助かっているという声をもらったことで、一人一人が助け合うこと、チームワークの大切さなど部活に通じるものが得られたと感じています。多くの人に伝えたいことは、テレビやSNSで被災状況の写真が出ていますが、本当の酷さは写真だけではわからないということです。実際に来て見ないとわからないので、ぜひどんな形でも構わないので現場で力になれることをやっていただければ嬉しいと思います。