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「子供の未来応援国民運動」へ協力
2019年05月30日
公益財団法人日本サッカー協会(JFA)は、「子供の未来応援国民運動」に賛同し、サッカーを通じた取り組みをより一層進めていくこととし、5月29日にキックオフセレモニーを行いました。
セレモニーには、内閣府で子供の貧困対策を担当する牧野利香参事官と田嶋幸三JFA会長が出席しました。
サッカーを通じた社会への貢献(SDGs)
子供の未来応援国民運動
出席者コメント
牧野利香 内閣府参事官
日本は豊かな国と言われていますが、実際には貧困に苦しんでいる子供がいます。収入ベースでは、7人に1人が貧困状態と言われています。進学をあきらめる、給食が無いときに食べられないといったことになっているお子さんがいます。これを放置すると貧困の連鎖が起き、次世代に続いてしまうという懸念があります。子供が十分な教育を受けられず、進学のチャンスを逃し、大人になり次世代の子供の貧困につながります。少子化が進む日本でこの問題を放置することはできません。
経済的困窮だけではありません。貧困は子供の成長にいろいろな影響を及ぼします。学習意欲の低下や自己肯定感の低下などです。社会体験の機会が少なく、学校外での出会いの機会が少ないので、将来の芽をつぶしてしまうということが懸念されます。そういったことがあり、国は様々な対策を行っておりますが、これだけでは貧困の解消ができるとは思っていません。それは、子供の貧困が非常に見えにくいからです。子供自身が声を上げられない、貧困に気付いていないといった様々な問題があり、官だけでなく民間の方々を含めて地域全体で子供の未来を応援していくというメッセージを発しながら、社会全体で子供を育てていくということが非常に大事だと考えております。
このような中で、「子供の未来応援国民運動」を進めているところ、日本サッカー協会に全面的にご協力いただけることになり、大変ありがたいと思っております。まずは、47都道府県サッカー協会等へのポスター配布や、キッズプログラムでのポスター掲示等にご協力いただけると伺っています。JFAのこれまでの取り組みそのものが子供の未来の応援に直結するものであり、これを契機に相乗効果が生じることを期待しており、これからの連携を深化させていきたいと思います。
田嶋幸三 JFA会長
この度、官公民が連携して実施している「子供の未来応援国民運動」に賛同し、協力することになりました。日本は世界屈指の経済大国にもかかわらず、7人に一人が貧国にあえぎ、母子家庭の半数以上が貧困に苦しんでいる実態があると言われています。生まれ育った家庭や親の就労・経済的理由によって、本来、子供たちが受けられるべき教育や楽しみが奪われることがあってはなりません。スポーツ活動の機会も等しく全ての子供たちに与えられるべきだと考えています。
日本サッカー協会は、47都道府県サッカー協会と共に各地の保育園や幼稚園を訪問して外遊びの楽しさを教える「巡回指導」や、誰もが参加できる「フェスティバル」、また、グラスルーツ賛同パートナー制度など様々なグラスルーツ活動を行っています。また、子供たちに失敗や挫折に負けない強い人間力を備えてもらいたいと、多くのアスリートの協力を得て、JFAこころのプロジェクト「夢の教室」を展開しており、この12年間で1万4000回を超える授業を行い、43万人以上の子供たちと触れ合ってきました。そのほか、文京区が行っている「子ども宅食プロジェクト」に協力し、子供たちが心身の健康に寄与する活動も行っています。
少し話が逸れるかもしれませんが、日本には部活動という固有の教育があります。クラブチームはクラブチームの良さがありますが、経済的な理由でクラブに入れない子供にとっては部活動が好きなスポーツに打ち込める唯一の場です。近年、教師の働き方改革を理由に部活動の在り方が議論されています。校務と部活動の両立に苦慮されている実態があり、一方で、顧問を務める教員に経験がないために適切な指導が行われていないケースもあります。我々としては、あくまでも選手の立場に立ち、サッカーが好きな子供たちが、等しく、安全に、そして、目的に合わせて、楽しく取り組める部活動の在り方を模索しています。
子供は未来の宝です。子供たちが、丈夫な体と豊かな人間性や社会性を育みながら、未来に向かって歩んで行けるよう、サッカーを通じて「子供の未来応援国民運動」をサポートしていきたいと考えています。