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【CSR情報】スポーツの価値を社会にわかりやすく伝え、社会課題の解決に役立てる取り組み
2019年07月30日
日本サッカー協会(JFA)は、サッカー競技を統括する団体としての社会的責任を踏まえ、「サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する。」という理念を掲げています。社会貢献委員会はこの理念にある「社会の発展への貢献」について考えるJFAの専門委員会の一つで、組織の社会的責任(CSR)の分野に詳しい5人の有識者によって構成されています。
この社会貢献委員会の活動をサッカーファミリーの皆さんにお知らせするため、今回はスポーツの価値を社会にわかりやすく伝え、社会課題の解決に役立てる「社会的インパクト評価」の取り組みについてご紹介します。
社会的インパクト評価「スポーツ」ツールセット策定
「社会的インパクト評価」は、事業の社会的な成果を可視化し、学びや改善につなげるための取り組みです。国際的には、非営利組織への資金提供者が社会的な成果を求める傾向が高まっており、日本においても少子高齢化や人口減少などさまざまな社会課題が多様化・複雑化する中で、行政だけに頼らないさまざまな取り組みを広げることが求められています。
JFAでは、2014年に「JFAグラスルーツ宣言」を発表し、誰もが、いつでも、どこでも、サッカーを楽しめるよう取り組んでいますが、実際に現場で活動する方々がより評価され、さまざまな団体からの理解や支援を得やすくなる方法の一つとして、この「社会的インパクト評価」についての調査研究を行ってきました。その一環として、昨年より社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ共同事務局が取り組む評価ツールセットのスポーツ版の策定に協力し、このほど公開されました。
行政による社会的インパクト評価を活用した取り組み
「社会的インパクト評価」は、スポーツのような社会的な事業において誰でも活用できるものですが、行政機関においてもさまざまな分野で活用が広がっており、サッカーファミリーの実際の活動の現場で参考にすることができます。
[事例1]文京区「子ども宅食プロジェクト」
日本の子どもの7人に1人が「貧困状態」にあると言われている中で、文京区では少しずつ夢をあきらめてしまう子どもや、子どもの夢を応援できず自分を責めてしまう親を少しでも減らし、子どもの未来に寄り添い、希望を持てるようにするために、さまざまな団体が連携して「子ども宅食プロジェクト」を行っています。JFAもパートナー団体としてこの取り組みに協力しています。
このプロジェクトは、開始当初から「社会的インパクト評価」を用いて、成果がきちんと生み出されているかを管理しながら進められており、利用者アンケートの分析結果など成果報告書は「子ども宅食」のホームページ上で公表されています。この中では、保護者の心理的ストレスが減少する傾向が見られたことなどが報告され、利用者にとって社会的に意味のある変化があったことがわかるようになっています。
子ども宅食事業報告会(外部サイト)
子ども宅食2018年成果報告(外部サイト)
文京区「子ども宅食プロジェクト」(外部サイト)
[事例2]スポーツ庁「スタジアム・アリーナ改革」
スポーツ庁では、スタジアム・アリーナ改革の一環として2019年3月に「社会的インパクト評価の手法を用いたスタジアム・アリーナ効果検証モデル」を発表しました。同改革は政府の成長戦略において、スポーツの成長産業化を実現する上での重要施策に位置づけられており、スタジアム・アリーナが周辺地域にもたらす効果を客観的に地域住民に説明することで、新たな人材、財源の獲得につながることなどを期待し、「社会的インパクト評価」の手法を用いて事業の成果を測定するための指針が設けられました。
社会貢献委員コメント
社会的インパクト評価スポーツ版ツールセットの作成に協力した
社会貢献委員会 村松邦子 委員(株式会社ウェルネス・システム研究所)
近年、スポーツのもつ社会公益性の観点から、地方創生や社会課題解決のツールとしてのスポーツの役割に期待が寄せられています。全国各地でさまざまなスポーツ団体が地域の課題に向き合い、地域貢献活動を展開していますが、 多様なステークホルダーと信頼関係を築きよりよい社会を共創していくためにはスポーツが生み出す社会的インパクトを示していくことが必要です。そこで今回、社会的インパクト評価の手法を使ってスポーツの社会的価値の可視化を試みました。本評価ツールが、スポーツに関わる多くの人がスポーツの多様な価値に気づき、可視化することを試みるきっかになれば幸いです。
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