ニュース
女性指導者を対象とした「Associate-Pro(A-Pro)ライセンス」を新設
2020年08月04日
日本サッカー協会(以下 JFA)は8月3日(月)、オンライン記者会見を実施し、女性指導者を対象とした「Associate-Pro(A-Pro)コーチ養成講習会」を開設することを発表しました。2021年秋に開幕する日本女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」のチームで監督ができる指導者を養成すると同時に、世界のサッカー界における女性指導者のリーダーとなる人材を育成します。
JFAは日本サッカー全体の発展に向け、女性の競技人口の増加と次世代のリーダーの育成のプロジェクトを推進しており、WEリーグを起爆剤として、JFAとWEリーグを両輪とした日本女子サッカーの継続的な発展を目指しています。
オンライン記者会見には、JFA技術委員会の小野剛副委員長、JFA女子委員会の今井純子委員長が出席。小野副委員長は、WEリーグ立ち上げを「日本のサッカーファミリーを増やすために、絶対に逃したくない大きな機会」と話します。なお、現在の国内女子トップリーグであるプレナスなでしこリーグの加盟チームを見ると男性の監督が多く、日本の社会と同様、日本サッカー界でも女性の社会進出は大きく遅れています。日本の最高位となるS級コーチライセンスの取得者も女性は8人(全体の1.6%)に過ぎません。WEリーグをスタートするに当たり、小野副委員長は「JFAとして(指導者養成の)施策に問題がなかったか」と振り返りつつ、「S級の受講を待つ男性指導者と比べて(女性指導者は)経験値が足りない」と、女性指導者がS級ライセンスの受講に踏み切れない現状を課題に挙げました。
今回創設するA-Proライセンスは、S級に準じるライセンスとして扱われ、WEリーグで指揮を執るだけでなく、ライセンス取得後はコンバージョン(転換)試験を受けることで、S級への昇格が可能になります。女性のプロ監督が選手たちの新たな目標となり、女子サッカーと日本サッカー全体への刺激となることが期待されています。今井委員長は「質と量を兼ね備えた女性指導者の養成や、女性(指導者)の活躍の場を増やしていくことは、女子サッカーの普及と発展において重要な要素だと思っています」とし、ライセンスを取得するだけでなく、取得後に女性指導者が活躍できる環境を創出することも今後の課題としました。
A-Proコーチ養成講習会は、受講者を集める集合研修だけではなく、インストラクターやメンターと呼ばれる指導者が受講者のもとへ出向き、それぞれのチームで起きている課題への対処など、より実践的な指導に取り組みます。また、海外研修や語学研修を取り入れるなど、国内外で女子サッカーをリードできる人材を育成するためのカリキュラムとなっています。
A-proライセンスについて 詳細はこちら
コメント
小野剛 JFA技術委員会 副委員長
WEリーグの立ち上げに合わせ、もう一度、女子サッカー人気に火をつけて、それが日本全体の発展になるようにとプロジェクトは始まりました。国内のサッカー競技人口は頭打ちになっていますが、大きな可能性を秘めているのが女子です。競技人口の増加に伴ってサッカーファミリーが増え、家族でサッカーについて会話をし、家族でスタジアムに行く。そうした未来を思い描けるのではないかと思っています。いろいろな形でサッカーが文化となることで、最終的に競技力の向上につながっていくものと考えています。
今井純子 JFA女子委員会 委員長
日本女子サッカーの発展を目指した『なでしこvision』は、2015年に文言を「女子サッカーに関わる全ての人々」から「日本サッカーに関わる全ての人々」に変更しました。女子サッカーの発展には日本サッカー全体の協力が必要であり、女子サッカーの発展が日本サッカーの発展に必ず寄与できると確信したからです。全ての指導者ライセンスで女性指導者の養成を推進していく必要があり、そのためには都道府県サッカー協会の技術委員会と女子委員会の連携が重要です。(WEリーグ開幕やA-Proライセンス創設により)最大限の成果を収め、それを継続していけるようしっかりと準備して取り組んでいきます。