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[女子チームのつくりかた]セレッソ大阪レディースU-15 育成部長の宮本功さんに話を聞きました。

2010年02月23日

[女子チームのつくりかた]セレッソ大阪レディースU-15 育成部長の宮本功さんに話を聞きました。

チームを立ち上げようと思ったきっかけは?

2005年の6月にスクールの女子クラスを創設しました。そのときから女子のマーケットを広げようという意図がありました。最初は20名くらいでスタートしたんです。他の男子のクラスと比べると極めて少ない人数でやっていました。

セレクションに至るまでの流れを教えてください。

2005年に女子クラスを創設して、2007年から大阪サッカー協会の女子サッカークリニックとのタイアップを地道にスタートさせました。もともとセレッソというところはコツコツやっていくのが好きなんです(笑)。レディースクリニックとして月に1回やっていました。Jリーグの公式戦の後に、長居スタジアムで開催という最高のシチュエーションでも、集まるのは130人くらい。女子というくくりではこの数字はすごいと言われますが、全学年ということで見れば少ないですよね。同じ条件で男子で行ったら、きっと抽選になる。構造的に女子サッカーの市場自体が小さいと感じていました。

 

これまでに生じた最大の壁はどんなことでしたか?

まずは事業(Jリーグの興行)に直結しないと相乗効果が生まれないと思われがちだったことです。確かにすぐに効果が表れて、事業として成り立つという類のものではありません。でも、女子選手というのは実際にいますし、長い目で見れば将来性がある。ですから社内で説得というか(笑)、「事業として直結はしないですが、そこにつながるようにきっかけを作っていきます」というふうに持っていきました。責任を背負ったことにもなりますね(苦笑)。でも、何もないところに作っていくというのは、むしろやり易いんですよ。不毛の地になっているだけで、女子選手は確実にいるわけですから。関西という人口が多い土地にあって、サッカー好きも多い。女子サッカーが根付いていないだけなんです。これだけの大都市ですから可能性は十分にあるし、最初にやっていくという面白さもあると思います。

独自のアイデアというものはありますか?

これまでJリーグの普及活動の一環でアカデミー活動をたくさん行ってきました。ファン層には女性も半数近くいる。ここの部分と上手くかみ合わせることができればと思っています。
これまで女性の指導者を確保したいという思いを持ってきました。特に小さい子供には女性指導者は効果があったりもするんです。今年からサッカースクールにはINAC神戸レオネッサで昨年まで選手をしていた元なでしこジャパンの原歩さん、藤村智美さんを招いて、指導に加わってもらいます。この2人はチームでもキャプテンを務めるなど責任感もありますし、経験も豊富。関西のチームから来てもらうことで選手たちにとっても目標とする存在になると思います。普及という意味では2人からの提案もあり、「夢先生」(JFAこころのプロジェクト)や女子高校でのクリニックなど、これまで女子の領域で手付かずであったところにも着手していきたいと思っています。我々のチームだけで実現する訳ではありませんが、女子の選手にもセカンドキャリアがあるということを示すのは重要だと思います。魅力的な市場になれば、サッカーをする女子選手も増えていくのではないでしょうか。

ここをがんばったから女子チームを作れたというポイントは?

女子クラスをやり続けたということでしょうか。確かに少人数でしたし、このままでは普通であればたたまなくてはいけない状況であっても、やり続けました。これは女子サッカーの観点からだけでなく、ファン拡大にも必ずつながるんです。友人、家族とスタジアムに来てもらうことも大切ですし、成長すればまたそのつながりも広がります。子供ができればさらに・・・とアプローチをかけておくのは大切です。その点では今回は普及活動を続けてきて、満を持してのスタートと言えると思います。女子選手層を含めてリサーチを十分にしていれば、男子のチームを持つこととそんなに差はありません。我々Jリーグのチームにはノウハウが既にある訳ですから。一歩踏み出すだけで、そんなに難しいことではないと思います。

これからチームが目指すビジョンとは?

もちろん、なでしこリーグをはじめ、なでしこジャパンの一員として通用する選手を育てるというのはあります。同時に地域の人たちといっしょに、地域の指導者と協力しながら成長していきたいですね。大阪の子供たちが向上していくように、練習試合とかもいっしょにやりたいですし。わかりやすく言えば、大学病院と町のお医者さんといった図が理想だと思っています。難しいこと(=将来性ある選手)があったらあそこの病院(=セレッソ大阪)へ行く――みたいな。そしたら我々のもとには最新の、最高の技術がある。そういった信頼関係を築けるといいですよね。その地域でのJリーグが担う役割というか形を築いていきたいと思っています。

セレクションレポート

今春からスタートするセレッソ大阪レディースU-15の1次セレクションが1月17日、24日の2日間で、南津守さくら公園スポーツ広場で行われました。参加資格は現在小学6年生の女子で、トレーニング場に通うことができる選手。2日間で41名が参加し、この中から10名~15名の選手が選ばれて、セレッソ大阪レディースU-15として活動することになります。

セレクションは約20名ずつ2日に分けて行われました。17日に行われたセレクションは天候も穏やか。朝9時の受付開始でスタートです。15分後にはウォーミングアップが開始されました。選手たちは少し緊張した面持ちで、コーチの指示に合わせてドリブル&パスで体を温めていきます。気持ちも体もほぐれたところでいよいよセレクションの開始です。最初は30メートル走のタイムトライアル。2グループに分け、片方が30メートル走を行っている間、もう片方のグループは5対5(もしくは6対6)でミニゲームを行っていました。全部で4本のミニゲーム、最後はさすがに少々疲れも見え始めた選手たちですが、休憩を挟むとまた元気を取り戻したようです。ここからはコーチによって2チームに分けられました。11対11のゲームです。振り分けられた後、各ポジションを決めるのは選手たち自身です。自分の主張とまわりとの協調のバランスを取りながら意見を出し合い、そして時にはジャンケンで決定する場面も見られました。GKは専門のプレーヤーがいないので、選手たちがそれぞれ持ちまわりで務めます。ゲームとあっては、選手たちも知らず知らずの内に感覚が戻ってくるのか、声も出始めます。3本行われたゲームをもって約2時間に渡って行われたセレクションは終了しました。今回のセレクションでは、ボールをたくさん触れるようにミニゲームが多く行われていました。まだ、1次セレクションの段階ということで、小さいエリアでのゲームと大きいエリアでのゲームの両方を行い、ウォーミングアップでも、積極性や協調性が見られるオーガナイズが試されていました。

「セレッソ大阪レディースU-15の1期生のセレクションということで、レベルの高い選手が集まると思って、私も受けたいと思いました。(受かったら)自分もがんばって、チームも強くなるといいなと思います。」と参加した選手も、新しいチームに期待を膨らませていました。
「ナショナルトレセンU-12に来ていた選手や、地元のクラブチームからレベルの高い選手が集まっている印象を受けました。よく考えられたメニューで、始動後にもいいトレーニングが行われるであろうということが見てとれますよね。素晴らしい環境だと思います」とは、セレクションを見学に来ていた上田女子委員長の話です。

また、女子クラスの時代から今回のレディースU-15の創設まで現場に携わっている末谷由加理さんは言います。「この年代ではスキル向上はもちろん人間性も育んでいかなければなりません。仲間と共に、女性として大人として魅力的な人間になる努力も大切なんです。また、身体の変化も背が伸びて体重が増えて・・・と、だんだん女性らしくなってくる年代です。自分の身体について知り、正しい知識を得ることも必要です。栄養管理やケガ予防はトレーニングと同じくらい重要だと思います」。身体管理についてはJリーグチームということでノウハウは充実しています。トレーニングだけでなく、身体のケアなどの面でもJリーグチームの知識が生かされる恵まれた環境であることはいうまでもありません。

「セレッソから、なでしこリーグのトップで活躍できる選手を育成することはもとより、なでしこジャパンとして海外で闘えるクリエイティブでタフなプレーヤーの育成と同時に、心豊かな人間形成を目指したいと思います」最後に末谷さんは、こう語ってくれました。この後、2月28日までに3次セレクションが行われ、第1期メンバーが決定し、新たなチームの活動がスタートします。

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