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INAC、新潟Lに勝って皇后杯5度目の優勝 ~澤、現役ラストマッチで決勝弾~
2015年12月28日
第37回皇后杯全日本女子サッカー選手権は12月27日、神奈川県の等々力競技場で決勝が行われ、INAC神戸レオネッサがアルビレックス新潟レディースに1-0で勝利し、2大会ぶり通算5度目の優勝を飾りました。決勝点は、今季限りで現役引退を表明しているMF澤穂希選手が決めました。
単独開催以来初の大会最高となった20379人が駆けつけた決勝は、第33回(2011年)、第35回(2013年)大会決勝でINACに敗れた雪辱を晴らしたい新潟と、澤選手の引退にタイトル獲得で花を添えたいINACと、両者ともに一進一退を繰り返し、一歩も引かない展開になりました。
試合開始5分、INACは澤選手からのスルーボールにMF中島依美選手が反応してシュートを打ちますが、新潟GK福村香奈絵選手にブロックされます。
その後も右サイドや中央から相手守備陣の裏を狙うINACに、新潟は良く動いて守備のブロックを崩しません。攻撃ではMF上尾野辺めぐみ選手を中心にピッチを広く使って組み立てを試み、24分には右サイドのクロスにMF佐伯彩選手がヘディングで合わせましたが、GK海堀あゆみ選手に阻止されます。
INACは前半終了間際に、ゴール前に攻め込んだ中島選手が近い距離からシュートを狙いましたが、再び福村選手に止められました。
後半早々、INACは立て続けにCKのチャンスを得ると、いずれも澤選手がヘディングで合わせて相手ゴールを脅かします。そして78分、「最後は自分が決めて終わりたかった」と話す澤選手に、CKから待望の決勝点が生まれます。
FW大野忍選手が中央をドリブルで攻め込んでCKのチャンスを得ます。この右CKを「最後のCKのつもりで蹴った」というMF川澄奈穂美選手がファーサイドへボールを送ると、一瞬体を引いて相手のマークを外してゴール前に入った澤選手が高い打点で頭で合わせ、ゴールネットを揺らしました。男女を通じて日本代表史上最高の205試合に出場し83得点を決めてきた澤選手が、最後の大一番でも土壇場の勝負強さを発揮した得点でした。
新潟は巻き返しを狙いますが、ラストパスの精度やゴール前での攻め手が足りず、なかなか決定機を作れません。
それでも試合終了間際の90分に、左サイドを交代出場のDF渡辺彩香選手が攻め上がってクロスを入れ、ファーサイドにいた上尾野辺選手が左足で捉えます。しかしシュートは枠の外に流れ、ゴールを割ることはできませんでした。
試合終了のホイッスルが鳴ると、澤選手のもとにチームメイトが次々と駆け寄り、その後、控えの選手らも集まって澤選手を胴上げ。4度宙に舞いました。
澤選手は表彰式ではキャプテンの大野選手と共に皇后杯を掲げ、表彰式終了後には日本サッカー協会名誉総裁の高円宮久子妃殿下と大仁邦彌会長から花束を手渡され、観客の声援に笑顔で手を振って応えていました。
監督・選手コメント
松田岳夫 監督(INAC神戸レオネッサ)
決勝という緊張感から思うような展開は正直できませんでした。相手を間延びさせるようにプレーしたら、その結果自分たちも全体が少し間延びすることが多くありました。3試合がかなり過密日程だったこともあり、運動量や連係の部分で大きな課題があったと思います。ただ、それをカバーする味方同士の関わりや連係の部分で、最終的に結果につながったと思っています。やはり「苦しい時の澤」です。最後、彼女のゴールで決まったということで、本当に偉大な選手だと思います。ボールがどこにくるかという予測は人一倍優れていて、実際にそこに動き出して最終的に相手の前に体が入るところでは、ずば抜けた能力があると思います。来年、澤選手がいないことを考えると、自分たちのチームが失ったものは本当に大きいと実感しています。
能仲太司 監督(アルビレックス新潟レディース)
お互いにチャンスもあり、締まったゲームになりましたが、リスタートから澤選手の素晴らしいゴールでリードを許してしまいました。自分たちにもチャンスがありましたが決めきれませんでした。ゴール前の最後の質で差が出ました。敗れたことは非常に残念ですが、選手たちは新潟らしいサッカーをして最後まで戦ってくれたことに誇りを持っています。
MF 澤穂希 選手(INAC神戸レオネッサ)
現役最後の試合となる皇后杯の決勝で、チーム一丸となって目標であった優勝をなんとか達成することができて、本当にうれしく思います。ずっと狙っていたゴールも最後に決めることができて、有終の美を飾ることができたのは本当に素直に嬉しいです。ニアを固めていた分、ファーが空いているなと思って「今日はファーに行かせて」と言っていました。それがうまく当たりました。今日の試合を終えて、より一層、(引退に)本当に悔いがないと思えた試合でした。大好きなサッカーを続けて、結果も残せたと思うので、最高のサッカー人生、納得のいくサッカー人生を送れたと思います。
FW 大野忍 選手(INAC神戸レオネッサ)
今シーズンは優勝できず苦しんでいましたが、勝ち切らなくてはいけない大会で優勝できたことはプラスになります。「澤さんが無冠で終わるのは絶対によくない。それだけは避けよう」とみんなに伝えて試合に出て行っていたので、優勝で終われて本当によかったです。
DF 近賀ゆかり 選手(INAC神戸レオネッサ)
「澤さんならやってくれる」と誰もが望んでいた展開だったと思います。今まで澤さんがやってきたことの裏付けで、それをまた澤さんは証明しました。毎日の練習からひとつも気を抜くプレーを見たことがなくて、本物のプロという姿を見せてもらいました。自分にとって宝物ですし、今後伝えて行かなくてはいけないことだと思っています。
MF 上尾野辺めぐみ 選手(アルビレックス新潟レディース)
優勝したかったですし、(退任する)監督を胴上げして終わりたかったのですごく残念です。(これまでで)優勝に一番手が届きそうな試合だったかと思います。ある程度自分たちの意識しているものは出せましたが、ちょっとしたミスやお互いのコミュニケーションを高めていけたら、もっと面白いサッカーが出来ると思います。
JFA-TV
決勝 INAC神戸レオネッサ vs アルビレックス新潟レディース ハイライト
第37回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会
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