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【3/8 女子サッカーデー特集】大野忍さんインタビュー 自身の経験を伝えて「サッカーが好きな子を増やしていく」
2020年03月08日
日本サッカー協会(JFA)は3月8日を「JFA 女子サッカーデー」に定め、女性が輝ける社会づくりを推進するための働きかけをしていきます。ここではなでしこジャパン(日本女子代表)でFIFA女子ワールドカップドイツ2011を制し、昨シーズンをもって現役を引退した大野忍さんに、女子サッカーへの思いやこれからの関わりについて聞きました。
※このインタビューは2月27日に行いました。
――まずは大野さんと女子サッカーとの関わりについて聞かせてください。
大野 発展に関わってきたという感覚はあまりないんです。今の女子サッカーは上のお姉さんたちが築き上げてきたもので、自分たちがたまたまワールドカップで優勝して、女子サッカーを知ってもらえました。当然、最初から女子サッカーに関わってきたわけではなく、先輩たちがいたからこそあったものだと思います。ただ、その一部に関われたことはすごく光栄なことです。
――サッカーを続けていく中で壁になったことはありますか。
大野 たくさんありますよ(笑)。そもそも私が日テレ・メニーナに入るまでは代表チームや上のレベルがあることすら知りませんでした。それまでは地元のクラブチームに所属していました。そこではチームメイトの関係で悩むことがありました。サッカーがしたいのに、パスが回ってこない。話しかけても返事がないということもありました。その時期はもうやめてしまいたいと思いました。
――そんな状況をどのように打開したのでしょうか。
大野 まだ若かったこともあり、自分から積極的にアクションを起こしたわけではなかったのですが、落ち込んでいる様子を察した両親がチームを探してくれて、メニーナにたどり着くことができました。両親が私の可能性を信じてくれて、本当に親身にサポートしてくれました。
――大野さんがそのような経験をされているとは意外でした。
大野 この話は今までしたことがありませんね。こんな性格なので、周りの人からすれば挫折したことがないんじゃないかと思っているのではないでしょうか。ただ、指導者として歩み始めた今だから、同じ状況や近い悩みの子がいるのかもしれないと思うと、このような体験も伝えていくことが必要だと思っています。悩んでいても、サッカーが好きだったら続けてほしいですし、私自身、我慢してやり続けたことで世界一を経験することができました。悩んでいる子もたくさんいると思います。そういうときに近くの大人が助けてくれれば、後押ししてくれれば解決できることはたくさんあると思うんです。
――大野さんは2019シーズンをもって現役を引退されました。
大野 自分としてはあと一年くらいはやりたかったですけど、いいタイミングだったのかなと思います。澤穂希さんや宮間あやに何度も相談して、アドバイスしてもらいました。その中で引退してもサッカーに関わっていけると感じましたし、澤さんから「セカンドライフのほうが長いから」と言われたのはすごく説得力ありましたね。この引退に関しても最後まで粘っていたのは父親でした。「どこでもいいから続けろ」って。本当にいろいろ背負い込んでもらっていたんですね。
――今後はどのように女子サッカーに関わっていこうと考えていますか。
大野 イベントには積極的に参加して女子サッカーをもっと知ってもらえるようにしたいです。あとはINAC東京(INAC神戸の育成組織)のコーチとして指導をスタートします。まずは育成年代に関わっていきたいと思います。人間的な部分の成長も子どもたちのことを考えて、そのレベルに合った教え方をしていきたいです。サッカーが好きな子を増やしていって、土台を大きくしていければと考えています。
――まさに“大野チルドレン”ですね。
大野 オノチルを増やしていきたいですね(笑)。私自身も人見知りだったのですが、「人見知りじゃないほうが得だよ」と伝えられています。明るくて、感情豊かな子どもたちを増やしていきたいですね。
▼各プロジェクトやイベントの詳細につきましては、「JFA女子サッカーデー」の特設ページをご覧ください。