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【JFAアカデミー特集】小池龍太選手(2013年度卒校)×三宅史織選手(2013年度卒校)対談
2022年12月27日
JFAは選手のエリート教育を目標に、2006年にJFAアカデミー福島を開校しました。現在は、福島、熊本宇城、堺、今治の4校を運営。これまで多くの選手を輩出してきました。ここではJFAアカデミーの活動を知ってもらうため、監督や選手の対談を実施しました。第3回は、2008年にアカデミー福島に入校した同期の小池龍太選手(横浜F・マリノス)と三宅史織選手(INAC神戸レオネッサ)に登場していただきました。
〇オンライン取材日:2022年12月16日
――JFATVのTeamCamで小池選手が三宅選手と仲が良いとおっしゃっていたということでしたが、アカデミーの男女選手の関わりというのは多いのでしょうか?
小池 中学時代はコミュニケーションスキルなどのプログラムの際に同じ空間にいることがあった程度で、関わる機会は少なかったです。高校生になってからは、女子選手と同じクラスになったこともありますし、そこで三宅選手とは仲良くなって、今でも連絡を取り合う仲です。
――当時の互いの印象はいかがですか?
三宅 女子も気にかけてくれるアカデミー生の一人でしたし、男子の中でもムードメーカー的な存在で、人気者というか、悪く言うとお調子者でしたね(笑)。
小池 僕たちの高校のクラスは男子選手が2人で、女子選手が5人だったので、完全に雰囲気は持っていかれていました(笑)。その中でも仲良くしてもらっていて、特に気軽に話せるのが史織でした。なので、シンプルに仲が良かったと思います。
――中学3年生の3月に東日本大震災が発生しました。当時思ったことは。
小池 正直、何が起きたのか分かっていませんでした。その瞬間に何を思ったのかも覚えていません。幸いなことに僕たちは中学校の卒業式の当日で、親が福島県にいたのがすごく大きかったです。他の在校生は家族と連絡も取れない状況だったので、そういう部分では親が近くにいたことは心強かったです。どちらかというと、その一週間後に全員が実家に帰った中で、今後、自分たちはアカデミー生活を続けられるのかとか、サッカーを続けられるのかという不安が湧いてきました。
三宅 自分たちも中学校の卒業式で、親が福島に来ていたので、すぐに会えて、実家に帰ることができました。全員がけがなく実家に帰れたのはよかったと思います。実家で初めてテレビとかで被害の大きさを知って、これからアカデミーがどうなるのかという心配はもちろんありましたし、またみんなで会えるのかという不安は大きかったです。
――震災を受け、アカデミーは活動拠点を福島県から静岡県に移しました。アカデミーの活動が再開できたことに対して思ったことは。
三宅 たくさんの方々のおかげでサッカーもすることもでき、生活することも、高校に通うこともできました。短い期間であれだけの環境を準備してくれたことにまず感謝しなければいけないと思いました。同時に、こういう状況の中で、サッカーをしていていいのかという気持ちは高校生ながらにありました。他の友だちはまだ避難所生活が続いていたり、進路がどうなるか分からない中で、自分たちはすぐに環境を整えてもらえたことには感謝しかありません。
小池 JFAはじめ、アカデミーのスタッフ、静岡県御殿場市の方々、本当に多くの方にご尽力いただいて短期間で活動を再開できました。自分たちが思い描いていた以上の環境でサッカーができて、勉強も開始できたことには驚きました。活動を再開する際に、当時の監督から「今自分たちがやるべきことをやることが一番大切だ」という言葉もあり、みんなが良い結果を出して、良いニュースを届けたいという思いを持って活動していました。
――アカデミーで6年間過ごして得られたものは。
小池 僕はやり続ける能力が一番身に付いたと思っています。僕自身、アカデミーを卒業してからかなり苦労しましたが、アカデミーで培ったものであったり、そのときに思っていることをやり続けた結果、SAMURAI BLUE(日本代表)に選ばれたり、Jリーグを制覇したり、いろいろな経験ができていると思います。その継続する力はアカデミーで培いましたし、それに対する準備の姿勢も学びました。そこはアカデミーの良いところだと思いますし、在校生も生活の中からそういうところに取り組めているのではないかと思います。
三宅 自分も少し似ているんですけど、アカデミーでは自分で目標とその期間を設定して、それがどれだけできたのか、ということを細かくしていました。できた、できなかったではなく、目標のために何をするべきなのか、ということを自分で考えるサイクルをやってきました。立ち返ることが多いので、アカデミーで学んだことは今も生かされています。
――卒校後、小池選手は当時JFLのレノファ山口FCへ、三宅選手はINAC神戸に加入しました。互いの活躍はどのように見ていたのでしょうか。
三宅 龍太はいつでもポジティブで、メンタルがすごく強いんです。JFLから始まって、いろいろなカテゴリーを経験して、今はJ1でリーグ制覇をしたというのは本当にすごいとしか言えません。試合を見ることもあるのですが、すっかりF・マリノスの主力選手になっていて、自分が知っている、もっとやんちゃだったアカデミー時代の龍太ではないんだと感じることもあります。いつでもポジティブで目標に向かっていく姿を見て、自分にとってもすごく刺激になっています。龍太が代表に入ったときも連絡しましたし、そこで「一緒に代表で活躍できるといいね」という話をしました。アカデミーのときにいろいろな話をして、相談にも乗ってもらった、そんな人がすごい上の世界に行ったなぁと感じています(笑)。
小池 まあ、僕はどこにも行っていないんですけどね(笑)。史織は高校時代からずっとなでしこジャパン(日本女子代表)に入り続けて、INAC神戸というビッグクラブに進んで、うらやましいという気持ちはありました。僕はF・マリノスに来て、トップのチームに居続ける難しさを感じるので、そこにずっと居続けて、試合に出続けて、キャプテンまでするというのは本当に素晴らしいサッカー人生だと思います。アカデミーの男子から初めて代表に入れた身としては、どうにか女子に追い付きたいという気持ちでいますが、その女子を引っ張っている一人なので、本当に尊敬しています。
――今後の目標を教えてください。
小池 ワールドカップで日本代表は国民にすごく大きなパワーを与えてくれたと思いますし、そのすごさを僕も感じています。でも、自分自身がそういう力を与えられる選手になりたいと思っています。代表に入るという目標を達成するにはF・マリノスで常に勝利しないといけないですし、チームで出続けないと可能性はないと思います。自分は新しいシーズンが始まったら試合に出て、評価されるというサイクルを続けたいと思っています。
三宅 INAC神戸としてはWEリーグ連覇が懸かっているシーズンなので、2連覇を目標にしています。来年は女子ワールドカップがあるので、そこに出て良い結果を出すために、チームで結果を出したり、個人の評価を上げていかないといけないと思っています。リーグ連覇とワールドカップに選ばれるために、しっかりと目標を立ててやっていきたいです。
――最後に、今後、お互いに期待することを聞かせてください。
小池 新しくキャプテンという立場になってやることが少し変わってくると思います。ちょっとうまくいかないこともあると思いますが、今まで通りチャレンジを続けてほしいと思いますし、その先に見えるものはすごく大きなものがあると思います。INAC神戸もそうですが、なでしこジャパンも引っ張っていってほしいと思います。
三宅 優勝するのは簡単ではない中で、F・マリノスというビッグクラブを引っ張っていった一人でもあると思います。その結果が代表につながって、一緒に日本代表を盛り上げられる存在になれればいいなと思います。これからも一緒に頑張っていきましょう!
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