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【最後の青春ドラマ】急激な体の変化とセンターバックへの転向~第99回全国高校サッカー選手権大会・渡辺剛(FC東京)前編
2020年12月25日
第99回全国高校サッカー選手権大会が12月31日(木)に開幕します。高校年代の大舞台に立った選手はどのような青春時代を過ごしてきたのか。ここではFC東京で主力を担い、U-23日本代表でも東京オリンピック出場を狙う渡辺剛選手の高校時代のストーリーをお届けします。
2019年に中央大学からFC東京に加入し、チーム、そしてU-23日本代表で存在感を放つ渡辺剛。186センチと堂々の体格を誇り、空中戦に強さを発揮するセンターバックだが、そのスタイルは高校時代のコンバート、そしてたゆまぬ努力の末に築き上げたものだという。
渡辺はFC東京U-15深川に所属していたが、目標としていたFC東京U-18への昇格はかなわなかった。当時はボランチやサイドバックでプレーしていたものの、身長が160センチほどと小柄で試合にもほとんど絡むことができず、昇格できないことを告げられた時も「自分としては納得できたし、『なんで昇格できないのだろう』という気持ちはなかった。悔しいけれど仕方ないな、という気持ちだった」という。
「絶対に見返してやる」という気持ちとともに選んだ進学先は、山梨県の山梨学院大学附属高校(現山梨学院高校)。東京都内の高校に進むという選択肢もあったが、渡辺の脳裏には、第88回全国高校サッカー選手権大会で初出場・初優勝を果たした同校のプレーぶりが強く印象に残っていた。「山梨学院でサッカーをして、選手権で優勝したい」。その思いが決め手となった。
山梨学院では寮生活を送りながら練習に励んだ。生まれて初めて親元を離れての寮生活。「先輩との上下関係はすごく厳しかった」という環境で、渡辺は強豪校に来たことを改めて実感したという。
サッカー部の選手寮はグラウンドのすぐ近くにあり、起床してすぐに朝練を行ってから通学するという毎日を過ごした。基本的に夕方の練習しかないJクラブのアカデミーとは全く異なる環境であり、特に朝練は短時間でハードなメニューをこなさなければならない。「朝練でいきなりハードなメニューというのは経験したことがなかった」という渡辺は、「メンタル面はかなりたくましくなりました」と当時を回顧している。
練習内容もFC東京のアカデミー時代とは全く異なるものだった。中学3年生の頃は技術練習が多かったというが、高校ではフィジカルを鍛えるトレーニングが増加。体が小さく、線も細かった渡辺にとって「最初は全然、通用しない感じだった」という。
しかし1年生の夏ごろ、渡辺に転機が訪れる。160センチそこそこしかなかった身長が入学前後から急激に伸びており、180センチほどになっていたのだ。FC東京U-15深川時代から引き続いてボランチやサイドバックでプレーしていた渡辺だが、この頃には新たな道を模索したいと考えていた。
「自分の中で『このままではもう1つ上のレベルには難しいな』とは考えていました。ボランチをこなせるほどの技術はなかったですし、サイドバックとして運動量や走る部分は自信がありましたが、技術的な要素など、いろいろ含めて考えると厳しいのかな、という感覚があり、どこかで現状を変えたいと考えていました」
吉永一明監督(当時)はそんな渡辺に対し、センターバックへのコンバートを打診する。身長が急激に伸びた渡辺の将来性を見越してのことだった。
転向を決意してすぐ、練習試合にセンターバックとして出場する機会が訪れた。どのように動けばいいのか全く分からず、手探りでプレーをしたこの試合で、渡辺は自ら課題を見つけ出した。
「自分の中で『センターバックって何だろう?』と考えた時に真っ先にヘディングが思い浮かんだので、ヘディングを磨こうと考えるようになりました」
空中戦に強い現在のプレースタイルを確立させるための第一歩を踏み出した。
インタビュー中編 ~自分だけの武器を手に入れ、夢の舞台へ~ 渡辺剛選手(FC東京)
第99回全国高校サッカー選手権大会
大会期間:2020/12/31(木)~2021/1/11(月・祝)
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