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プレミアリーグ出場チームの現状~市立船橋高校・波多秀吾監督インタビュー
2020年07月13日
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、各種大会は中止・延期となっています。その中で、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2020も中止となり、合同リーグへの移行を検討してます。プレミアリーグに出場予定だったチームはどのような活動をしているのか。今回は市立船橋高校の波多秀吾監督に話を聞きました。
※このインタビューは7月6日(月)にウェブ会議システムを利用して行いました。
――チームの活動を停止したのはいつ頃ですか?
波多 3月に一旦停止になり、3月末に再開しました。しかし、緊急事態宣言などを受けて4月1日から活動を停止しました。4月4日のプレミアリーグ開幕に向けて準備を進めていて、特に3年生は今年に懸ける意気込みが強かっただけに、もどかしい気持ちはあったのではないでしょうか。私自身も監督としての2年目で、今年昇格してきた3チームを見ているとかなり厳しい戦いになるのではないかと予想していました。そのため、心も含めてそれなりの準備をしていた中で活動停止という形になり、不安もありました。ただ一方で、コロナウイルスが猛威をふるっていたので、これはサッカーどころではないのかなというところと、複雑な思いでした。
――活動停止中は練習メニューなどを渡していたのでしょうか?
波多 フィジカルコーチが各自でできる筋トレやランニングのメニューを与えてくれました。また、戦術的なサッカーの感覚も落としたくなかったので、アプリで動画を流して「このプレーについてどう思う?」というようなディスカッションを行っていました。例年であれば自分たちの前の試合を使用して反省を行い、次の対戦相手の分析をするのですが、今年はそれができないので、シーズン前の1、2月の試合の映像やこれまでの市立船橋の映像も使用しました。杉岡大暉(鹿島アントラーズ)がいた頃だったり、強かった頃の映像を使って、自分たちとどう違うのかなどプレーについて話し合いました。
――選手からポジティブな反応はありましたか?
波多 過去数年間かの映像を見て、攻撃のフィニッシュに行く一手、そのまた一手前の崩しが今の市船に足りないところなんじゃないかという意見が選手たちから出てきました。そこで攻撃の形、パターン、アイデアについてトライしてみようという話になり、海外の良い攻撃をしているシーンをピックアップして、「こんなこともできるよね」というようなやりとりをしました。
――その後、活動停止前と現在では何か変化はありますか?
波多 活動停止中に、市船のOBでJリーグ選手になった杉岡、金子大毅(湘南ベルマーレ)、高宇洋(レノファ山口)、原輝綺(サガン鳥栖)といった選手にオンラインで講演会をしてもらいました。そこで高校生活での思い、後悔していること、プロに入ってからどういうことで苦労しているかなどを10人くらいにしてもらいました。いい話をしてもらったので、選手もいい刺激をもらって意識も高まっていると思います。中には講演会を聞きながらうずうずしているような選手もいました。
――練習が再開して、選手からサッカーができる喜びややる気を感じる場面はありますか?
波多 6月15日に練習が再開してから毎日、彼らから感じています。私は本気になって取り組まなければ勝利はつかめないし、目標も達成できないと思っています。本気になるというのは、自分をさらけ出し、感情をむき出しにして、できていない選手に激しく自分の気持ちをぶつけることです。常々要求していたのですが、おとなしい選手や、本音をぶつけ合うことを躊躇してしまうような選手が結構いました。ただし、今は本気でぶつかり合うことができているので、それは自粛期間中に変われた点ではないでしょうか。
――人間的にも一皮むけたような印象でしょうか?
波多 この自粛期間で、まだまだ未熟な高校生なので、気持ちがぶれたりだとか、モチベーションが落ちたりすることを予想していました。しかし、社会情勢をきちっと理解して、その中で自分たちにできること、今、何をしなくてはいけないのかを理解していました。その点ではすごく成長しましたし、少しだけ大人になったと思います。活動再開後の成長率を上げてくれるものだと思いますし、結果につながるとすごくうれしいですね。
――プレミアリーグは中止になりましたが、合同リーグ開催の調整に入っています。大会方式は変われど、このような機会があるということに関してはいかがでしょうか?
波多 今、こういう状況で高いレベルの試合ができるのはすごくありがたいことです。そこに関しては選手たちも前向きに捉えています。
また、同じ学校のクラスメートの中にはインターハイがなくなり、そのまま競技を引退してしまった仲間もいます。自分たちはまだ合同リーグがあるし、選手権もあるというところで、引退してしまった仲間の思いを感じながら「自分たちがやるぞ」という気持ちが強くなっているのではないかと思います。
――3年生にとっては高校で最後の1年となります。残りの数カ月で選手たちにどのような成長を期待しますか?
波多 このような状況になってしまったのは誰にも変えられないことだと思います。けれども与えられた環境の中でどれだけできるかということが、人として、サッカーから離れたとしても必要なことだと思います。この残された期間でどれだけ成長できるか、何ができるかということを常に考えながら、時間を無駄にせずに頑張ってほしいと思います。
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