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「情熱を持ってまた集まろう」、なでしこジャパン候補トレーニングキャンプが終了
2022年04月11日
なでしこジャパン候補トレーニングキャンプは4月10日(日)に最終日を迎え、今回の活動で2回目となる男子高校生との練習試合を行いました。
3日前に行なった練習試合のスターティングメンバーから数選手を入れ替えキックオフした試合は前半、出足の良い相手に自陣に押し込まれます。13分には自陣右サイド深い位置からペナルティエリア角にボールを運ばれると、ミドルシュートを決められ失点。前回の試合同様序盤に相手に得点を許します。
何とか盛り返したいなでしこジャパンですが、自陣からのビルドアップも相手の隙を作らないディフェンスを前に力を発揮できず、出しどころを探しながら入れた縦パスにプレッシャーを受け、うまく前進できません。2トップを組んだ田中美南選手、植木理子選手が何とかボールを収めるも、そこから前方向の攻撃につなぐことがなかなかできず、また普段経験する間合いとは異なる相手のプレッシングにボールを失う場面が目立ちました。前半終了間際に千葉玲海菜選手が遠目から果敢にミドルシュートを放つもブロックされ、チャンスを作り出すことができず前半を終えました。
多くの選手が交代となった後半、同点に追いつきたいなでしこジャパンですが再び立ち上がりに失点します。5分、自陣左サイド深い位置に進入を許すと中央にクロスボールを送られ、ヘディングシュートでゴール、リードを2点に広げられます。
それでも少しずつ攻めに転じ、7分には右サイドでのコンビネーションから井上綾香選手がシュートを放ち、また13分には左コーナーキックを隅田凛選手がショートでリスタートし、受けた阪口萌乃選手がミドルシュートを放つなど、少しずつゴールに迫るシーンを作ります。その後も右サイドを清家貴子選手と成宮唯選手のワンツーで崩し中央に攻め込む場面や、左サイド深い位置から塩越柚歩選手、北川ひかる選手とつなぎ、最後は中央で阪口選手がミドルシュートでゴールを狙うなど、一点を目指します。しかし、最終的に得点を挙げることはできずに試合終了。トレーニングキャンプの仕上げとなる練習試合は0対2での敗戦となりました。
「もっと全体に熱量が欲しい」と試合後チームに語りかけたのは池田太監督。前日から一気に気温が上がり、この日も20度を超す気温になったからか互いを鼓舞する声がピッチからも少なく、エネルギーの面でも相手に上回られる試合となりました。ミーティングでは女子代表のトップカテゴリー選手であることの自覚とプレーへのこだわりを改めて求め、「情熱を持ってまた集まろう」と今回のトレーニングキャンプを締めくくりました。
7日間にわたって行われた今回の活動はこの日で終了し、選手はそれぞれの所属クラブへと戻ります。週末にはWEリーグが再開し、シーズン佳境を戦いながら、さらなる成長を期す時間となります。次回の代表活動は6月のインターナショナルマッチ期間となり、フィンランド女子代表との対戦がすでに決定。来年のFIFA女子ワールドカップへ向けてチームとしての強化を図ると共に、選手それぞれが競争し、メンバーの生き残りを懸けた活動を続けていきます。
監督・選手コメント
池田太 監督
国内の選手を招集して、なでしこジャパンの底上げも含め色々な選手を見るということをこのキャンプでできて、本当に有意義だったと思います。その中で選手といままで積み上げたことを伝えることもできました。なでしことして時間を共有できたことは有意義でした。
2回実施した練習試合は、初戦は攻撃の部分で色々な関係性を求め、それが2戦目になって相手の強度が少し高くなるというマッチメイクをし、その中でどれだけできるかというところにトライしました。相手のプレッシャーが強くなり、フィジカル的にスピードが上がる相手へのゲームの中での対応力はテストができたと思います。選手個々に、高い強度の中で戦う姿勢や技術的なブレが少ない選手など、なでしこの力になってくれるような選手のプラスの発見はそれぞれにありましたし、今回新しく招集した選手も含むこのグループでどのくらいできるかというひとつの物差しとして、選手のポテンシャルはそれぞれ見られたんじゃないかと思います。
2試合とも失点シーンは甘さが出たと思います。ボールを失う場所もそうですし、イージーな失点、ケアレスミスです。それをただ単にコミュニケーションの問題にしたり、いつもやっていないメンバーだから、とするのは言い訳ですし、国際試合ではあってはならないことだと思っています。試合にかける情熱や、今日の試合の大切さは最後のミーティングでも選手には伝えました。ビハインドになっている状況での戦う姿勢やアラート、残りの時間での点差を考えた時にプレーに対してどう向き合っていくか、どういう行動を起こすかは一人ひとりに問いかけしましたし、チームとして求めているレベルは今日のパフォーマンスではないと話しました。ゲームに対する我々が考えている要求に対してはまだまだ足りないという状況です。もっと伸ばしていく、成長していかなければいけないことのほうが多いゲームとなりました。
GK 池田咲紀子 選手(三菱重工浦和レッズレディース)
AFC女子アジアカップを経験した選手が半分のみという状態でのトレーニングキャンプで、来年のFIFA女子ワールドカップに向けて積み上げていかなければいけない中、今回のキャンプは新しい選手の理解やそういう選手たちとのコミュニケーション、チームワークやコンビネーションを作るというのがメインだったと思います。その点は良かったと思いますが、自分たちが目指しているものを考えた時に、新しい選手が入ってきて振り出しに戻るのではなくて、もうひとつ積み上げなければいけないと思っています。その点はもっと求めていかなければいけないと正直感じていますし、自分も発信するべきだったと思います。最後の練習試合も負けたことをどれだけの選手がしっかり受け止めているか、あのスピード感が海外の選手だと思いますし、その中で何ができて何ができなかったかをそれぞれが受け止めて、クラブに持ち帰って次までに個々がレベルアップして、チームの底上げをしていかなければならないと思いました。
ここからWEリーグは終盤に差し掛かっていく中で、コンディションをここからもうひとつ上げていくには相当パワーが必要です。どれだけ意識して妥協せずにやれるかが大事になります。自分を変えられるのは自分自身だけですし、チームのやり方はありながらもその中でも自分を高めるために何が必要かを毎日意識していきたいです。トレーニングキャンプに来て感じたことを、クラブに帰って忘れていては意味がないので、忘れずに取り組むことが一番大事だと思います。
FW 植木理子 選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
今日の練習試合後に監督が言ったことが全てだと思いますし、戦う姿勢の部分は世界で戦う上でより大事ですし、今から積み上げていかなければいけないことだと思います。
今回のトレーニングキャンプでは色々な選手と2トップを組んだり、色々なポジションをやっていくなかで良いコミュニケーションは取れたと思いますが、AFC女子アジアカップで感じた決定力の必要性やチャンスを作る部分は個人的にまだまだです。練習試合の相手は男子でしたが、通用する部分はもっとあったと思うので、そこはもっとうまく、強くならなければいけないと感じました。
新しい選手がたくさん入ってきた中で、自分が持っていないものをたくさん持っている選手がいましたし、そういう部分は盗んでいきたいです。ただ、だからといって負けていいわけではないので、しっかり競争に勝っていくという強い気持ちは持ってやっていました。
WEリーグに戻りますが、まずはチームを勝たせるという意味で得点力はもっともっと詰めていかなければいけないと思いますし、シーズンも終盤なので勝利に貪欲にプレーしていきたいと思っています。それが今後の代表活動やFIFA女子ワールドカップに向けた準備として大事なことだと思うので、まずはチームで結果を残したいと思います。