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SAMURAI BLUE E-1サッカー選手権ヒストリー<後編/2010‐2015>
2017年11月30日
12月8日(金)~16日(土)、東アジアサッカーの頂点を決める「EAFF E-1 サッカー選手権 2017 決勝大会」が、男子は味の素スタジアム、女子は千葉市蘇我球技場(フクダ電子アリーナ)で開催される。本大会は、2003年に「東アジアサッカー選手権」として産声を上げ、今回で男子は6回目、女子は5回目の開催となる。本大会が日本で開催されるのは、2003年、2010年に続き今回が3度目。2017年大会の開幕を前に、これまで日本が繰り広げてきた戦いの歴史を振り返る。
東アジアサッカー選手権2010決勝大会
2010年2月6日~14日/日本開催(味の素スタジアム、国立霞ヶ丘競技場)
vs 中国 0-0(前半0-0、後半0-0)
vs 香港 3-0(前半1-0、後半2-0)
【得点者】玉田圭司(2得点)、田中マルクス闘莉王
vs 韓国 1-3(前半1-2、後半0-1)
【得点者】遠藤保仁
※得点者は日本のみ記載
南アフリカへの助走となった2010年大会
4カ月後にFIFAワールドカップ南アフリカ大会を控えた2010年2月に日本で開催された東アジア選手権。SAMURAI BLUE(日本代表)はメンバーを固めつつ、新たな戦力の融合を試みた。
注目を集めたのが、平山相太選手だ。1月のAFCアジアカップ2011カタール予選のイエメン戦で身長190センチの高さと強さを生かして途中出場ながらハットトリックを達成(日本が3-2で勝利)。その活躍ぶりが買われて、引き続きの招集となった。
第1戦の中国戦では大久保嘉人選手との国見高校出身のストライカーコンビの連係から決定機をつくり出し、第2戦の香港戦では惜しい左ボレーやヘディングシュートを放ち、さらにマークを引き出してゴールにも関与。自身のゴールはなかったものの、改めて大器の片鱗を見せ付けた。
日本は最終戦で韓国に1-3と敗れ、1勝1分1敗で3位。ワールドカップに向けて不安の声が上がる一方で、収穫もあった。中澤佑二選手と田中マルクス闘莉王選手は、全3試合で先発。熱くも冷静な守備の対応に加え、ビルドアップ、セットプレーからの得点に絡み、攻撃面でも存在感を見せた。ミスや退場劇もあったとはいえ、チームに欠かせぬ“柱”であることを改めて印象付けた。
センターバックコンビがチームを支え、サイドバックの内田篤人選手がロングランからポスト直撃のミドルや絶妙なクロスから好機をつくり、駒野友一選手や長友祐都選手も鋭いオーバーラップを再三にわたって見せた。そのフォローを受けて、岡崎慎司選手もラインブレイクからゴールを狙った。結果は残せなかったものの、アジアのライバルを相手に見せた選手の活躍が岡田監督の目に留まったのは確かだった。彼らがのちのワールドカップで、大きく飛躍を遂げるのだった。
EAFF東アジアカップ2013決勝大会
2013年7月20日~28日/韓国開催(ソウル、華城)
vs 中国 3-3(前半1-1、後半2-2)
【得点者】栗原勇蔵、柿谷曜一朗、工藤壮人
vs オーストラリア 3-2(前半1-0、後半2-2)
【得点者】齋藤学、大迫勇也(2得点)
vs 韓国 2-1(前半1-1、後半1-0)
【得点者】柿谷曜一朗(2得点)
※得点者は日本のみ記載
個性的な選手が噛み合い大会初制覇
2013年大会で日本代表は初優勝を果たす。アルベルト・ザッケローニ監督のもと、さまざまな選手の組み合わせを試しつつ、しっかり結果を残すという好循環を生み出していった。圧巻のプレーを披露した柿谷曜一朗選手が得点王、そして山口蛍選手が大会MVPに輝いた。
初招集は、柿谷選手、山口選手をはじめ10人。さらに森重真人選手が約4年半ぶりに選出され、原口元気選手、大迫勇也選手らも復帰を果たし、多くの選手が3試合の中で出場機会を与えられた。ザッケローニ監督の期待に応えるように数多くの選手が躍動した。
中国との第1戦は3-3で引き分けたが、柿谷選手と工藤壮人選手がいずれも代表デビューで初ゴールを記録する。柿谷選手は工藤選手のゴールも演出するなど、最前線で出色のパフォーマンスを披露してみせた。
続く元浦和レッズ指揮官のホルガー・オジェック監督に率いられたオーストラリアとの一戦では、齋藤学選手が切れのあるカットインからシュートを突き刺し、大迫選手も技ありの2ゴール。いずれも代表初ゴールに満足することなく、アグレッシブなプレーを続けて、3-2の勝利に貢献している。
開催国の韓国との第3戦。主役は柿谷選手だった。敵陣の背後へ巧みに抜け出し先制点を奪う。さらに1-1で迎えた後半アディショナルタイム、原口選手のシュートのこぼれ球に反応し、冷静に左足でゴールネットへ突き刺した。劇的な展開で韓国から勝点3をつかみ取り、5回目の開催にして初めて優勝を飾った。
得点を奪った選手のみならず、活躍した選手は数多くいた。豊田陽平選手はポストプレーで攻撃に変化を与え、森重選手は最終ラインからのビルドアップでも貢献。原口選手のスピードに乗ったドリブルも光った。そしてMVPを受賞した山口選手は全試合に出場し、抜群の危険察知能力を生かして相手の攻撃の芽を摘んでいった。
ロンドンオリンピック世代の突き上げが顕著な大会だった。また、持ち味や個性の異なるさまざまなタレントが活躍したことで、ザッケローニ監督の戦いの幅はぐっと広がった。
EAFF東アジアカップ2015
2015年8月2日~9日/中国開催(武漢)
vs 朝鮮民主主義人民共和国 1-2(前半1-0、後半0-2)
【得点者】武藤雄樹
vs 韓国 1-1(前半1-1、後半0-0)
【得点者】山口蛍
vs 中国 1-1(前半1-1、後半0-0)
【得点者】武藤雄樹
※得点者は日本のみ記載
新戦力を積極起用して新風を吹き込む
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「結果を求めた上で、新しい選手を発見する」と位置付けて臨んだのが、中国・武漢で開催された2015年の前回大会。初招集の倉田秋選手、武藤雄樹選手、遠藤航選手、米倉恒貴選手の4人が積極的に起用されるなど、チーム内に新風が吹き込まれ、相乗効果がもたらされた。
期待に応えて結果を残したのが、武藤選手だ。朝鮮民主主義人民共和国戦で遠藤航選手のクロスにピンポイントで合わせて先制ゴールを奪取。その後、逆転を許してしまったが、90分間、プレッシングなどハードワークを怠らず守備面でも貢献し、タフに戦い切った。
武藤選手はさらに中国との第3戦でも、米倉選手の左サイドからのクロスに走り込んで合わせ、1-1に追い付く価値ある同点ゴールを決めている。この2ゴールで得点王を獲得。この勢いを所属の浦和レッズでも持続し、さらなるブレイクにつなげた。
また韓国戦では、倉田選手からの横パスを山口選手がミドルレンジからダイレクトで合わせ、武藤選手に続き代表初ゴールをマーク。彼のポテンシャルの高さを証明する、非常にインパクトのあるパンチの効いた一撃だった。
さらに目を引いたのが、柴崎岳選手だった。高精度のパスを何度も前線に供給し、背後のスペースへの動き出しから相手を揺さぶるなど、クオリティーの高いプレーを連発。加えてセットプレーのキッカーとしても決定的なチャンスを生んだ。
柴崎選手と同様に、その後、Jリーグからヨーロッパに戦いの舞台を移した宇佐美貴史選手、浅野拓磨選手は持ち味であるスピードに乗ったドリブルを披露。指揮官の求める攻撃面での「デュエル」の強さを示した。
日本代表は2分1敗で、初めて最下位に終わったが、10日間という時間をともに過ごしたことで、ハリルホジッチ監督のコンセプトや意図を数多くの新たな戦力に浸透させる貴重な機会になった。
EAFF E-1 サッカー選手権 2017 決勝大会
男女ともに、中国、日本、朝鮮民主主義人民共和国、韓国の4チーム総当りによるリーグ戦で東アジアサッカーの頂点を競います。12月8日(金)から16日(土)まで、男子は味の素スタジアム(東京)、女子は千葉市蘇我球技場(フクダ電子アリーナ/千葉)で行われます。
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