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【キリン特別協賛200試合記念】サッカー黎明期からともに歩んだ40年~キリンとJFAとのパートナーシップの歴史
2023年09月05日
9月12日(火)にベルギーのゲンクで開催されるキリンチャレンジカップ2023、SAMURAI BLUE(日本代表)対トルコ代表でキリン特別協賛試合の記念すべき200試合目を迎えます。ここではキリンと日本サッカー協会(JFA)との歴史を、サッカージャーナリストの国吉好弘さんにご執筆いただきました。
※キリンカップサッカーの前身となるジャパンカップ6試合とその後の特別協賛を合わせて200試合目
日本サッカー協会(JFA)および日本代表とキリンとのパートナーシップの始まりは1978年にさかのぼる。このころ低迷を続けていた日本代表の強化と競技そのものの普及を広めるためにJFAは長沼健専務理事の発案で国際大会「ジャパンカップ」の開催を決めた。ヨーロッパ、南米などの強豪国からチームを招き、日本代表ともう1チーム、さらにはアジアの代表も加えてタイトルを争う真剣勝負の場を提供しようという狙いだった。
ただし当時のJFAの財政は苦しく、大掛かりなイベント開催を懸念する声も大きかった。だが、長沼は停滞する流れを変えようと強行する。自身が監督として日本代表を率い、1964年東京オリンピックでベスト8へ進み、続く1968年メキシコ・オリンピックでは銅メダルを獲得する快挙を達成しながら、その後は徐々に日本代表の成績も下降線をたどり、サッカーの人気も同様で、アマチュアの日本サッカーリーグ(JSL)の観客数もジリ貧の道をたどっており、何とかしなければならないという使命感は誰よりも強かった。
ジャパンカップの第1回大会は日本とも馴染みの深い西ドイツ(当時)からボルシアMG、1FCケルンの2チーム、イングランドからコベントリーシティ、ブラジルからパルメイラスという強豪を招き、韓国代表、タイ代表に日本からは日本代表と日本選抜(実質B代表)が迎え撃つ形となった。ケルンには日本人初の欧州プロプレーヤー、奥寺康彦が所属しており、その凱旋でもあり、画期的な大会のスタートとともに話題性も豊富だった。
しかし、まだ日本をはじめアジアの代表チームに欧州、南米のプロクラブと互角の戦いを演じる力はなく、準決勝に進んだのはすべて外国のチームで、ボルシアMGとパルメイラスが決勝を争い、延長を戦っても1-1のまま、まだPK戦での決着は行われていない時代のことで両者優勝となった。最も多くの観客を集めた日本代表対ケルンの試合でも当日の主催者発表で4万人、のちに公表された有料入場者数は1万7664人、大会全体でも15試合で16万2500人、有料入場者は8万416人で1試合平均は5000人強にすぎず、大会の収支は当然大幅な赤字となった。
話題性の多かった第1回大会でもこの状況で、第2回はさらに悲惨な結果となる。危機感を覚えたJFAでは大会継続への検討委員会が開かれ「スポンサーが必要」との結論に達する。まだ日本サッカーは代表の最大の目標がオリンピックであり、JSLもすべてアマチュアの時代で古くからの関係者には拒否反応もあったが、長沼や盟友岡野俊一郎ら改革の必要性を感じている世代は知恵を絞った。ちょうど当時のJFA事務局のあった東京原宿の岸記念体育館からは山手線の線路を挟んでキリンビール本社が見えたこともあって「キリンさんなんか良いんじゃないか、頼んでみよう」というアイデアが出た。
すでに第1回大会からフィールドを囲む看板広告には協賛を得ていた縁もあり、第3回大会からキリンが大会のスポンサーとなった。ただし、まだ冠大会など行われていない時代で日本体育協会などからの反対もあり、とりあえず大会名は「ジャパンカップ・キリンワールドサッカー」となった。
とりあえず財政的には持ち直したとはいえ大会がすぐに軌道に乗ったわけではないが、将来を見越してキリンのスポンサードはさらに手厚くなる。85年からは「キリンカップ」となり大会の規模を縮小するなど苦戦しながらも、そのサポートを受けながら日本代表の強化、普及とも成長曲線を描くようになる。1980年代終盤にはプロ化の機運が高まり、93年にJリーグがスタートすると一大サッカーブームが訪れ、代表チームの人気は飛躍的に高まる。91年のキリンカップで日本代表が初優勝、92年には広島で行われたアジアカップで初優勝してアジアチャンピオンとなり、日本代表の実力も大きくアップした。
「キリンカップ」も1992年からは代表チーム同士のみが対戦する国際Aマッチ大会となり、アルゼンチン、フランスなど強豪との対戦も実現。勢いづいて臨んだ94年ワールドカップ予選では「ドーハの悲劇」に泣いたが、98年フランス大会に初出場を果たす日本代表の進化に「キリンカップ」が大きく貢献していることは間違いない。その後には「キリンチャレンジカップ」で世界各国とのテストマッチも組まれるようになり、日本代表は7大会連続の出場を果してワールドカップの常連国となっている。
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