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チェンジメーカー 第11回 白河広哉(しらかわ・こうや) 株式会社ベガルタ仙台将来計画推進プロジェクト部長

2012年08月08日

チェンジメーカー 第11回 白河広哉(しらかわ・こうや) 株式会社ベガルタ仙台将来計画推進プロジェクト部長

Profile

白河 広哉 / SHIRAKAWA Kouya さん
株式会社ベガルタ仙台将来計画推進プロジェクト部長
2005年度SMC本講座修了(2期生)

1965年2月、宮崎県大崎市生まれ。
山梨学院大卒。卒業後、電気関係の企業に就職し、総務(人事・労務等)を担当。一時期、スポーツ振興的な気運が高まりその事務局を担当し、マラソン部を創部。そのときの体験が「スポーツは面白い」と感じた原体験。95年、当時のブランメル仙台(現・ベガルタ仙台)の運営法人・株式会社東北ハンドレッド(現・株式会社ベガルタ仙台)設立時に入社。営業課長、総務部長、事業部長を歴任し、現職。
(社)宮城県サッカー協会特任理事、東北文化学園大学客員教授。

その1 将来計画推進プロジェクト

坂口:では、よろしくお願いいたします。まず、今のお仕事について教えてください。

白河:今は、将来計画推進プロジェクトという部署で仕事をしています。
昨年2月からベガルタ仙台「第5次中期経営計画」がスタートしまして、その、中期経営計画を具現化、もしくは道筋をつける専任部署なんです。

坂口:既存の部署もそれぞれ役割を担うと思いますが、特命の部署をつくってまで取り組むところに、この3年間の意気込みを感じますね。

白河:第5次中期経営計画には、5つのコミットメントと20の行動計画があります。これら全体の推進が役割ですが、特にうちの部署に課せられた事業の推進がメインとなります。
それは、「語る場」「語る機会」「語り部」の計画的確保と「語る文化」の実践、スタジアム周辺地域と連携、協調した特色のある「街文化」(スポーツカルチャーシティ)の創造、県民参加型のプロジェクトの設立と実践を通したコミュニティの活性化、総合的スポーツクラブ実現に向けた中・長期計画立案とフィジビリティスタディ、先行して取り組む保有チーム(例:女子サッカー、フットサル)の明確化と関係部門との調整と環境整備、そのほかに、Jリーグクラブライセンス、と、 笑

かた苦しい感じのことばが並びますが、昨年は、保有チームの明確化として「ベガルタ仙台レディース設立の提案」をしました。流行りに乗った感じにみえますが、これはクラブ内のセカンドキャリアの観点もあり女子サッカーチーム設立の具現化に努めたものです。

坂口:中期経営計画策定時に、既に予定されていたんですね!

白河:去年の2月1日から中期経営計画が始まったんですけど、実はそれ以前から構想はあったんですね。で、それについて、2月から調査を始めていたところに、3.11の震災があって、東京電力マリーゼ休部の記事を見ました。

もともとこのチームはみやぎ国体のために発足したチームで、宮城県大崎市を本拠とした、YKK所有の企業チームYKKフラッパーズが前身だったんです。それが、2004年に福島のJ-ヴィレッジに本拠地を移して東電に引き継がれたんです。もともとはメイドイン宮城のチームだったんで、これは我々が手をあげないわけにはいかないだろうという強い想いがあって推進しました。

他で手を挙げられて、さらには東北以外で活動を再開されるイメージはつきませんでした。あとは、収支ですよね。結局、持ち出しが増えることは他クラブさんをベンチマークさせていただき推測できていましたので、その金額がクラブとして今耐えられる状況なのかどうかシミュレーションし、多くのスポンサー企業さんの協力もあったことから、クラブとしてやれるという結論になり、設立に至りました。

その2 ユアスタ魅力創出協議会

白河:あとはこまごまといろんな施策があるんですけれども、地域の方々と連携しながら仙台特有のスポーツ文化を創っていく仕掛けづくりをしています。

今、ユアスタ魅力創出協議会っていう組織を立ち上げています。うちがホームゲームを開催するユアスタは公共施設なんですが、公共施設がゆえに、要望通りにならないことが多くあります。事業部長時代にもよくこの壁にぶつかったんです。いろんなルールがあるので、来場者へのホスピタリティにつながるものでもできない場合が出てきます。

で、それを何とかできないものだろうかという思いがあり、まず関係者の方々にご理解をいただくために協議会を始めました。
先行して、魅力創出懇談会というのを去年1年間開催してきました。一般の方も入れて、意見を聴いて、最終的な答申書じゃないですけど提案書としてまとめたんですね。今度は、その具現化にあたって、どうしても実務レベルの調整になるものですから、仙台市の関連部署の方々12人の部長、課長クラスの方々にメンバーになっていただき協議会がスタートしました。

当然、そこで最終的な結論をいただけない場合もありますが、できる方向性や可能性についてアドバイスをいただける協議会になっています。そこで我々の思いとすることをひとつひとつ具現化して積み上げていきたいと。

坂口:ユアスタは、立地も素晴らしいですし、お客さんもいっぱい入っている印象があります。もっといいスタジアムになるわけですね。

白河:クラブも18年目を迎えましたので、「ベガルタアーカイブ」を作りたいですね。そこで、ユアスタに設置させていただけないかと。立地も良いですからほかの企画も加えて平日も賑わいのあるユアスタを作っていきたいですね。

あとは、ベガルタ仙台芝生化推進フォーラムっていうのを定期的に開催しています。
これは、単に芝生の場所を多く作るってことが目的ではなくて、コミュニティー、コミュニケーションの場所として、どこか児童館など地域の公共施設を芝生化できないものかと。その芝生をテーマとして、地域の方々のコミュニティーが活性化したり、コミュニケーションが図られるような場所を作りたいってことで始まったフォーラムなんです。

「語る場、語る機会、語り部の計画的確保と語る文化の実践」、「県民参加型プロジェクトの設立と実践を通したコミュニティーの活性化」、「スタジアム周辺地域と連携、協調した特色のある「街文化」(スポーツカルチャーシティ)の創造」の観点から、協議会やフォーラムは進められています。

今、特に注力しているのは、総合的スポーツクラブ実現に向けた中・長期計画立案とフィジビリティスタディ、です。うちはあえて、総合「型」って言ってないんですけども・・・
これは、施設は持たず、いろんな、サッカーもしくはその他のスポーツのチームを持ちたい構想があるんです。
そのためには、財力的な問題もありますので、どういったステップで進めたらいいかを検討しています。保有チームということでは、まず女子サッカーチームができたということです。

坂口:では、フットサルも?

白河:はい、考えているんですけども、いかんせんお金のかかる話なんで・・・ 笑
財務状況を考慮しつつ検討していかなければなりません。
・・・こういった仕事をしております。

白河さんに案内していただいた七ヶ浜にある公共のグランド。
すぐ横は瓦礫の山。

坂口:ありがとうございます。昨年の3.11で仙台もベガルタ仙台も大きな被害を受けましたよね。震災後の活動として、ベガルタ仙台や白河さんご自身がどんな活動をしたかっていうのも、お話しいただければ。

白河:3.11以降の復興支援活動は、前所属部署だった事業部の中にホームタウン課がありまして、そこが中心となり、手倉森監督をはじめトップチームのコーチ、選手たちが特に甚大な被害を受けた沿岸部を中心にサッカーを通じた支援活動をしてきました。その中で私の役割としては、復興支援活動を通じてサッカーがこの地域の役に立っていることを、多くの方々に知っていただきたいな、と。

こういった活動もできるのが、サッカー界なんだ、ということも知ってもらいたいという思いがありまして、随時ですが講演活動をやっています。
去年から地元の東北文化学園大学の客員教授を拝命し、学生に語っています。去年12月には、中央大学からもご依頼をいただき講演させていただきました。できるだけ多くのところで、「語り部」として伝えていきたいという思いで、この活動は今後もやっていきたいですね。

その3 観点が変わった

坂口:SMCは2005年の2期生で受講されました。受講されたときのご感想とかいただければ。だいぶ前の話ですが。 笑

白河:最初のきっかけは、会社から行ってこいと言われまして、受講させていただきました。集合研修以外に、E-ランニングで課題が出るじゃないですか。当時は総務でしたので、繁忙期もあるわけですよね。
けっこう遅く帰るときが多くてですね。そういえば、毎日、パソコン開けって言われてたよなー、って思い出してあけるとですね、その時に限って重たい課題が入ってるんですよ
うわーって思いながらもやるんですけども・・・結構やりがいがありましたね。 笑

そのときは、うわー、この時期にこの課題は酷だよなって、思ったこともけっこうありました。特にマーケティングリサーチですね。いろんなスポーツクラブの調査をして、まとめる課題がありました。普段顔出しもしたことないようなスポーツクラブに行くことになるわけです。急に来て、なんだ、ベガルタか、なんて思われることも、しばしばありました。仕事の合間で、膨大な課題をやるのは大変でしたね。

あとは、東京のJFAハウスでの集合研修で、同じグループの人たちと意見交換しながら、ひとつのものを作り上げていく過程が非常に充実していたなと思いますね。苦しかったけど、今思えば、通って本当によかったなぁって思いますね。
あの頃は、なんて酷なんだ!って思うこともあったんですよ。 笑

坂口:
2期生あたりのときは、まだ、課題がすごく多かったんですよね。3期、4期ぐらいになって少し落ち着いてきたんですけど。たしかに当時は理不尽に多かったですよね。

白河:それでね、坂口さん、月ごとに順位が出るじゃないですか!
最初はなんとなく、やってたんですけども、順位が出るようになってから、えっ?!、もしかしてこれ修了したときに会社に報告しなくちゃいけないよなって思ってですね、なお一層、力が入りました。

坂口:セッションごとに順位が出たんですよね。

白河:ある意味、良いプレッシャーになりましたね。

坂口:2期とか3期ぐらいまでは、みなさん所属先の会社や組織から「行かされている人」がほとんどだったので、自然とそういったプレッシャーかかりますよね。

白河:そうですね。
非常に充実した数か月を体験させていただきましたので、まぁ、あらためてお礼なんですけども。 笑
その節はお世話になりました。 笑

坂口:大変なご苦労をおかけしまして。 笑
今でも、なんか役に立ってること、ありますか?

白河:いっぱいありますね。あの当時は本当に総務一辺倒っていうか。当時商法から会社法に変わるタイミングでもあったんですけど、もっぱら、その会社法の勉強ばかりでした。法改正に伴い、それに関連した知識やスキルを高めていく勉強をそれまでしてきたんですよ。
そこで新たにスポーツビジネスっていうか、本来、総務部にとってはあまり縁がない分野というか、実践の機会もないような分野だったんですけども、学んでから、スポーツクラブの経営全体を考えられるようになりましたね。自分の視点っていうか、観点が変わりましたね。

坂口:よかったです。

白河:こうなった方がいいんじゃないか、とか、こうあるべきではないだろうかっていう提案ができるようになったことが大きく変わったところですね。その後、事業部に異動になりまして。いきなり実践の場に放り出されて、慌てふためいたんですけどね。

坂口:ほとんどクラブの活動全部ですからね。

白河:そうですね。

その4 「地域の公共財」に

坂口:最後の質問です。今後、白河さんがやっていきたいことを教えていただけますか。

白河:そうですね。やはり、サッカーを中心としたスポーツを通じて、ベガルタ仙台を、「地域の公共財」って言われるようなクラブにしたいなと思ってるんですよ。宮城県民、仙台市民や行政そして企業にも継続的に貢献できるクラブでありたい。

まず、スポーツの良さとか楽しさとか、よく言われる、「する」「見る」「支える」に、「語る」を加えて、サッカー文化とか、ベガルタ文化っていうのが、仙台もしくは宮城のいたるところで語られ、話題になるといいですね。そんな街にしていきたいなって思います。

「ベガルタが毎日の生活に欠かせない」って地域の方々に口をそろえて言っていただけるような文化をつくりたいです。それが今の中期経営計画に全部詰まっているんです。

坂口:ベガルタやサッカーについて街中で語られるんですね!

白河:そうなんです。サッカーをプレーする人、観戦する方、ボランティアとして関わる方はもちろん、行政はスタジアムを中心とした街づくりを行って、企業もスタジアムを商品発表や交流の場として活用する・・・
そんな日常が当たり前になるようにしたいですね。
ですので、自分自身とすればSMCで培ったことと、今までのベガルタでの経験を踏まえて、いろんな場で「語り部」としてというか、語ることで、ベガルタやサッカーを文化にしていく挑戦に貢献していきたいですね。

坂口: 中期経営計画は、何ケ年なんですか。

白河:3ケ年です。昨年から、今年、来年までです。2月スタート1月エンドの年度です。こういった5つのコミットメントをこんな感じでまとめてるんですよ。

5つの約束(コミットメント)

1 約束 <青少年の健全育成>
宮城県サッカー協会(MFA)との連携をベースに、育成主体の選手強化を加速し、常にタイトルを目指すと共に県内サッカーレベルの向上に尽力します。

2 約束 <県民の心身の健全な発達への寄与>
スポーツの価値観「する・観る・支える」に加えて「語る」を多くの県民のものとするため、必要な環境整備にスピードを上げて取り組みます。

3 約束 <地域・社会の活性化への貢献>
県民の地域資産(ベガルタ仙台/サッカー人口/スタジアム)をポータル・プラットホームとして活かし、地域振興・産業振興にも積極的に取組みます。

4 約束 <経営基盤の改革>
多くの会員及び、産・学・民・行政に支えられ、地元密着の持続性のある安定した経営を構築します。

5 約束 <豊かなスポーツ文化の振興>
総合的スポーツクラブを志向し、中・長期計画立案と必要な経営資源(リソース)のマイルストーンを明確にします。

いろんな活動があります。当然この3年間で終わらないでその後も継続されるものもあります。将来の第6次・第7次中期経営計画の策定であったりとか、これから先の10年後のベガルタ像もあるんですけども、それに向けてまた計画を策定していきます。

坂口:わかりました。これからの白河さんやベガルタの活動も、チームの今シーズンの結果も楽しみですね!
長い時間どうもありがとうございました。

白河:どうもありがとうございました。

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