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アジアのピッチから~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第29回 藤原孝雄 U-18ブルネイ代表監督

2017年09月22日

アジアのピッチから~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第29回 藤原孝雄 U-18ブルネイ代表監督

アジアの各国で活躍する指導者達の声を伝える「アジアのピッチから」。
第29回は、ブルネイサッカー協会(NFABD)でU-18代表チームの監督を務める藤原孝雄氏のレポートです。

就任から3年目

2015年の就任から2016年までは、U-14、U-15と同じ選手たちを2年間指導しました。その間、主に意識したことは、ボールコントロールと走力です。

以前は、ボールコントロールの練習がほとんど行われていませんでした。当時のコーチ陣はボールを持っている選手に対して、判断を早くというアプローチをしていたのですが、初心者ドライバーに、「もっとスピードを上げて、周りを見て」と言っているのと同じで、これでは事故が起きそうです。そこで、まずは落ち着いて、ボールをコントロールする練習から始めました。ボールコントロールのトレーニングは、最近徐々に他のカテゴリーにも取り入れられています。走力については、単に「走る体力」もそうですが、スプリントが試合中にほとんど見受けられませんでした。よって、この2点の練習を重点的に行った結果、2年目には一学年上のリーグにおけるカップ戦で、見事に優勝することが出来ました。

この結果を受けて、私に対するサッカー協会スタッフたちの態度がまさしく手のひらを返したように変わったのも貴重な体験でした。

私と同様に国際交流基金のプログラムで柔道の指導者もブルネイで指導を行っています。一度、公開練習を見学させていただいた時に、お話を伺う機会がありました。共通していたことは、日本人コーチが来ると簡単にレベルアップすると思われていたことです。日本人指導者を高く評価いただいていることは非常に光栄ですが、我々は魔法使いではありません。1ヵ月、2ヵ月で結果を残すことは困難です。どのスポーツであっても、いかに日々のトレーニングの積み重ねが大事か、ということを伝えるのにエネルギーを使います。

ASEAN U-18選手権

ASEAN地域で行われるAFF U-18選手権大会の準備として、8月に大阪で強化合宿を行いました。

合宿の事前準備として、まずはブルネイ国内で、ほとんどが代表選手で構成される国内唯一のプロのクラブチームとの練習試合や、ディフェンスを強化した練習を行いました。ブルネイでは、U-18代表チームはプロのクラブチームと試合をすると0-3で敗退するものの、チャンスを作ることは出来ます。ところが、日本でJクラブのアカデミーチームとなどと対戦した練習試合では倍以上のスコアになりました。ボールも全く触らせてもらえず、ブルネイで出来ていると思ったことが全く通用しなかったのです。この事実に選手とスタッフは落胆していましたが、いつものびのびと暮らしている選手たち、コーチ陣にとっては、良いカルチャーショックとなりました。格上チームとの試合を通じて、国際大会レベルのスピードに慣れて欲しかったのです。

いよいよ本大会の9月。当初の目標はまず1勝でした。初戦のフィリピン戦が実力的に拮抗していたのでそこに全てを注ぎ、なんとか勝利を挙げることが出来ました。しかし、中1日での試合と、タイトなゲームに慣れていないせいか、その後は体力的・精神的に消耗してしまいました。

以前のブルネイチームはカウンターアタックからでしか、得点出来ていませんでしたが、今回は実力が少し上の相手でも、ボールを繋ぎフィニッシュまでいけたことは、選手・スタッフたちの自信になりました。今まで国内リーグを含めても、相手チームに先制されてから勝利したことが一度もありませんでしたが、フィリピン戦では全員が上を向いて最後までファイトし、逆転勝利できたのは本当に嬉しかったです。

今後の目標

次の大会は、10月31日(火)に開幕するAFC U-19選手権予選です。同組には、ホスト国韓国・マレーシア・インドネシア・東ティモール。初戦の相手は、前回AFF大会の最終戦で0-8で負けたインドネシアです。今回のAFFでどのチームも強豪チームであると実感し、さらに韓国がいるグループを戦うのは非常に難しいですが、少しでもブルネイサッカー発展に寄与できるようチームのみんなと一緒に頑張ります。

JFA公認海外派遣指導者

藤原孝雄 U-18ブルネイ代表監督

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