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【3/8 女子サッカーデー特集】川澄奈穂美選手インタビュー「サッカーの魅力を伝えていく」
2020年03月05日
日本サッカー協会(JFA)は3月8日を「JFA 女子サッカーデー」に定め、女性が輝ける社会づくりを推進するための働きかけをしていきます。ここではなでしこジャパン(日本女子代表)の一員として世界一を経験し、現在はアメリカで活躍する川澄奈穂美選手(スカイ・ブルーFC)に、女子サッカーへの思いやこれからの関わりについて聞きました。
※このインタビューは2月29日に行いました。
――川澄選手は林間SCレモンズ、大和シルフィード、神奈川県立弥栄西高校、日本体育大学と、常に「女子チーム」でプレーしてきました。
川澄 かなり珍しいキャリアだと思います。トップリーグにいる選手は、だいたい小学校時代に男子と一緒にやっていた選手が多いですからね。
――中学進学のタイミングでは、身近な場所に受け皿がない状況に直面したそうですね。
川澄 県内には中学生以上のチームがいくつかあったんですけど、地元にはなかったんですよ。でも、中学進学のタイミングで林間SCレモンズの監督や保護者さんが中心になって大和シルフィードを作ってくれました。このクラブがなかったとしても、サッカーが好きでしたし、続けたい思いはあったので、遠いところまで通っていたと思いますが、おかげさまで心置きなくサッカーを続けることができました。
――現在、同じ状況に直面している子が今も多いと思います。
川澄 小学生は女の子のほうが成長も早いですし、男子チームに交ざってもあまり意識しない子が多いでしょうけど、中学生になると男女を意識しますし、体格差や成長の差も出てきます。その意味では中学生年代の受け皿を作ることは不可欠ですね。学校の部活動は大きな可能性があると思いますが、そこに頼りきりになるのではなく、地域の4校、5校ぐらいから集まって活動できるクラブチームが増えれば、選択肢も広がると思います。
――サッカーを続けてきた中で、女性であるがゆえに苦労したことはありますか?
川澄 私自身は全くないですね。どんな環境でもやるべきことをやるだけだと思っていたので、苦労を感じたことはないです。むしろ、一緒にできる仲間がいて、指導してくださる方がいて、練習させてもらえるグラウンドがあることがありがたいと思っていました。なでしこリーグやなでしこジャパン(日本女子代表)の選手もそれを“苦労”だと感じている人は少ない気がします。ただ、私たちはサッカーが好きだから、という熱量で続けてきた部分がありますし、ファンの方や応援してくれている小中学生たちやその親御さんからは「中学生になったらチームがないからどうしようか悩んでいる」とか「このまま男子の中で続けていいのか」というご相談を受ける機会はあります。選手の情熱だけでは難しい部分はあると思います。
――JFAは3月8日を「JFA 女子サッカーデー」に定めました。率直な意見をお聞かせください。
川澄 世界の状況を見ると女性がピックアップされる場面が増えてきていますが、日本はまだまだ男女格差がある国だと感じています。その意味でもJFAが女性をピックアップして発信してくれるのはすごくうれしく感じる反面、「まだ女性であることをアピールしないといけない時代なんだな」という思いもあります。
――女子サッカーの普及、発展のために何が必要だと思いますか?
川澄 日本の女子サッカー界を支えているのは今も代表チームの結果なので、代表やなでしこリーグの選手はそこを強く意識しなければいけないと思います。田嶋幸三会長も「女子サッカー界をもっと発展させたい」と言ってくださっているので、選手たちがそれを感じ取らなければいけないですね。
――川澄選手ご自身は、今後どのように日本の女子サッカーに関わっていきたいと考えていますか?
川澄 今はとにかく現役選手としてサッカーの魅力を伝えていきたいという思いがすごく強いです。実際に「川澄選手に憧れてサッカーを始めました」「今も頑張っています」「なでしこジャパンに入りたいという夢ができました」という声をいただいていて、それはすごくうれしいですし、自分にとっても力になります。そういった相乗効果を感じているので、変に謙遜せず、これからも日本女子サッカーを盛り上げるために頑張っていくことがプロとしての責任だと感じています。
▼各プロジェクトやイベントの詳細につきましては、「JFA女子サッカーデー」の特設ページをご覧ください。