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アジアのピッチから~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第31回 古賀琢磨ミャンマーアカデミー(マンダレー)ヘッドコーチ
2017年12月25日
アジアの各国で活躍する指導者達の声を伝える「アジアのピッチから」。第31回は、ミャンマーサッカー連盟(MFF)のマンダレー・アカデミーでヘッドコーチを務めている古賀琢磨氏のレポートです。
ミャンマーの暮らしについて
ヤンゴンから北に約500キロ、ミャンマー第2の都市であるマンダレーに2017年6月から赴任しています。アカデミーから徒歩5分のホテルに滞在していますが、隣にはショッピングセンターを始め、スーパーやコーヒーショップがあり、日常生活に必要な大体のものが揃うのでとても便利です。朝食はホテル、昼食、夕食はアカデミーの食堂で選手達と一緒に食べています。アカデミー運営責任者であるSOE NYUNT校長による万全のサポートのおかげで私は指導に専念することが出来ています。そんな中唯一の苦労は、選手達の名前を覚えること。名前が長くて発音が難しいので覚えるまで時間がかかるのです。
ミャンマー・フットボール・アカデミー(マンダレー)
MFFが運営するマンダレー・アカデミーの選手達はU-13、U-12、U-11の年代です。このアカデミーはロジング形態で、選手達は親元を離れこのアカデミーで寄宿生活をしています。天然芝ピッチ2面がありサッカーを行う環境は十分で、通常の一日のスケジュールは以下の通りです。
08:00 – 12:30 | 学校 |
---|---|
12:45 | 昼食 |
15:00 – 17:00 | トレーニンング |
18:00 | 夕食 |
19:00 – 20:00 | 夜間学習(補修) |
21:30 | 就寝 |
MFFのアカデミーは、ここマンダレーに加えてヤンゴン(U-12)とパセイン(U-14、U-11)の3箇所。更に、軍が運営するアカデミー(U-15、U-13)が首都ネピドーにあります。この12月から4つのアカデミー間で親善試合を行うことになりました。私が指導しているマンダレー・アカデミーが一番古く(2011年開校)、今までに10名ほどの選手がアンダーカテゴリーの代表選手を経てフル代表選手に選出されています。現在ミャンマーで国民的大英雄のAung Thu(アン・トゥー)選手(マンダレー・アカデミー出身)はタイの POLICE TERO FCに海外移籍し、2018シーズンをプレーすることが決まっています。
9月には国際交流基金アジアセンターとJFAの共催事業として、ヤンゴン、マンダレー、パセインの各アカデミーコーチ1名ずつ、女子代表チームの女性コーチ1名、クラブチーム監督1名の計5名を引率して日本で指導者研修を実施しました。10日間に渡る日本滞在で彼らは多くの刺激を受け、ミャンマーに帰国後はそれぞれの指導現場で他のコーチの手本となり毎日の指導に励んでいます。
ミャンマーのサッカーについて
このアカデミーで初めて彼らのゲームを観て感じたことは、攻守ともに独りよがりのプレーが目立ったことでした。普段のトレーニングを通してコンビネーションによる突破や組織的な守備を構築し、だいぶチームらしくなってきました。加えて、ピッチ内で選手自身が判断できるよう働きかけていますが、こちらはもう少し時間が必要な状況です。
ミャンマー人は全体的に日本人と比べると身長はほぼ同じで若干線が細い印象ですが、中には日本人以上の体格の子たちもいます。ストロングポイントは個人スキルの高さ、こちらの要求に応えようとする素直さで、課題はチーム戦術の理解、90分走りきれるマッチフィットネスの向上、空中戦の技術向上(ヘディングの競り合い)です。これらの課題を克服し、個人そしてチームとして成長すれば、この国のサッカーはとても大きく飛躍する可能性を秘めています。
ASEAN諸国で活躍する日本人指導者たち
アセアンサッカー連盟が主催する「AFF U-18選手権」が9月にヤンゴンで行われた際、私と同様にJFAからの派遣指導者であるU-18カンボジア代表監督の井上和徳さん、U-18ブルネイ代表監督の藤原孝雄さん、U-17シンガポール代表監督の井上卓也さん、更に他の日本人指導者や関係者達も合流して食事をする機会を設け、お互いの情報交換会を開催しました。ミャンマーでこんなに多くの日本人コーチ陣が一堂に集まるとは思ってもいなかったのでとても有意義なひと時になりました。
最後に
ミャンマーは現在著しい経済発展を遂げています。サッカーも同様に成長段階であり、近い将来アセアンの中での地位を確立するものと信じています。私も一指導者としてミャンマーサッカー界の発展に少しでも寄与できるよう、毎日のトレーニング、コーチングに最善を尽くします。
JFA公認海外派遣指導者
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