はじめに
これらのガイドラインは、審判員に対する競技規則の補足情報となる実践的アドバイスを含む。
第5条では、競技規則の枠組みの中で職務にあたる主審と、「競技の精神」に言及している。主審は競技規則を適用するとき、特に試合を開始または続行するか否かの決定を下す際は、コモンセンスを持って、「競技の精神」を適用することが期待される。
この考えは、必ずしも競技規則を厳密に適用することではないということである。グラスルーツのサッカーにおいては、特に重要である。たとえば次の場合、安全の問題がなければ、主審は試合を開始し、または続行すべきである。
・コーナーフラッグがひとつ、または複数設置されていない。
・コーナーエリアやセンターサークルなど、競技のフィールドのマーキングに若干不正確な部分がある。
・ゴールポストやクロスバーの色が白ではない。
このような場合、両チームの合意を得たうえで主審は試合を開始または続行すべきであり、関係機関に報告書を提出しなければならない。
ポジショニング(位置取り)、動き方とチームワーク
1. 一般的なポジショニングと動き方
最良のポジションをとることにより、正しい判定を下すことができる。次に「求められるポジショニング」を示しているが、チーム、競技者、または試合中の出来事に関する具体的な情報を用いて修正していかなければならない。
図に指示するポジショニングは、基本的なものである。「求められるポジショニング」は、審判が効果を最大限に引き出すことが可能なエリアということである。これらのエリアは、試合の状況により、大きくなったり、小さくなったり、また異なった形状となる。
求められるべきポジショニング
・主審とプレーが行われている側の副審でプレーを挟む。
・主審は、通常、幅広い対角線式審判法を用い、プレーが行われている側の副審が自分の視野に入るようにする。
・主審は、プレーの外側に向かって位置することによって、プレーとプレーが行われている側の副審を容易に視野に入れることができる。
・主審は、プレーを妨害することなく、十分にプレーに近づく。
・監視しなければならないものは、常にボール周辺にあるというものではない。
主審は、次のことにも留意する。
・ボールとは関係ない場所で対立を引き起こす競技者
・プレーが向かっている地域内での反則の可能性
・ボールがプレーされた後の反則
副審と追加副審のポジショニング
副審は、後方から2人目の守備側競技者か、ボールが後方から2人目の守備側競技者よりゴールラインに近い場合、ボールのラインにつかなければならない。副審は、走っている間も含めて、常に競技のフィールドに面しなければならない。サイドステップによる動き方は短い距離を走るために用いられるべきである。この動き方は、より良い視野を確保させ、オフサイドの見極めを行うときに特に重要である。
追加副審のポジションは、ゴールラインの後方とする。ただし、ゴールかノーゴールかを判定するためにゴールライン上に移動するときを除く。追加副審は、特別な場合を除き、競技のフィールドに入ることはできない。
2. ポジショニングとチームワーク
助言
懲戒に関する問題に対処するとき、いくつかのケースにおいては目で確認し合うことと副審から主審へのわかりやすい手による目立たないシグナルをすることで十分である。直接話し合うことが求められる場合においては、必要に応じ、副審は2〜3m競技のフィールド内に入る。話し合うときは、主審、副審共に競技のフィールド内に顔を向け、会話を聞かれないようにしながら競技者と競技のフィールドを監視すべきである。
コーナーキック
コーナーキックのときの副審のポジションは、ゴールラインの延長上でコーナーフラッグの後方であるが、コーナーキックを行う競技者を妨害してはならない。また、コーナーエリア内にボールが正しく置かれているかチェックしなければならない。
フリーキック
フリーキックのときの副審は、オフサイドラインのチェックをするため、後方から2人目の守備側競技者のラインに位置しなければならない。しかしながら、シュートが直接ゴールに放たれる場合、ボールを追いかけタッチラインに沿ってコーナーフラッグ方向に動く用意をしておかなければならない。
得点か得点でないか
得点があり、決定に疑問がないときであっても、主審と副審は目で確認し合わなければならない。その後、副審は、旗を上げずに25〜30mタッチラインに沿いハーフウェーラインに向かってすばやく走らなければならない。
得点があったが、ボールが依然インプレーのように見えるとき、副審は先ず旗を上げて主審の注意をひかなければならない。その後、通常の得点の手続きとして、25〜30mタッチラインに沿いハーフウェーラインに向かってすばやく走る。
ボールの全体がゴールラインを越えていないときは、得点となっていないので、それまでどおりプレーが続く場合、主審は副審と目で確認し合わなければならない。また、必要であれば手で目立たないシグナルを送る。
ゴールキック
副審は、先ずボールがゴールエリア内にあるかどうかチェックしなければならない。ボールが正しく置かれていない場合、副審はそのポジションから動かず、主審とアイコンタクトを取り、旗を上げなければならない。
しかしながら、追加副審がいる場合、副審はオフサイドのラインに位置すべきである。追加副審はゴールラインとゴールエリアの交点のところに位置し、ボールがゴールエリア内にあるかどうかチェックしなければならない。ボールが正しく置かれていない場合、追加副審は主審に知らせなければならない。
ゴールキーパーがボールを放す時
副審は、ペナルティーエリアの端のところにポジションを取り、ゴールキーパーがペナルティーエリアの外でボールを手で触れていないかどうかチェックしなければならない。ゴールキーパーがボールを放したら、オフサイドラインのチェックができるポジションを取らなければならない。
キックオフ
副審は、後方から2人目の守備側競技者のラインに位置する。
ペナルティーマークからのキック
副審の1人はゴールラインとゴールエリアラインの交点に位置しなければならない。もう一方の副審はセンターサークルのところにいて、両チームの競技者をコントロールしなければならない。追加副審(AAR)がいる場合、ゴールの左右それぞれのゴールラインとゴールエリアラインの各交点に位置しなければならない。ただし、GLTを用いる場合、追加副審は1人だけで良い。この場合、第2追加副審および第1副審はセンターサークル内で競技者を監視し、第2副審および第4の審判員はテクニカルエリアを監視すべきである。
ペナルティーキック
副審は、ゴールラインとペナルティーエリアラインの交点のところに位置しなければならない。
ただし、追加副審がいる場合、追加副審はゴールラインとゴールエリアの交点のところに位置しなければならない。副審は、ペナルティーマークのライン(オフサイドライン)に位置する。
集団的対立
多くの競技者を巻き込んで騒動になった場合、近くの副審が競技のフィールドに入って主審を援助することができる。もう一方の副審も、騒動を監視すると共に事実の詳細について記録しなければならない。第4の審判員は、テクニカルエリア付近で待機すべきである。
規定の距離
フリーキックが副審の近い位置で与えられたとき、副審は、相手競技者がボールから9.15m(10ヤード)、確実に離れることを手助けするために競技のフィールドに入ることができる。この場合、主審は副審がポジションにつくのを待ってプレーを再開しなければならない。
交代
第4の審判員がいない場合、副審は交代の手続きを援助しなければならない。この場合、主審は、副審がポジションに戻るのを待ってからプレーを再開しなければならない。
第4の審判員がいて交代の手続きを行う場合、副審はハーフウェーラインまで移動する必要はない。ただし、複数の交代が同時に行われる場合、副審はハーフウェーラインまで移動して第4の審判員を援助する。
ボディーランゲージ、コミュニケーションと笛
1. 主審
ボディーランゲージ
ボディーランゲージは、主審が次のときに用いる手段である。
・試合のコントロールを援助するとき。
・主審の権限や主審が落ち着いていることを示すとき。
ボディーランゲージは、判定の説明には用いない。
シグナル
第5条のシグナルの図を参照。
笛
次の場合には、笛を吹くことが必要である。
・試合の前半、後半(延長戦の前半、後半)の、または得点後のキックオフのとき。
・次の理由でプレーを停止するとき。
・フリーキックまたはペナルティーキック
・試合の一時的な中断または中止
・前半、後半の終了時
・次の場合にプレーを再開するとき。
・規定の距離を下げたときのフリーキック
・ペナルティーキック
・次の理由でプレーが停止された後にプレーを再開するとき。
・警告または退場
・負傷者の発生
・交代
次の場合、笛を吹く必要はない。
・次の理由でプレーを停止するとき。
・ゴールキック、コーナーキック、スローイン、得点
・次の場合にプレーを再開するとき。
・ほとんどのフリーキック、ゴールキック、コーナーキック、スローイン、ドロップボール
不必要な笛を多く吹きすぎると、本当に必要な場合に効果が薄れることになる。
主審は、プレーの再開を待たせたいとき(例えば、フリーキックのとき守備側競技者にボールから9.15mの距離を守らせるとき)、笛によるシグナルを待つよう攻撃側競技者にはっきり伝えなければならない。
主審が誤って笛を吹き、プレーが停止した場合、ドロップボールでプレーを再開する。
2. 副審
シグナルビープ
シグナルビープシステムは、主審の注意を引くために必要であるときのみに用いられる追加的なシグナルである。シグナルビープが有用な状況は、次のときである。
・オフサイド
・(主審の視野外での)反則
・(判断が難しいときの)スローイン、コーナーキック、ゴールキックまたは得点
電子通信システム
電子通信システムが用いられる場合、試合前に、主審は身体的合図と一緒に、またはその代わりに通信システムを用いる適切なタイミングについて副審に助言する。
フラッグテクニック
副審の旗は、常に広げた状態で主審に見えるようにしなければならない。このことは、通常、旗は主審に近い方の手で持つことを意味する。シグナルをするとき、副審は立ち止まり、競技のフィールドに面し、主審を目で確認して、(急がず、過度にならないように)落ち着いて旗を上げなければならない。旗は、伸ばした腕の延長のようになるように上げる。副審は、次のシグナルを示す方の手で旗を上げなければならない。状況が変わり、もう一方の手を使わなければならなくなった場合、副審は腰より低い位置で反対の手に旗を持ち替える。副審は、ボールがアウトオブプレーになったことをシグナルするときは、主審がそれに気づくまでシグナルし続けなければならない。
副審が反則による退場のシグナルを出したが、主審がシグナルをすぐに見ることがなかったとき。
・プレーを停止した場合、再開は競技規則に従って(フリーキックやペナルティーキックなどで)行われなければならない。
・プレーが再開されてしまった場合、主審は懲戒の罰則を与えることができるが、フリーキックやペナルティーキックで反則を罰することはできない。
ジェスチャー
原則として、副審は手による合図を明白に示すべきではない。しかしながら、いくつかのケースでは、目立たない手の合図は主審にとって援助となり得る。手の合図は意図を明確に示さなければならず、その意図は、試合前の打ち合わせで合意されているべきである。
シグナル
第6条のシグナルの図を参照
コーナーキック/ゴールキック
ボールの全体がゴールラインを越えたとき、(良い視野を得るため)副審は右手で旗を上げ、次のように主審にボールがアウトオブプレーであることを伝える。
・副審から近い場合-ゴールキックかコーナーキックかを示す。
・副審から遠い場合-主審を目で確認して主審の判定にあわせる。
ボールがゴールラインを明らかに越えたとき、副審は旗を上げてボールが競技のフィールドから出たことを示す必要はない。ゴールキックかコーナーキックかの判定がはっきりしている場合、特に主審がシグナルをしているときは、副審がシグナルをする必要はない。
ファウル
副審の間近や主審の見えないところでファウルまたは不正行為が行われたとき、副審は旗を上げなければならない。その他の状況では常に待たなければならず、要求された場合には見解を示さなければならない。この場合、副審は何を見たのか、聞いたのか、どの競技者がかかわったのか、主審に伝えなければならない。
反則のシグナルをする前に、副審は次のことを判断しなければならない。
・反則が主審の視野外にあったのか、または主審の視野が遮られていたのか。
・主審がアドバンテージを適用するのかしないのか。
反則が発生したとき、次に留意して副審はシグナルをしなければならない。
・シグナルするときに用いる手と同じ手で旗を上げることにより、主審にどちらの競技者にフリーキックを与えるのかを容易に示すことができる。
・主審を目で確認する。
・旗を左右に振る(過度に、または強く振ることは避ける)。
副審は「ウェイトアンドシー:Wait&See(多少待って、様子をうかがう)テクニック」を用いてプレーを続けさせ、反則を行われたチームがアドバンテージの適用により利益を得た場合、旗を上げてはならない。この場合、副審が主審を目で確認することが大変重要である。
ペナルティーエリア内のファウル
特に副審のポジションの近くのペナルティーエリア内において、守備側競技者のファウルが主審の視野外で行われたとき、先ず副審は、主審がどこにいるのか、どのような対応を取ったのかを目で確認しなければならない。主審が何の対応も取らなかった場合、副審は旗を上げ、ビープシグナルを用いると共にはっきりとコーナーフラッグの方向に移動しなければならない。
ペナルティーエリア外のファウル
守備側競技者のファウルが(ペナルティーエリアの境界線近くの)ペナルティーエリアの外で行われたとき、副審は、主審がどこにいるのか、どのような対応をとったのかを目で確認し、必要に応じて旗で合図すべきである。カウンターアタックの状況であれば、ファウルが行われたのかどうか、ファウルがペナルティーエリアの内か外か、どのような懲戒の罰則を与えるのか、主審に伝えることができるようにすべきである。副審は、反則がペナルティーエリアの外であったことを、タッチラインに沿ってハーフウェーラインに向かって明らかに動くことで示す。
得点か得点でないか
ボール全体がゴールラインを越えたことが明白な場合、副審は追加のシグナルを行うことなく主審にアイコンタクトをしなければならない。
得点があったがボールが依然インプレーのように見えるとき、副審は先ず旗を上げて主審の注意を引き、その後得点を確認する。
オフサイド
副審は、オフサイドと判定したならば、先ず旗を上げる。(良い視野を確保するため、旗を右手で上げなければならない)主審がプレーを停止したら、旗を用い、反則のあった地域を示す。主審が旗をすぐに見なかった場合、副審は主審が気づくまで、または明らかに守備側チームがボールをコントロールするまでシグナルし続けなければならない。
ペナルティーキック
ボールがけられる前にゴールキーパーが露骨にゴールラインから離れて得点を阻止した場合、副審は、試合前の主審との打ち合わせに基づき、飛び出しについて知らせるべきである。
交代
(第4の審判員またはチーム役員によって)副審は交代を知らされたならば、次のプレーの停止のとき主審にシグナルしなければならない。
スローイン
ボールの全体がタッチラインを越えた場合、
・副審に近いとき-直接スローインの方向を示すべきである。
・副審から遠いが、スローインの方向が明らかなとき-副審は直接スローインの方向を示さなければならない。
・副審から遠く、スローインの方向が副審から不確かなとき-副審は旗を上げて主審にボールがアウトオブプレーになったことを伝え、主審を目で確認して主審のシグナルに合わせなければならない。
3. 追加副審
追加副審は、主審との通信は電子通信システムを用いる(旗は用いない)。電子通信システムが故障した場合、追加副審はシグナルビープ付きのフラッグスティックを用いる。追加副審は手による明らかなシグナルを示してはならないが、いくつかのケースでは、目立たない手のシグナルは主審にとって効果的な援助となり得る。手のシグナルは、明確な意味をもっていなければならず、それは試合前の打ち合わせでお互いに理解されているべきである。
追加副審は、ボール全体がゴールラインを越えたと確認したとき、次のことを行う。
・コミュニケーションシステムを通じて、得点を与えられるべきだということをただちに主審に伝える。
・左腕をゴールラインに対して垂直にし、競技のフィールド中央を指すことで明確なシグナルを送る(左手でフラッグスティックを持つ)。このシグナルは、ボールが明確にゴールラインを越えている場合は不要となる。
主審は、最終決定を下す。
その他のアドバイス
1. アドバンテージ
主審は、反則が起きたときにアドバンテージを適用することができるが、アドバンテージを適用するのかプレーを停止するのかを判断するうえで、次の状況を考慮するべきである。
・反則の重大さ-反則が退場に値する場合、反則直後に得点の機会がない限り、主審はプレーを停止し、競技者を退場させなければならない。
・反則が行われた場所-相手競技者のゴールに近ければ近いほど、アドバンテージはより効果的になる。
・すばやく、また大きなチャンスとなる攻撃ができる機会にあるか。
・試合の状況(雰囲気)について。
2. 空費された時間の追加
(スローインやゴールキックなどで)プレーが多く停止されることは至って当然のことである。プレーの停止時間があまりに長い場合のみに、時間が追加される。
3. 相手競技者を押さえる
主審は、特にコーナーキックやフリーキックのときのペナルティーエリア内の相手競技者を押さえる反則に対して、早めに介入し、毅然とした対応をすることに留意する。
・主審は、ボールがインプレーになる前に、相手競技者を押さえる競技者に注意しなければならない。
・ボールがインプレーになる前に、引き続き相手競技者を押さえる競技者を警告する。
・ボールがインプレーになったのちにこの反則が行われた場合、直接フリーキックまたはペナルティーキックを与えると共に反則を行った競技者を警告する。
4. オフサイド
オフサイドポジションにいた攻撃側競技者(A)は相手競技者を妨害しなかったが、ボールに触れた。副審は、競技者がボールに触れたときに旗を上げなければならない。
オフサイドポジションにいた攻撃側競技者(A)は相手競技者を妨害することなく、またボールにも触れなかった。競技者はボールに触れなかったので、罰せられることはない。
オフサイドポジションにいた攻撃側競技者(A)がボールに向かって走った。オンサイドポジションにいた味方競技者(B)もボールに向かって走って、ボールをプレーした。(A)はボールに触れなかったので、罰せられることはない。
オフサイドポジションにいた攻撃側競技者(A)は、オンサイドポジションにいるその他の味方競技者がボールをプレーする可能性がないと主審が判断した場合、ボールにプレーする、または触れる前に罰せられることがある。解説映像はこちら
オフサイドポジションにいた攻撃側競技者(1)はボールに向かって走ったが、ボールに触れなかった。副審は、「ゴールキック」のシグナルをしなければならない。
攻撃側競技者(A)がオフサイドポジションにいて、ゴールキーパーの視線を明らかに遮った。競技者は、相手競技者のプレーまたはプレーする可能性を妨げたことで罰せられなければならない。
攻撃側競技者(A)はオフサイドポジションにいるが、ゴールキーパーの視線を明らかに遮ったり、ボールに向かうことで相手競技者にチャレンジしていない。
オフサイドポジションにいる攻撃側競技者(A)はボールに向かって走ったが、相手競技者のプレーまたはプレーする可能性を妨げていない。また、(A)は、ボールに向かうことで相手競技者(B)にチャレンジしていない。
オフサイドポジションにいる攻撃側競技者(A)はボールに向かって走り、ボールに向かうことで相手競技者(B)にチャレンジすることによって、(B)のプレーまたはプレーする可能性を妨げた。(A)は、ボールに向かうことで(B)にチャレンジしている。
味方競技者(A)によって最後に触れられた、またはプレーされたボールが、ゴールキーパーの意図的なセーブによって、はね返った、方向が変わった、またはプレーされた。攻撃側競技者(B)は既にオフサイドポジションにいて、ボールをプレーした、またはボールに触れたので、罰せられる。解説映像はこちら
攻撃側競技者(A)によって最後に触れられた、またはプレーされたボールが、守備側競技者(C)の意図的なセーブによって、はね返った、方向が変わった、またはプレーされた。攻撃側競技者(B)は既にオフサイドポジションにいて、ボールをプレーした、または触れたので、罰せられる。
味方競技者(A)がシュートしたボールがゴールキーパーからはね返って、オンサイドポジションにいた競技者(B)がボールをプレーした。競技者(C)はオフサイドポジションにいたが、ボールに触れず、オフサイドポジションにいることによって利益を得ていないので、罰せられない。
攻撃側競技者(B)は、味方競技者(A)がシュートして相手競技者からはね返った、または当たって方向が変わってきたボールを、既にオフサイドポジションにいて、プレーした、または触れたので、罰せられる。
攻撃側競技者(C)はオフサイドポジションにいたが、相手競技者を妨害していない。味方競技者(A)がオンサイドポジションにいる競技者(B1)にボールをパスし、競技者(B1)は相手ゴールに向かって(B2)まで走り、ボールを味方競技者(C)にパスした。ボールがパスされたとき、競技者(C)はオンサイドポジションにいたので、罰せられない。
5. 負傷対応
競技者の安全確保は最も重要であり、主審は、特に重傷や頭部の負傷の判断において、メディカルスタッフが負傷者に対応できるようにすべきである。これには、関係者の合意を得た負傷の判断または処置の手順に基づき、援助していくことも含まれる。
6. 警告または退場を伴う反則後の治療と負傷の判断
これまで、競技のフィールド上で負傷の診断を受けた競技者は、プレーの再開前に競技のフィールドから必ず出なければならなかった。しかし、これであると、相手競技者によって負傷させられた場合、プレーが再開される時に反則を行った方のチームが数的有利になり、フェアではない状況になることがある。
そもそも、競技のフィールドから出なければならないとしたのは、競技者がしばしば戦術的な理由で再開を遅らせるために反スポーツ的に負傷を用いていたからである。
これら2つのフェアかフェアでないかのバランスをとるため、IFABは、体を用いた反則で相手競技者が警告や退場となった場合に限り、負傷した競技者は競技のフィールドから出ることなく、すばやく負傷の程度の判断や治療を受けることができるよう決定した。
現在メディカルスタッフなどが競技のフィールドに入り、負傷の程度の判断をしているが、原則として、これより長く時間をかけるべきではない。変更されたのは、主審がメディカルスタッフなどを競技のフィールドに入るよう要求した場合、負傷した競技者が競技のフィールドから出ていたものが、メディカルスタッフなどは競技のフィールドから出るものの競技者は出る必要がなくなったという点である。
主審は、次のことを行い、負傷した競技者が不当に遅延行為を行ったり、時間を余計にかけたりしないように心掛けなければならない。
・試合状況や再開を遅らせる戦術的な理由がないかを意識する。
・負傷した競技者に対し、治療を受けるならすばやく行わなければならないと伝える。
・(担架要員ではなく)メディカルスタッフなどに合図し、できる限りすばやく行うよう注意する。
主審は、次のようになったときにプレーの再開を行うべきである。
・メディカルスタッフなどが競技のフィールドから出て、治療を受けた競技者が競技のフィールドに残った。または、
・更なる負傷の程度の判断や治療のために競技者が競技のフィールドから出た(担架を呼ぶ合図が必要になる)。
一般的なガイドラインとして、重傷や頭部の負傷の程度の判断を除き、誰もがプレーの再開の用意ができたときから20〜25秒以上かけるべきではない。
主審は、この停止により費やされたすべての時間をアディショナルタイムに追加しなければならない。