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【経験者が語るFIFAワールドカップ】稲本潤一選手(南葛SC)今野泰幸選手(南葛SC)対談・前編

2022年11月08日

【経験者が語るFIFAワールドカップ】稲本潤一選手(南葛SC)今野泰幸選手(南葛SC)対談・前編

SAMURAI BLUE(日本代表)の一員としてFIFAワールドカップを戦った選手たちに話を伺う「経験者が語るFIFAワールドカップ」。第1回は、2002年日韓大会、06年ドイツ大会、10年南アフリカ大会と3度の出場経験を持つ稲本潤一選手と、10年南アフリカ大会、14年ブラジル大会に出場した今野泰幸選手に伺いました。

※このインタビューは2022年9月28日にオンラインで実施しました。

個性の強い選手だけでは、世界で勝つのは難しい

――FIFAワールドカップカタール2022の開幕が近づいてきました。9月に行われたアメリカ戦、エクアドル戦を踏まえ、現在のSAMURAI BLUE(日本代表)をどのように見ていますか。

稲本 今のチームはほとんどのメンバーが海外のクラブに所属しています。国内で活躍している選手も数人いますが、僕が出場した3大会(2002、06、10年)のチームに比べると、かなりレベルは上がっていると思います。

今野 同感ですね。僕は2大会(10、14年)に出場していますが、選手個々を見ると、当時より海外組が増えたことで経験値が上がっている印象を受けます。全体的にタレントはそろっているな、と。その中でも、かつて代表で一緒にプレーした川島永嗣選手、長友佑都選手らは粘り強く頑張っていますね。

稲本 代表経験が豊富な選手は、チームにとって大事な存在だからね。例えば、全体の雰囲気や練習の締まり具合などは、彼らがいる、いないで違いが出てくるでしょう。過去の大会を振り返ってもそうですが、川島選手や長友選手のような存在は必要不可欠です。

――本大会の選手選考は、毎回のように感情が交錯するドラマがあります。お二人は、メンバー発表前はどのような思いで過ごしていたのですか。

今野 置かれている状況によって違いました。10年の南アフリカ大会のときは選ばれるかどうか不安で……。できることなら、Jリーグでもっとアピールしたいと思っていました。一方、14年のブラジル大会のときは選ばれると思っていたので、Jリーグの試合でけがをしないように、守りに入っていました。稲本さんはどうでしたか。

稲本 選ばれるかどうかをあまり考えたことはなかったかな。強いて言えば、10年の南アフリカ大会のときは、少しドキドキしたくらい。僕の場合、自分のできることは既にしてきたという思いが強かったので。たとえ選出されなかったとしても、悔いはなかったでしょうね。

――稲本選手が初めて出場したワールドカップは02年の日韓大会ですが、今野選手は当時、プロ2年目でしたね。

今野 まだ19歳だった僕は、ワールドカップのメンバーに入るイメージなど全くできなくて、ファンの一人として日本代表を応援していました。それこそ、2000年のシドニーオリンピックからずっと見ていて、稲本さんのプレースタイルが大好きだったんです。

稲本 それは本当なの?

今野 ポジションも同じですし、攻撃も守備もできるボランチとして参考にしていました。初戦からどんなプレーを見せてくれるのか、楽しみにしていたんです。注目して見ていると、2点も取ったのでうれしかったです。ずっと聞きたかったんですが、ロシア戦(グループステージ第2戦、1-0で勝利)で得点したとき、どうしてあの場所にいたんですか。きっと日本中の人が思っていたことですよ。

稲本 自分自身でも不思議に思うくらい。なぜ、あの時間帯(51分)にペナルティーエリア内にいたのかな……。ペナルティーエリア内に日本の選手は2、3人いたと思うけど、その中の一人が僕。初戦のベルギー戦で点を取っていたので、またゴールを決めたいという思いが強く出たんだと思います。アシストしてくれた柳沢(敦)さんとのコンビネーションも良かったので、近くにいれば、良いパスがくるという感覚はあったかな。ワールドカップの年になれば、毎回のようにテレビで映像を流してくれるので、ベルギー戦とロシア戦のゴールは思い出します。

――06年のドイツ大会についても聞かせてください。

今野 僕も出場したかったですね。ジーコ監督が率いるチームに招集されたこともあったのですが、最後はあっけなく落選しました。残念な気持ちがありながらも、大会が始まれば、また代表チームのファンの一人として観戦していました。豪華なメンバーがそろっていたので、楽しみにしていました。

稲本 歴代の日本代表と比べても確かにタレントは充実していたと思います。ただ、個性の強い選手だけでは、世界で勝つのは難しいです。

今野 初戦のオーストラリア戦が全てといってもいいくらいですよね。先制点を奪いながらも、まさかの3失点。一体何があったのかと思いました。

稲本 オーストラリア代表のフース・ヒディンク監督(当時)は、日本代表をよく研究していたと思います。僕らが嫌がることをやってきて、こちらは最後まで持ちこたえられなかった。チームをまとめて、引っ張っていけるようなベテラン選手がいなかったのも大きいと思います。先ほども話しましたが、現在のチームでいうところの長友選手らのような存在は大切だと痛感した大会でした。

今野 一つ聞きたいんですが、中田英寿さんはどのような方なんですか。現在に至るまで、目の前で見たこともなくて、話したこともないんです。昔から憧れの存在でしたが、実像を知らなくて。メディアを通した人物像はカリスマ性があり、独特の雰囲気を持った人という印象ですが、実際はどうだったのかな、と。

稲本 うーん、自分から年下の選手に積極的に話すタイプではなかったかな。でも、こちらから話し掛けると、すごく優しくしてくれる人。僕らの世代の選手にとっては、“良きお兄さん”のような存在だったよ。

後編に続く。

後編はこちら

FIFAワールドカップカタール2022

大会期間:2022年11月20日(日)~2022年12月18日(日)
グループステージ
第1戦 11月23日(水) 16:00[現地時間] vs ドイツ代表
第2戦 11月27日(日) 13:00[現地時間] vs コスタリカ代表
第3戦 12月1日(木) 22:00[現地時間]  vs スペイン代表

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