ニュース
JFAインターナショナルコーチングコース 2009
2009年03月16日
概要/目的
今年で4回目となるJFAインターナショナルコーチングコースが、2009年3月9日から15日まで、6泊7日でJヴィレッジ(福島県)にて行われました。例年よりもやや早めの開催だけあって、肌寒さの残るなかでのコースとなりました。
今回、初参加となったオーストラリア、中国、カンボジアを含め、アジア13カ国より19名が参加しました。うち1名は女性であり、受講者の年齢も20歳から52歳と幅広く、各方面から多彩な顔ぶれとなりました。
2006年の第1回コースから4回目を迎え、JFAとして変わらず同じコンセプトを掲げこのコースに取り組んでいます。それは、「このコースがJFAのアジア貢献の一環であると同時に、アジア全体のレベルアップ、そして講師のナショナルトレセンコーチの国際力向上を目的としている」ということです。
内容
昨年同様、小野剛技術委員長の講義からコースは始まり、講義12時間、実技11時間、指導実践6時間のカリキュラムをすべての受講者が終了し、ひとりも欠けることなくJFA公認C級コーチライセンスを取得しました。
はじめ受講者同士や受講者とインストラクターとの間に感じた距離も初日の実技を終える頃にはなくなっていました。初日を終え2日目を迎えると、それぞれのインストラクターが積極的に受講者とコミュニケーションを取っている姿が目立つようになりました。
講義・実技を通して、インストラクターと受講者が「教える」・「教わる」という立場で一方通行でなく、互いが意見や考えを表現することで双方向のコミュニケーションが活発に交わされました。
必ずしもすべてのインストラクターがネイティブに英語を話せる状況でない中で、受講者からのフォローや理解しようとする姿勢があり、また一方で、インストラクターの伝えようとする熱意は、確実に受講者に伝わっている様子でした。
コースが進むにつれて自然と受講者が用具の出し入れを手伝うようになり、ピッチ外でも非常に協力的な行動が目立つようになっていきました。そういったところから、今回特に受講者と一緒になって作り上げることができたコースでした。
受講者の様子
参加者の声
協会 | 名前 | 感想 |
---|---|---|
ブータン | Chencho Dorji | コース自体が非常によく運営されており、スムーズに進行していた。 また、講義や実技を通して、JFAインストラクターの方々が非常に熱心で、何を伝えたいのかを 理解することができた。この1週間の間、JFAの一員になれたことを嬉しく思う。 |
マレーシア | Ganasamurthy T Poothathamby | すべての講義・実技が素晴らしく、非常に良い経験となった。 ひとつ改善点をあげるとすれば、実技を終えて講義をはじめる前に、10-15分ほど時間を置い てほしかった。そのときに実技の話をしたりディスカッションしたりすると、リフレッシュして講義に 入れると思った。 |
オーストラリア | Ian Shaw | Japan Visionをコースを通して理解することができた。 サッカーを楽しむこと、また楽しいサッカーそのものを経験することができた。 そして、コースを修了して、今までよりも良いコーチ、良い指導者・伝達者になれたと思う。 |
中国 | Bo Fu | JFAインストラクター、スタッフ、受講者すべてが講義・実技のなかでお互いに協力し合いながら 良いコースを作り上げることができた。 また、受講者同士で新たな情報や経験を共有しあえたことがよかった。 |
Maozhen Su | すべての講義・実技が印象深い。 今後フィットネスをテーマとした講義を入れても面白いと思う。 今回、この素晴らしいコースに参加できたこと、JFAの皆様、受講者に感謝したい。 |
|
パレスチナ | Abdelnasser Barakat | すべての講義・実技が私にとってかけがえのないものであった。 栄養学についての講義があれば、非常に興味深いと思う。 今回コースに携わったJFAのスタッフ・インストラクターに敬意を表したい。 |
カンボジア | Sopheaknimoul Phea | コースを通し、運営スタッフやインストラクターまた環境面についても非常に満足している。 今後、JFA B級コースを開設していただきたい。 JFAの皆様ありがとうございました。 |
香港 | Hing Yan Tsang | GKとメディカルの講義が非常に素晴らしく印象深かった。 代表チームのトレーニングをテーマにした講義があるととても指導の参考になると思う。 JFAインストラクターが非常に素晴らしく、全力で200%の力を発揮してくれたと思う。 |
Ian Shawさん(オーストラリア)
Q:なぜ受講しようと思ったか。
9歳から12歳の間のゴールデンエイジと呼ばれている子どもたちを教えているので、このコースはまさにそれに適している。国が違っても同じ技術を教えあい、それを学ぶことで自分の指導に生かせる。今、私の地域ではそういったことに力を入れている。ところが、チーム数が増えている一方で、なかには基礎がまったくできていない子どもも大勢いる。基礎をしっかりつくることで、こういった子ども達の成長にもつながるし、地域の中のサッカーや技術のレベルも上がってくると思う。
ブラジルやアルゼンチンのように、ストリートサッカーなどで自然とサッカーを学べる環境がない日本やオーストラリアにとっては、育成に力を入れることは重要。しっかりした指導のなかで、オーストラリアも日本の発展した技術を積極的に学んでいきたい。ブラジルやアルゼンチンのような強豪を目指すことも必要だが、その前に日本のように環境の似ているところから学ぶことは大事だ。
今、私の所属するサッカースクールは、15歳前後にとても力を入れているが、より低い年代である9歳から12歳に今後より力を入れていきたい、そしてスクールをもっとよくしていきたいという目的があり、今回このコースに参加した。
Q:感想
このコースに来て、コーチの方々がさまざまなことを教えてくれて、私にとってたくさんの新しい発見があった。とても新鮮な感じだ。ここで学ぶことをオーストラリアに持ち帰り、さらにその情報を積極的に発信することで、オーストラリアの育成自体も変わる可能性がある、非常に影響力のあるコースだと思っている。
オープンマインドの姿勢でコーチから多くを学び、また他の国の方々ともさまざまな情報を交換することで、自分にとって非常に大きな財産になると思う。
総括
アジアが強くならなければ日本は強くならない。本当にレベルの高いアジアを勝ち抜いた中でワールドカップに出るようにならなければ世界では通用しない、というところからスタートしています。アジア全体がレベルアップすることが、一時的には日本の首を絞めているように見えるかもしれないが、将来的には日本のためになると信じています。日本はアジアで勝つことだけでなく、世界で勝つことを目指しています。そのためにはアジアのレベルを上げるのが必要だと考えています。
このインターナショナルコーチングコースを通して、日本の指導法や考え方をそれぞれの国に持ち帰っていただいて、自分たちなりのやり方にアレンジしてほしいと思っています。我々がヨーロッパや南米の指導法をただ真似ているだけでなく、日本に合うように作ってきているように。
一方で我々がコースを通して学ぶことも非常に多かったです。特にサッカーに取り組むときの真剣さには驚きでした。勝負にこだわるということが普通にできる。日本の講習会だとケガしないようにゆっくりやってくださいというと、シュートを打たなかったり、本来のサッカーができなくなることがある。でも彼らにはそういうところがなく常に前向きであることがすごいと感じました。
このコースは、1年に1回の開催ですが、今後もこういった形でやっていけたらいいなと思います。各国協会や参加者からは「B級ライセンスをやってくれ」という要望も来ています。また、日本ではライセンスを取得し、指導者登録をすることでテクニカルニュース等の機関誌がもらえるというサービスがありますが、それを望む声もあります。こちらが思っている以上に日本の指導法に興味を持ってくれており、今後そういった要望にも応えられるようにしていきたいです。
参加者リスト
協会 | 名前 | 性別 | 役職 | ライセンス |
---|---|---|---|---|
Palestine | Barakat Abdelnasser | M | Coach Teams Department | N/A |
Saudi Arabia | Alhakeem Mushabbab | M | Coach | C |
Sri Lanka | Ediri Wickramasooriya Indunil | M | Regional Coordinator | N/A |
Iran | Ghaffari Mohammad Mehdi | M | Assistant Coach of Iran U-17 Team | AFC "A" |
Yavari Mohammad | M | Coach of Iran U-13 Team | N/A | |
Australia | Shaw Ian | M | Technical Director - Capital Football | AFC "B" |
China | Fu Bo | M | Coach of Liaoning FC | A |
Su Maozhen | M | Coach of Shandong Luneng FC | A | |
Chinese Taipei | Tsai Chen Hsiung | M | Coach of Senior High School | A |
Tseng Shu O | F | Youth Coach | C | |
Myanmar | Win Myo Hlaing | M | Youth Coach | AFC "C" |
Cambodia | Ieng Saknida | M | Assistant Coach of U-14 Team | D |
Phea Sopheaknimoul | M | Youth Coach | D | |
Bhutan | Dorji Chencho | M | Youth Coach | AFC"C" |
Hong Kong | Tsang Tao Keung | M | Coach Instructor | AFC"B" |
Tsang Hing Yan | M | Youth Coach | AFC"B" | |
UAE | Al Jenaibi Ali Khamis Mohammed | M | Coach of U-13 Team | B |
Bani Kutb Yousuf Obaid Humaid | M | Coach of U-13 Team | B | |
Malaysia | T Poothathamby Ganasamurthy | M | Chief Coach Academy | AFC FAM"A" |
ダウンロード
関連情報
最新ニュース
- 選手育成 2024/11/21 バイエルン・ミュンヘンへ短期留学 JFAとアディダスによる育成年代の選手を対象としたプロジェクト「育成年代応援プロジェクト JFA アディダス DREAM ROAD」~2024年度 第三弾が始動~
- 大会・試合 2024/11/21 決勝(11/23)チケット当日券の販売について 天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会 大会アンバサダー三笘 薫 選手・CFCと協働 子どもたち30名ご招待
- 選手育成 2024/11/21 2024年JFA・Fリーグ特別指定選手に3選手を認定
- 指導者 2024/11/21 2025年度 JFA 女性指導者Bライセンススキルアップ研修会 開催要項~2025年度Aジェネラルライセンス受講に向けた準備コース~
- 日本代表 2024/11/21 2025 SheBelieves Cupに参加が決定 なでしこジャパン(日本女子代表)